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  5. 年金パーフェクトガイド 第10回 遺族年金(2) (遺族厚生年金)

年金パーフェクトガイド
第10回 遺族年金(2) (遺族厚生年金)

1.遺族厚生年金の受給要件

遺族厚生年金は、厚生年金の被保険者や被保険者であった方が死亡した場合にその遺族に遺族基礎年金に合わせて支給される年金です。遺族厚生年金を受けるには死亡した方が、その死亡の当時以下のいずれかの要件を満たしていることが必要です。

  1. 厚生年金の被保険者が死亡したとき
  2. 厚生年金の被保険者であった方で、被保険者であった間に初診日があるけがや病気によりその初診日から5年を経過する日前に死亡したとき
  3. 障害等級1級または2級に該当する障害の状態にある障害厚生年金の受給権者が死亡したとき
  4. 老齢厚生年金の受給権者が、死亡したとき
  5. 老齢厚生年金の受給資格期間を満たした方が死亡したとき

(1)または(2)に該当する場合には、次のいずれかの保険料納付要件を満たしていることが必要です

  1. 死亡日の前日において、死亡日の属する月の前々月までの国民年金の被保険者期間のうち、保険料納付済期間と保険料免除期間を合算した期間が、3分の2以上あること
  2. 死亡日が平成28年4月1日前の場合は、死亡日において65歳未満であり、死亡日の属する月の前々月までの1年間に保険料滞納期間がないこと

2.遺族の範囲

遺族厚生年金を受けることができる遺族は、被保険者または被保険者であった方の死亡の当時、その方によって生計を維持していた次の方です。先順位の遺族がいる場合には、その遺族が遺族厚生年金の受給権を取得し、後順位の遺族は、遺族厚生年金を受けられる遺族になりません。

  1. 配偶者および子
  2. 父母
  3. 祖父母

子、孫については、被保険者または被保険者であった方の死亡の当時18歳に達した日以後最初の3月31日までにあるか、20歳未満で障害等級1級または2級の障害の状態であり、かつ、現に婚姻をしていないことが要件となります。なお、被保険者または被保険者であった方の死亡の当時胎児だった子が生まれたときは、将来に向かって、その子は死亡の当時死亡した方によって生計を維持していたものとみなし、出生した日に遺族厚生年金の受給権を取得します。

夫、父母、祖父母については、被保険者または被保険者であった方の死亡の当時55歳以上であることが要件となります。ただし、遺族として遺族厚生年金の受給権を得ても60歳に達するまでは支給停止になります。

妻についてのみ年齢要件はありません。配偶者には、婚姻の届出をしておらず事実上の婚姻関係と同様の事情にある方を含みます。

3.遺族厚生年金の年金額

遺族厚生年金は、遺族基礎年金に合わせて支給されます。遺族が、子のない妻、夫、父母、祖父母または孫の場合には、遺族基礎年金は支給されず遺族厚生年金のみ支給されます。子のない中高齢の妻には遺族基礎年金は支給されませんが、遺族厚生年金に寡婦加算が加算して支給されます。

【遺族に応じた遺族年金の内容】

遺族厚生年金は、報酬比例部分の老齢厚生年金の4分の3に相当する額となっています。ただし、受給要件が「短期要件」(1の(1)~(3))か「長期要件」(1の(4)(5))かによって計算式が異なります。老齢厚生年金の受給権者で、かつ、被保険者である方(在職老齢年金の受給権者)が死亡した場合などいずれの要件にも該当する場合には、遺族がどちらの要件で受給するか選択することができます。

遺族厚生年金の年金額は、(1)+(2)合計で計算されます。

  1. 平成15年3月以前の期間
    平均標準報酬月額(注1) × 7.5(注2) / 1,000 × 被保険者期間月数 × 1.031 × 物価スライド率(注3) × 3/4
  2. 平成15年4月以後の期間
    平均標準報酬月額 × 5.769 / 1,000 × 被保険者期間月数 × 1.031 × 物価スライド率× 3/4

注1 (1)の平均標準報酬月額は、平成15年3月以前の被保険者期間に係るもの。(2)の平均標準報酬月額は、平成15年4月以降の被保険者期間に係る各月の標準報酬月額と標準賞与額の総額を当該被保険者期間月数で除したもの
注2 長期要件に該当する場合は、死亡した方の生年月日に応じて乗率を読み替える((1)は10~7.5/1,000、(2)は7.692~5.769/1,000)
注3 物価に応じた乗率(平成20年度0.985)

なお、短期要件については、被保険者期間の月数が25年(300カ月)に満たない場合は、総報酬制導入以前の期間分(1)と総報酬制導入後の期間分(2)を合計したものに、300カ月を実際の加入期間の月数で除して得た数を乗じて計算します。

4.年金額の改定

配偶者以外の方に遺族基礎年金が支給される場合で、受給権者が2人以上いるときは、遺族基礎年金の年金額は総額を受給権者の数で除して得た額になります。この場合に受給権者の数に増減が生じたときは、増減を生じた月の翌月から年金額が改定されます。

5.中高齢寡婦加算

夫の死亡の当時に子のない妻には遺族基礎年金が支給されません。また、子のある妻で遺族基礎年金が支給されてもすべの子が18歳に達した日以後の最初の3月31日が終了するか、または障害等級1級または2級の障害状態にある子については20歳に達したときに遺族基礎年金の受給権は失権してしまいます。このような事情を考慮し、次のいずれかの要件を満たす妻には、遺族厚生年金に中高齢寡婦加算が加算して支給されます。

  1. 夫の死亡の当時に子がない40歳以上65歳未満の妻
  2. 40歳に達したときに夫の死亡の当時から生計を同じくしている子がある妻

死亡した夫が長期要件に該当する場合は、被保険者期間が20年(中高齢の受給資格期間の短縮特例に該当する方は、生年月日に応じて19年~15年)である場合に限り中高齢寡婦加算が支給されます。

中高齢寡婦加算の額は、遺族基礎年金の4分の3に相当する額の594,200円(平成20年度価額)で、妻が65歳に達するまで支給されます。妻が遺族基礎年金を受けることができるときは、その間、中高齢寡婦加算は支給停止されます。

中高齢寡婦加算が加算された遺族厚生年金を受けている妻が65歳になると、老齢基礎年金を受給できるようになるため中高齢寡婦加算は支給されなくなります。この場合、昭和31年4月1日以前に生まれた方については、法施行日(昭和61年4月1日)以後、60歳に達するまでの期間国民年金に加入しても施行日前に国民年金に任意加入していなければ、老齢基礎年金がそれまで支給されていた中高齢寡婦加算に満たない場合が生じます。

そこで、中高齢寡婦加算の額と法施行日から60歳に達するまで国民年金に加入した場合に支給される老齢基礎年金の年金額の差額が65歳から経過的中高齢寡婦加算として加算されることにより、一定水準の年金額が保証されます。

6.支給停止

遺族基礎年金は、次のいずれかに該当するときは支給停止されます。

  1. 夫、父母または祖父母に対する遺族厚生年金については、受給権者が60歳に達するまでの期間
  2. 子に対する遺族厚生年金については、妻が遺族厚生年金の受給権を有する期間
  3. 妻に対する遺族厚生年金については、妻が遺族基礎年金の受給権を有しない場合で、子が遺族基礎年金の受給権を有するときは、その期間(ただし、子に対する遺族厚生年金が支給停止されている間はこの限りでない)
  4. 夫に対する遺族基礎年金については、子が遺族厚生年金の受給権を有する場合は、その期間(ただし、子に対する遺族厚生年金が支給停止されている間はこの限りでない)

受給権者である配偶者または子が1年以上所在不明のときは、子または配偶者の申請により、所在不明となったときに遡って配偶者または子の遺族厚生年金が支給停止されます。配偶者以外の方に対する遺族厚生年金の受給権者が2人以上いる場合で、そのうち1人以上が1年以上所在不明のときは、他の受給権者の申請により、所在不明となったときに遡って支給停止されます。ただし、いずれの場合も支給停止を受けた遺族は、いつでも支給停止の解除を申請することができます。

7.失権

失権とは遺族厚生年金の受給権が消滅することです。遺族厚生年金の受給権は、受給権者が次のいずれかに該当する場合には、消滅します。

【受給権者に共通の失権事由】

  1. 死亡したとき
  2. 婚姻(事実上の婚姻関係を含む)したとき
  3. 直系血族または直系姻族以外の養子(事実上の養子縁組関係を含む)となったとき
  4. 離縁によって死亡した被保険者または被保険者であった者との親族関係が終了したとき

【子、孫のみに適用される失権事由】

  1. 18歳に達した日以後の最初の3月31日が終了したとき(障害等級1級または2級の障害状態にあるときを除く)
  2. 障害等級1級または2級の障害状態にある子について、その事情がやんだとき(その子が18歳に達した日以後最初の3月31日までの間にあるときを除く)
  3. 20歳に達したとき

【父母、孫、祖父母のみに適用される失権事由】

  1. 被保険者または被保険者であった方の死亡の当時胎児であった子が出生したとき

人事労務コンサルタント / 社会保険労務士 金子 賢一
[2009年2月12日 掲載]


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