![]()
『学習』が元気印企業への道 ― その1
「学ぶに如かず」(論語より)
このシリーズでは、企業ぐるみで知恵を出すことが元気印企業を作ると、何回か書いてきた。この考えは今も変わりはないのだが、ただ考えるだけでは知恵は出て来ないことも知っておいていただきたい。知恵を出す前には、前段階としての学習が不可欠なのだ。
優良な経営者は、異口同音に『学習』の大事さを説いている。「学習マシーン」とも称されたウェルチは、「学習こそが競争力の源泉」といい、カルロス・ゴーンは、「会社が成功するために最も大切な要素は、社員ひとりひとりが常に学習する姿勢でいることだと思っている」といっている。
たしかにその通りなのだが、学習がなぜそれほど企業経営で重きをなしているのか、なぜ学習しないといけないのか、といった問いかけに対する明確な答えを、筆者が知る限り二人は語っていない。
例えば、あなたのお子さんが、「なぜ勉強しないといけないの」と聞いたときになんとお答えになるか。正直、学校での勉強が嫌いだった筆者は、なんと答えていいか分からなかった。しかし、最近、山本七平さんの本を読んでいて、納得できる言葉に出会った。
「質のいい記憶の量を増やせば増やすほど、その人間の発想の総量は増えていく」
学習することで質のいい記憶の量が増えれば、それにつれて発想が豊かになるとの山本さんの指摘は本当に納得できる。発想が豊かになれば、人生が楽しくなる。人生を楽しむために学習すると考えればいいのだ。
山本さんは次のような指摘もしている。
「天才といえども、結びつけうる諸概念を持っていない限り新しい発想はできない」
先ごろ、ノーベル物理学賞を受賞された方が、「風呂に入っているときにひらめいた」といったような話をされていた。たしかに、思いつかれた場所が風呂なのだろうが、その前段階として、色々な概念を頭の中に植えつけて置かれたからこそ、アイデアが生まれたことを忘れてはならないと思う。
「学習」が大事なことは、2500年も前に、孔子が指摘している。
「吾嘗て終日食らわず、終日寝ず、以って思う。益なし。学ぶに如かざるなり」
孔子はこうもいっている。
「我は生まれながらにしてこれを知る者にあらず、古を好み、敏にして以ってこれを求めし者なり」
孔子の『論語』も、『学習』がベースになって出来上がったものなのだ。
経営者の多くは、「考えろ、知恵を出せ」と部下社員にいう。たしかに、考えて知恵を出さないとダメなのだが、それをいうまえに、会社ぐるみで学習する風土を作り上げないといけないということだ。
最後に、もうひとつ、「学習」の大事さを指摘している言葉を紹介しておこう。
「従業員が学ぶ意欲を失っていたら画期的な戦略は生まれず、資金も資源も豊富な他社と競い合うことはできなかった。生涯学習の意欲に燃える従業員の警戒心を鍛え、知識と創造力を磨いている。そいう従業員のお陰でサウスウエスト航空は、常に新しい方法を考え、業務の簡素化やコスト削減、顧客サービスの向上に取り組める」
これは、後発でありながら、画期的なアイデアの次々に実行に移すことで、勝ち残ってきたサウスウエスト航空のトップの言葉だが、まさに的を射ていると思う。
では、「学習企業」になるためには、どのような取り組むが大事なのか、ビジネスマンは、どこでなにを学べばいいのか……等々については次回に書く。
著者プロフィール
疋田 文明(ひきた ふみあき)
有限会社 ABO
経営コンサルタント・元気塾主宰- 日本交通公社(JTB)勤務後、中小企業経営者を対象とした各種セミナーの企画・運営会社等々を経て、1979年に竹村健一未来経営研究会を企画設立し事務局長に就任。1986年に竹村健一氏のもとから独立。現在、フリーランスのライターとして活躍中。
http://www.hikita10.jp
[2008年12月11日 掲載]
関連記事
- 第136回 繁盛店を作り続けた経営者・小山武夫の経営に学ぶ ― その2
- 第137回 『学習』が元気印企業への道 ― その1
- 第138回 『学習』が元気印企業への道 ― その2
メルマガ登録無料
記事についてのご質問・ご意見ご要望など、お気軽にお問い合わせください。

