Fujitsu The Possibilities are Infinite

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「想像力」を磨いて「変化対応能力」を身につける

未来よりも将来を見よ

「変化に対応するのが経営」だとはよく言われるところだが、前回紹介した由利工業グループの須田精一社長も、経営で最も大事なのは、変化対応能力だという。確かにその通りなのだが、変化に対応することほど難しいこともない。須田精一社長の、次のような考えに筆者も同感しているので、ここに紹介したい。

「変化対応能力は、どうすれば身に付くのかといえば、想像力だと思います。変化を見極め、対応するには、クリエーションではなくイマジネーションが必要なのです。切らないとわからない外科医ではなく、問診で見当をつける内科医の心境になれるかどうかです。私は製品を愛せといいますが、それはちょっとした変化に気付いてほしいからです。例えば焼き物であるセラミックは、焼き具合だって毎日違います。仕上がりのちょっとの違いに気付いて、なぜかと想像して考える。ちょっとした変化の兆しを見つけて、なぜなんだ、どうすればいいのかと考え続けることで、変化対応能力は身に付くと思います」(須田精一社長)

創造力を身に付けろ、と言う社長は数多くいる。しかし、芸術家ならともかく、普通の社員には至難の業だ。ところが、須田社長のいう想像力なら、可能性はあると思うのだがどうだろうか。

トヨタでは異常に気付いたら、「なぜを5回繰り返せ」という。これも、想像力のなせる業なのだ。

「変化対応能力」を身につける上で、いまひとり参考になる経営者は、阪急グループの創始者小林一三さんの次の考えだ。

「百里先の見える人は、世の中から変人扱いされる。現状に踏みとどまるものは落伍者となる。十里先を見て、それを実行する人が世の成功者である」

郊外での宅地開発、ターミナル百貨店、ビジネスホテル、地下街等々を最初に事業化した小林さんの発想の原点がこの言葉に集約されている。

それでは、十里先とはどれほど先のことなのか。小林さんは、こうした問いに直接答えてはいないが、その著書などから私は次のように類推している。

「十里先を見るとは、今流行っているものを追いかけることではなく、やがて受けるものを見つけることが大事」――小林さんのいわんとするところはこんなところだろう。

ところが多くの企業人は、変化に対応しなければダメだ、先見性がなければダメだといいながら何をしているのか。

ひとつは、先の先を見てしまう。未だ来たらずの未来に目を向けてしまっている。これは小林さんの百里先と同じで、ビジネスの世界では、速すぎて失敗するタイプだ。

いまひとつは、今流行っているものを徹底して追い掛けるタイプ。いま流行っているものは、言い換えれば、やがて流行らなくなるものだけに、これでは成功を手にすることはできない。

小林さんの十里先とは、将に来たらんとする将来のことだと考えればいい。では将来のことはどうすれば分かるのか。

小林さんは、「深く潜在する消費者の声に耳を傾けろ」といった主旨の発言をしている。お客さんの声の中、行動の中に変化の兆しを見つけそれに対応しろといっているのだ。

お客さんが、今までいわなかったような発言をしたり、今まで取らなかったような行動をすれば、それを変化の兆しとしてとらえ、その変化の意味するところを考え、自らのビジネスを対応させていけばいいとの考えだ。

ものづくりの須田社長、サービス業の小林さん、手掛けた事業に共通項はない。しかし、ささいな変化の兆しを見つけ出し、それに合わせてビジネスを展開していくという考えは実に似ている。多くの経営者に参考にしていただきたい。

著者プロフィール

疋田 文明(ひきた ふみあき)
有限会社 ABO
経営コンサルタント・元気塾主宰
日本交通公社(JTB)勤務後、中小企業経営者を対象とした各種セミナーの企画・運営会社等々を経て、1979年に竹村健一未来経営研究会を企画設立し事務局長に就任。1986年に竹村健一氏のもとから独立。現在、フリーランスのライターとして活躍中。
http://www.hikita10.jp

[2007年6月14日 掲載]


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