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『思考・知恵』が元気印企業への道
労働は有限、知恵は無限
『学習企業』のすすめを3回に渡って書いてきたが、学習するだけでは、持続的成長を手にすることができないことはいうまでもない。論語にも「学びて思わざれば即ちくらし」とあるように、学びをベースに思考しなければならない。思考、知恵が元気印企業をつくるのだ。
筆者の持論は、「組織ぐるみで知恵を出し続ける」ことが元気印企業への道というものだが、難しいことを考えろといっているわけではない。ちょっとした創意工夫でもいいのだ。
他愛のない話と思われるかもしれないが、こんな知恵が大事だということでひとつ事例をあげておきたい。
山本周五郎さんの作品に、「もみの木は残った」という本がある。これは昭和45年にNHKの大河ドラマになった作品だが、当時の大河ドラマはものすごい影響力があった。
ドラマの舞台になった「仙台」には観光客が殺到した。この観光客を相手に、仙台の駅弁屋さんが「もみの木は残った弁当」を大ヒットさせたという。この弁当は、なんのことはない、普通の幕の内にもみの木の小枝を入れてあるだけだった。弁当を食べ終わったあとに「もみの木は残った」となるのだ。
こうしたアイデアを、他愛無いとしないで、実践していくことが企業を元気印にすると考えたい。
筆者が知恵に拘る理由は大きくは3つある。
一つは、「もみの木は残った」的な知恵であれば、無限に出てくる。人間は無限の可能性を持っているが、体力には限界がある。しかし、知恵は無限なのだ。
二つめは、知恵を出すということに限れば、資金は必要ないのだから、これを利用しない手はない。
三つめは、知恵を出し、それを実践すれば、景気不景気に関係なく元気になれるからだ。その一番の例が、北海道旭川にある「旭山動物園」だ。
10年前の旭山動物園には閑古鳥が鳴いていた。年間の入園者数は30万人を切り、廃園も視野に入っていた。それがいまでは年間の入園者数は300万人を超え、日本国内は言うに及ばず、中国、韓国等々から訪れる人もいる。テレビで頻繁に紹介され、映画化されるまでになった。
旭山動物園は、10年前とどう変わったのか。昨年「オオカミの森」を新設するまでは、どこの動物園にもいる動物が存在するだけだった。人気があるのは、白熊、ペンギン、あざらしだというのだから……。
それが、動物の生態がよりよく理解できる『行動展示』に変えただけで甦ったのだ。まさに知恵の力である。
ただ、ここで考えてほしいことがある。それは、どんなに素晴らしいアイデアでも行動に移さなければ、ただの思いつきにすぎないということだ。
旭山動物園の行動展示も、アイデアそのものは10数年前からあった。しかし、行動に移せないでいた。それが、二進も三進もいかない状況に追い込まれた時に初めて行動に移されたのだ。
本連載で紹介したことのある沖縄の「サンエー」、和歌山の「島精機製作所」は、いずれもが「思考する、知恵を出す」ことを大事にする会社で、社内にロダンの「考える人」が置かれている。
そんな両社に今ひとつ共通するのが行動重視の考えだ。サンエーは社訓に「有言実行」と記されているし、島精機製作所には、手を動かすこと、行動を象徴するものとして、イタリアのボッティ―ロの彫刻「ラージハンド」が展示されている。
本連載の116回目にも書いたように『学習』⇔『思考』⇔『行動』のサイクルが何より大事だと考えたい。
著者プロフィール
疋田 文明(ひきた ふみあき)
有限会社 ABO
経営コンサルタント・元気塾主宰- 日本交通公社(JTB)勤務後、中小企業経営者を対象とした各種セミナーの企画・運営会社等々を経て、1979年に竹村健一未来経営研究会を企画設立し事務局長に就任。1986年に竹村健一氏のもとから独立。現在、フリーランスのライターとして活躍中。
http://www.hikita10.jp
[2009年3月12日 掲載]
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