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第7回 労働災害のリスクマネジメント

労働災害の現状

厚生労働省の労働災害動向調査によると、労働災害発生頻度は、昭和の間は減少の一途を辿っていましたが、平成の時代になってから、ほぼ横ばいになっていることがわかりました。年度によっては、前年を上回る年もあるようになって来ました。

今までの管理的方法による労働災害の防止方法が一段落し、新たな労災防止の方法論が求められている、これが労働現場の現状ではないでしょうか。その一つの候補として、ここでもリスクマネジメントの考え方が注目を浴びています。

ハインリッヒの法則

ドイツ系のアメリカ人技師であるハインリッヒが、労働災害事故の統計データから見いだした経験則として、「ハインリッヒの法則」と呼ばれるものがあります。

  • 1件の大きな事故の背景には、およそ30件の小さな事故があり
  • 30件の小さな事故の背景には、およそ300件の「ヒヤリとするような瞬間」がある

法則名は知らなくとも、どこかで聞いたことのある方も多いのではないでしょうか。

労働災害のリスクマネジメントには、このハインリッヒの法則の考え方を活用することができます。重大事故の背景には、およそ300件の「ヒヤリ」があるのです。どんな「ヒヤリ」が、どこでどの程度の頻度で発生しているのかを調べることで、潜在的リスクを調査することとほぼ同じことができる、そう考えられるからです。

まず、リスクの軽減を

社内で「ヒヤリ」の調査を行ってみた結果、発生頻度の高いものがあった場合、それは会社が高いリスクを保有してしまっていることを意味しています。ハインリッヒの法則によれば、10回に1回は小規模な事故に、300回に1回は大事故につながるのですから、放置すべきではありません。

まず、それらに対して根本的な対策をとり、「ヒヤリ」の発生頻度を減らしていく。これが労働災害向けリスクマネジメントの第一歩となります。現場監督や安全パトロール、作業員の意識向上に加え、労災防止にはこのような論理的アプローチも積極的に取り入れていくべきでしょう。

リスク転嫁も選択肢の一つ


理想は労災を発生させないことですが、発生率をゼロにすることは難しいでしょう。労働災害に対しても、リスクを転嫁してしまう、つまり保険加入は経営上有効な選択肢となります。第三者たる損保会社や生命保険会社にリスクを転嫁する方法です。

リスクを転嫁するか、それとも軽減するか。労働災害の場合、比較的どちらの戦略を採るべきなのかは、比較的わかりやすいと言えます。なぜなら、「ヒヤリ」の発生頻度調査結果から、ハインリッヒの法則にて大事故の発生頻度が予測できるからです。あとは、発生時の被害金額さえ見積もることができれば、どちらの戦略が優位なのかの判断は容易に行えます。

ITコンサルタント 小松 信治
[2005年12月8日 掲載]


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