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「減量経営」で生産性の向上を

構造とリズムが生産性を高める

本当に厳しい、先の読めない時代になってきた。こんな時代に問われるのは、経営トップのリーダーシップだ。上智大学名誉教授の渡部昇一さんは、「誰もがダメだと思っている時に生き筋を見出すのが真のリーダー」と指摘されているが、まさにその通りだと思う。では、この苦境を乗り切るために、リーダーはどのように舵取りをすればいいのだろうか。

まず、考えて欲しいのは、経済と経営は似て非なるものであるということだ。経済が経営に大きな影響を与えることは間違いない。それだけに、経営者は経済動向に目を向けなければならないことはいうまでもない。

しかし、経済動向に一喜一憂しているばかりでは、問題は解決しない。
経済と経営は何が違うのか。それは数値の持つ意味が違うのだ。
例えば、GDPがマイナス10%というのと、日本企業の経常利益がマイナス10%というのでは、その意味するところが違うということだ。

経済指標の場合には、現実の姿をそのまま反映しているが、経営指標の場合には、平均値に過ぎない。マイナス10%とはいえ、伸びているところもあれば、10%以上マイナスのところもあるということだ。

景気が悪くなって市場規模が10%縮小したとしよう。この場合に経営トップとしてどう考えるかだ。市場が小さくなったのだから、自社の業績が落ちてもしょうがないと考えるのか、シェアを拡大すれば業績は伸びると考えて、「生き筋」を見出す努力をするのか……いうまでもなく、後者がいまの時代に求められている真のリーダー像なのだ。

では、今回の厳しい不況を、企業はどのような取り組みをすることで乗り切ればいいのか。ひとつは、1973年のオイルショック後の不況を克服する際にいわれた「減量経営」だと思う。企業が抱える無駄を徹底的に排除して、生産性を高めることが何より求められる時代だと認識したい。

しかし、ここで考えていただきたいのは、単純に無駄の排除に取り組むだけでは生き残れないということだ。無駄の排除=コスト削減では限界がある。筆者のいう「減量経営」とは、仕事の仕組みそのものを変えて生産性を高めることを意味している。

今は亡き経営思想家「ミュラータイム」は、著書「組織の生理学」の中で、「人間の生産性・向上性を高める要因はふたつある」と指摘している。ひとつは、『仕事の構造(もしくは構成)』で、もうひとつは、『リズム』だという。

例えば、一般的にものづくりの世界では、仕事は細かく分けられて、流れ作業方式で組み立てていくケースが多いが、はたしてそれで生産性は上がっているのだろうか。そんな意識を持って仕事の構造を根本から組み立て直すことが、求められているのだ。

いまは、流れ作業方式よりも仕事を細分化しないセル方式のほうが、生産性が高いことは理解されるようになったが、いまから30年も前にミュラータイムは、それを指摘していた。これは、ものづくりばかりでなく、事務の世界も同じだとご理解いただきたい。

ミュラータイムは、リズムについても面白い指摘をしている。例えば、商品番号をつける時に、何桁の番号にすれば生産性は高まるのか……ミュラータイムの答えは7桁だ。6桁よりも7桁の方がリズムを刻んで覚えやすいので、インプットの時間が短くなるという。

流れ作業のラインでも、二三歩上がって仕事を向かえ、二三歩下がって仕事を送り出す作業者の方が、流れ作業の一部になっている作業者よりも生産性は高いのだ。

ミュラータイムの指摘は実に示唆に富んでいると思うがいかがなものか。
いまひとつ、「営業力の強化」が、厳しい時代には大事になってくるが…その話は次回に譲る。

著者プロフィール

疋田 文明(ひきた ふみあき)
有限会社 ABO
経営コンサルタント・元気塾主宰
日本交通公社(JTB)勤務後、中小企業経営者を対象とした各種セミナーの企画・運営会社等々を経て、1979年に竹村健一未来経営研究会を企画設立し事務局長に就任。1986年に竹村健一氏のもとから独立。現在、フリーランスのライターとして活躍中。
http://www.hikita10.jp

[2009年4月13日 掲載]


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