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カルロス・ゴーン日産自動車社長と藤田田日本マクドナルド社長の共通点

~ビジネスは現実の上で成り立っている~

経営者なら誰でも、自分の会社の理想像はあるだろう。しかし、理想を掲げるだけでは元気印の企業を育てることはできない。理想を実現するためには、まず自社の置かれている現実を的確に把握することから始めないといけない。現実をしるには現場を見るしかない。今回は「現場重視」の経営を考えてみた。

日産を再建したカルロス・ゴーン社長の「ルネッサンス」がよく売れているらしい。2001年11月29日の日経新聞は、ゴーン社長の影響力はきわめて強く、「日本の経営者を『ゴーン前派』と『ゴーン後派』に色分けしそうだ」とまで書いている。

そんなゴーン社長の経営上の特長はいくつもあるが、際立っているのは徹底した「現場重視」のスタイルだと、筆者は考えている。それは、「ルネッサンス」の執筆協力者だった、ミゲール・リヴァースミクー氏の以下の言葉からもうかがい知ることはできる。

「実はゴーン氏には確固たる経営哲学がない。本人もいっていますが、特にビジネススクールで学んだわけではないので、型にはまったものは持ち合わせていません。だから、まずは現場の話を丁寧に聞いて回ることから始めて、そのなかで問題点を浮き彫りにし、解決のための処方箋を導き出す。経営学を学んでいないがゆえに現場重視のしなやかな対応ができることが成功の秘訣ではないでしょうか」(2001年12月7日 週刊ポスト)。

ミゲール・リヴァースミクー氏は、経営哲学がないというが、「まず現場の話を聞く」ことこそが、ゴーン社長の確固たる経営哲学だといえると筆者は考えている。

日本の経営者で、ゴーン社長と同様に「現場重視」の経営哲学の持ち主が日本マクドナルドの藤田 田社長だ。藤田社長は、毎週土・日には、必ずといっていいほど、マクドナルドのお店で自社の商品を買い求めると言う。なぜ、それほどまでに店を見に行くのか、と聞いた時の答えは次の様なものだった。

「ビジネスというのは現実の上に成り立っているのです。オフィスの机の上ではなにも起きないんですよ。現実にマクドナルドのお店でなにが起きているのかは、本部にいていてはわかりません。安く売るといっても、お客さんがどういう反応をしているのかは、現場へ行って自分の目で確かめ、また、ストアマネージャーに聞いてみないとわからないじゃないですか。理想を掲げるのはいいが、それで終わっていてはいけません。現場を見た上で、理想に近づけるためにどうしたらいいのかを考えるのが経営ですよ。現場優先主義、現場が一番大切だと僕はいっているんですよ」

藤田社長は、お客さんの反応をチェックするばかりではない。従業員がスムーズにオペレーションできるようなシステムになっているかどうかも、現場であるお店にまで自ら足を運んで確認するという。

例えば、コンピュータの新しいシステムを導入したとする。本部の情報担当者が万全だと考えたシステムであっても、現場では使いにくいようなケースがある。そんな状況に陥っていないかどうかを、藤田氏自身が直接確認しているのだ。

藤田社長が重視する現場は、自社の店舗ばかりではない。競合店やコンビニでも頻繁に客の立場で買い物をしている。そうすると、自社の劣っているところ優れているところは一見してわかるようになるともいう。

マクドナルドでは、本部スタッフは、月に3回は自社の店で商品を買ってレポート提出を義務付けられている。本部スタッフの意識が常に現場に向くような仕組みがつくられてもいるのだ。

ただ、日本の経営者の多くは、藤田社長同様に「現場第一主義」を口にはする。しかし、実行が伴っていないのだ。藤田社長やゴーン社長が大きな成果をあげることができるのは、掛け声だけで終わらずに具体的に実践しているからだ。ゴーン社長の、「実行こそすべて――これが私の持論である」という言葉を最後に付け加えておこう。

著者プロフィール

疋田 文明(ひきた ふみあき)
有限会社 ABO
経営コンサルタント・元気塾主宰
日本交通公社(JTB)勤務後、中小企業経営者を対象とした各種セミナーの企画・運営会社等々を経て、1979年に竹村健一未来経営研究会を企画設立し事務局長に就任。1986年に竹村健一氏のもとから独立。現在、フリーランスのライターとして活躍中。
http://www.hikita10.jp

[2001年12月11日 掲載]


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