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『学習』が元気印企業への道 ― その2

問題意識さえあれば、いつでも、どこでも学べる

企業・企業人にとって学習がなぜ大事なのかについては前回書いた。では、「学習企業」になるためには、どのような取り組みが大事なのか、ビジネスマンは、どこでなにを学べばいいのだろうか……。

学習の大事さを説いた(前回参照)カルロス・ゴーンは、次のように言っている。
「大学で勉強すればいいのでしょうか。それは違います。私は、大学に7年間通いましたが、そこで学んだもので仕事の役に立ったのは、2%ぐらいしかありませんでした。―略― 人間は経験を通じてこそ多くを学ぶことができます」

単純には、経験・仕事を通じて学習すると考えればいいだろう。では、経験・仕事から学べる人と学べない人はどこが違うのか。
キーワードは「問題意識」だ。

問題意識がなく、漫然と仕事に取り組んでいたのでは、仕事は何も教えてくれず、いたずらに経験を積み重ねるだけになってしまう。
「なぜ、この仕事をやっているのか、この仕事のどこかに問題点はないか、お客はなんでこんな発言をしたのか……」などなど、問題意識を持って仕事をしていると、仕事そのものが学習の場になると考えればいい。信越化学の金川千尋社長も、「仕事は宝の山」といっているが、まさにその通りだと思う。

筆者は、「学習企業」を目指してください、とはいうが、難しく考える必要はない。職場が教室、仕事が教材、顧客が先生の気持ちで、日々の仕事から学ぶ風土を築き上げていけばいいのだ。
ただし、経験から学ぶことの限界も知っておいていただきたい。なぜなら、一人の人間がその一生涯で経験できることはたかが知れているからだ。そこで、他人の経験、先人の知恵から学ぶことが大事になってくる。

経営の神様と呼ばれた松下幸之助さんは、聞くことで学ぶ人だったと、ハーバードビジネススクールの名誉教授コッターは指摘し、次のように書いている。
「彼の言葉で好きなのは、『謙虚な心と開かれた精神があれば、誰からも、どこからも、いつでも学べる』というもの」

松下幸之助さん以外にも、学校教育を受けずに名経営者になった人は数多くいるが、それらの人に共通しているのは、人の話に謙虚に耳を傾けるところにあるのだ。
他人の経験、先人の知恵に学ぶということからすれば、本を読むことも大事になってくる。かつて、なんの専門教育も受けずに、非常に精度の高い金型メーカーを作り上げた経営者に、どこで勉強されたのですかと聞いたことがあるのだが、その答えは次のようなものだった。
「図書館にいけば、金型関係の本が沢山あります。それを片っ端から読んで、今の技術を構築したのです」

企業人として成長したいと願うなら、まず仕事から学ぶ姿勢をもち、謙虚に人の話に耳を傾け、いろんなジャンルの本を読んでいただきたいと思うが、とりわけ参考になると思えるのが古典だ。

山本七平さんは、中国・唐の二代目の帝位にあった太宗と部下の言行をまとめた『貞観政要』をベースに、『帝王学』という本を書いておられるが、次のような記述がある。
「本書(貞観政要)を読んでいけば、今話題になっているすべての問題は、すでに論じつくされているといっても過言ではない」

筆者は、この言葉に刺激を受けて、『貞観政要』を読んでみたのだが、まさに山本さんの指摘通りだった。
「持続することの難しさ」「上司と部下の関係」「過去に功のあった人の処遇の仕方」「失敗に学ぶことの大事さ」「人民(社員)を豊かにしないと国(会社)は滅びる」「変化して適応すべし」……枚挙に暇が無いほどに、現代社会でも問題になっていることが書かれている。
学習の大事さは、前回紹介した「論語」に書かれていることをみても、古典から学ぶべき点は多々あると思う。
次回は、組織として、何を学ぶべきかについて、筆者なりの考えを書く。

著者プロフィール

疋田 文明(ひきた ふみあき)
有限会社 ABO
経営コンサルタント・元気塾主宰
日本交通公社(JTB)勤務後、中小企業経営者を対象とした各種セミナーの企画・運営会社等々を経て、1979年に竹村健一未来経営研究会を企画設立し事務局長に就任。1986年に竹村健一氏のもとから独立。現在、フリーランスのライターとして活躍中。
http://www.hikita10.jp

[2009年1月15日 掲載]


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