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『学習』が元気印企業への道 ― その3
「同業先進企業の失敗」「クライアントの業界」を学べ
「学習こそが競争力の源泉」(ウェルチの言葉)との考えから、なぜ学習が大事なのか、学習企業になるためにはどこで何を学べばいいのかについての筆者の考えを二回にわたって書いてきた。今回もその延長線上で、組織としての学びについて書いてみたい。
同業者の成功事例を学習・研究の対象とする企業があるが、これはあまりお勧めできない。なぜなら、同業者を研究するあまり、先進企業の戦略・戦術にとらわれ、気になり、結果として同じことをやって同質の競争に陥りがちだからだ。
ものづくりの世界では、後発企業が先発企業に追いつくために、あえて、『創造的模倣』をすることがある。筆者は、この考えを否定しないが、それだけでは永遠に競争優位性を手にすることはできない。
同業者の成功事例をなぜ研究するのか、と問われれば、筆者なら、「そこがやっていないことをやるため」と答える。研究した結果、同質の競争に陥って苦しむぐらいなら、やらないほうがいい。同じ同業者を研究するのなら、失敗事例に目を向けた方がいい。
婦人服の製造小売りで、後発でありながら勝ち組になったハニーズ(福島県いわき市本連載110回目参照)の江尻義久社長に、成長する上で何が一番の勉強になりましたか、と聞いた時の答えは次のようなものだった。
「1990年代には、この業界には御三家と呼ばれるトップスリーの会社がありました。ところがこの3社共に、90年代半ば以降業績を落としていきました。私は、御三家がなぜ衰退したのかを徹底的に研究したのですが、これがその後の経営に一番役に立ちました」
中国の古典「漢書」にも、「前車の覆るは後車の戒め」とあるが、まさに失敗に学ぶことが成長の原動力になったのである。
企業を学習の対象とするのなら、クライアント企業の業界を学習対象とすることをお勧めする。
後発でありながら、お茶業界でトップになった、伊藤園の本庄八郎社長は、何がよかったのかと聞かれたときに、「スーパーへの売り込みに成功したからだ」と話した後、次のように続けておられる。
「お茶のことを徹底的に研究・勉強しましたが、同じぐらいスーパー業界のことを研究しました。だからこそ、私たちの提案も聞いていただけたのではないでしょうか」
クライアント企業の業界のことを学習する……当り前に思えることだが、意外と出来ていないのが現実だ。
例えばこんな例もある。
いまスーパー業界では、チラシの功罪がいわれ、見直し傾向にある。ところが、スーパーにチラシを納入している印刷会社では、なんとか売上を拡大しようと、スーパーに対して、「いい印刷機械を導入しましたので、もっと高質なチラシにしませんか、版を大きくしませんか」等々、チラシに限定して提案を行なっている。売り込む側は、自分たちの技術、スキル、商品力を前面に出して提案するが、相手のニーズがそこになかったら、いかにいいものでも採用されないのだ。
著者プロフィール
疋田 文明(ひきた ふみあき)
有限会社 ABO
経営コンサルタント・元気塾主宰- 日本交通公社(JTB)勤務後、中小企業経営者を対象とした各種セミナーの企画・運営会社等々を経て、1979年に竹村健一未来経営研究会を企画設立し事務局長に就任。1986年に竹村健一氏のもとから独立。現在、フリーランスのライターとして活躍中。
http://www.hikita10.jp
[2009年2月12日 掲載]
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