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営業力の強化で勝ち残る

厳しい時代だからこそ改革できると考えたい

今日の厳しい不況を乗り切るためには、仕事の仕組みを根本から見直して生産性を高める努力をしなければならない、と前回書いた。しかし、内需拡大が期待できない状況の中では、生産性を高めるだけでは限界がある。そこで大事になってくるのが、「営業力の強化」だ。

景気が後退し、市場が縮小する中で、業績を確保しようとすれば、シェアを拡大するか、新しい市場を開拓するしかない。いずれにしても、営業力がなければ実現しない。いまのような、小さくなったパイを奪い合う生存競争を強いられる厳しい時代には、従来通りの営業活動では生き残れない。

では、営業面ではどのような取り組みが大事になってくるのだろうか。そこで提案したいのが、従業員に知恵を出させるということだ。「営業力の強化」をテーマにワークショップをやればいい。このときに留意していただきたいのが、営業関係者だけをメンバーにしないということだ。メーカーなら、生産現場、事務等々の担当者も加えていただきたい。

筆者自身最近、某企業の階層・担当分野に関係なく集まった会議で、「自社の営業力を強化」するためには、どのような取り組みが必要だと思うか、と聞いたことがあるが、そのときの代表的なアイデアは以下のようなものだった。

「いままでは忙しすぎて、一顧客を一人の営業マンで担当していた。結果、自分が不在のときには誰も対応できずに顧客に迷惑をかけるケースが多かった。これからは、二人一組で営業活動を行い、きめ細かく対応してはどうか。また、いままでアプローチできていなかったところにも営業をかけるようにしたい」
この発言が呼び水になって、工場サイドの人間からは次のような声が出た。

「これまでは、既存の仕事をこなすことに精一杯で、営業が持ち込んでくる条件の厳しい案件を、検討することも無く断っていたが、これからは、現場も営業をサポートしたい。営業と一緒に、直接お客さんの要望を聞きにいってもいい」

この会社は、昨年の10月までは本当に忙しかったが、11月以降受注が激減していた。忙しい時には、営業マンは、顧客の間を一人で飛び回っていて、「俺の背中を見て覚えろ」というばかりで、後輩の指導はできていなかった。若い営業マンはどう取り組んでいいかわからず、時間と共にやる気を無くしていっていた。

営業と工場の関係も最悪だった。少し難しい案件が入ってくると、「こんな仕事とってくるな」とけんもほろろだった。
忙しい時にも、営業と工場はもっとサポートしあわないといけないとの話はでてきていたのだが、現実的には、目先の仕事の処理が優先され、先のような状態をずっと続けてきていたのだ。

筆者の持論は、企業が持続的に成長するためには、いいときにこそ、「こんな状況いつまでも続くわけはない」と考えて、慢心せずに次なる手を打つ、というものだが、これほど難しいことも無い。いい状況が続くとトップばかりでなく、従業員も、自然と「寛怠を欲する」ようになり、わかってはいても改革に着手できないものだ。

ところが、いまのように誰もが厳しさを実感せざるを得ない状況になると、従業員にも必然的に危機意識が目覚めてくる。
経営環境の厳しいいまが「生産性向上活動」(前回参照)と「営業力の強化」を中心とする改革に取り組むチャンスだと考えていただきたいのだ。

著者プロフィール

疋田 文明(ひきた ふみあき)
有限会社 ABO
経営コンサルタント・元気塾主宰
日本交通公社(JTB)勤務後、中小企業経営者を対象とした各種セミナーの企画・運営会社等々を経て、1979年に竹村健一未来経営研究会を企画設立し事務局長に就任。1986年に竹村健一氏のもとから独立。現在、フリーランスのライターとして活躍中。
http://www.hikita10.jp

[2009年5月14日 掲載]


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