年金パーフェクトガイド
第8回 障害年金(2) -障害厚生年金-
1.障害厚生年金の受給要件
障害厚生年金は、けがや病気で一定の障害状態になったときに支給される年金です。障害等級1級または2級の障害の状態になったときには、障害基礎年金と合わせて障害厚生年金が支給されます。障害厚生年金を受けるには以下の要件をすべて満たしていることが必要です。
- けがや病気の初診日に厚生年金の被保険者であること
- 障害認定日に障害等級(1級、2級または3級)に該当する障害の状態にあること
- 次のいずれかの保険料納付要件を満たしていること
- けがや病気の初診日の前日において、初診日の属する月の前々月までの国民年金の被保険者期間のうち、保険料納付済期間と保険料免除期間を合算した期間が、3分の2以上あること
- 初診日が平成28年4月1日前の場合は、初診日において65歳未満であり、初診日の属する月の前々月までの1年間に保険料滞納期間がないこと
障害認定日とは、障害の原因となったけがや病気の初診日から1年6カ月を経過した日、または1年6カ月以内に治った場合には、治った日をいいます。治った日とは、症状が固定し、治療の効果が期待できない状態に至った日を含みます。
2.事後重症による障害厚生年金
障害認定日において、障害等級に該当する障害の状態になければ、障害厚生年金は支給されません。ただし、障害認定日後65歳に達する日の前日までに、そのけがや病気による障害の程度が重くなり、障害等級に該当する程度の障害の状態になった場合には、65歳に達する日の前日までに障害厚生年金を請求することができます。なお、事後重症による場合であっても初診日における被保険者要件および保険料納付要件を満たしている必要があります。

なお、障害等級3級の障害厚生年金の受給権者について、その障害の程度が増進し、障害等級1級または2級に該当する障害の程度になった場合は、障害厚生年金の年金額の改定に伴い、障害基礎年金についても請求があったものとみなされます。
3.基準障害による障害厚生年金
障害等級1級または2級に該当する障害の状態にない障害(その他の障害)を持つ人に、新たなけがや病気(基準傷病)が生じ、その他の障害と基準傷病による障害(基準障害)を併合して、基準傷病の障害認定日以後65歳に達する日の前日までに初めて障害等級1級または2級に該当する程度の障害の状態になった場合には、障害厚生年金を請求することができます。この場合、基準傷病の初診日における被保険者要件および保険料納付要件を満たしている必要があります。

4.障害厚生年金の年金額
障害厚生年金は、報酬比例部分相当額の老齢厚生年金と同様の計算式によって算定されます。障害等級1級の障害厚生年金の年金額は、障害厚生年金2級の年金額の1.25となっています。障害等級1級および2級の障害厚生年金には、受給権者によって生計を維持されている65歳未満の配偶者がいる場合には、加給年金額(227,900円)が加算されます。配偶者の加給年金額には、老齢厚生年金のような特別加算はありません。
| 障害厚生年金1級 | 報酬比例相当の年金額×1.25+配偶者の加給年金額 |
|---|---|
| 障害基礎年金1級 | 990,100円+子の加算額 |
| 障害厚生年金2級 | 報酬比例相当の年金額+配偶者の加給年金額 |
|---|---|
| 障害基礎年金2級 | 792,100円+子の加算額 |
| 障害基礎年金3級 | 報酬比例相当の年金額(最低保障額594,200円) |
|---|
報酬比例相当の年金額は、(1)+(2)合計で計算されます。
(1)平成15年3月以前の期間
| 平均標準報酬月額注1×7.5/1,000注2×被保険者期間月数×1.031×物価スライド率注3 |
(2)平成15年4月以後の期間
| 平均標準報酬月額×5.769/1,000×被保険者期間月数×1.031×物価スライド率 |
- 注1 (1)の平均標準報酬月額は、平成15年3月以前の被保険者期間に係るもの。(2)の平均標準報酬月額は、平成15年4月以降の被保険者期間に係る各月の標準報酬月額と標準賞与額の総額を当該被保険者期間月数で除したもの
- 注2 報酬比例相当額の老齢厚生年金と異なり、生年月日による読み替えはない
- 注3 物価に応じた乗率(平成20年度0.985)
なお、被保険者期間の月数が300カ月(25年)に満たない場合は、総報酬制導入以前の期間分(1)と総報酬制導入後の期間分(2)を合計したものに、300カ月を実際の加入期間の月数で除して得た数を乗じて計算します。
5.障害手当金
障害手当金は、厚生年金独自の給付です。障害等級3級より軽度の障害の状態になった場合に一時金として支給されます。障害手当金は、次のすべての要件を満たした人に支給されます。
- けがや病気の初診日に厚生年金の被保険者であること
- 初診日から5年を経過する日までにけがや病気が治っていて、治った日において障害手当金の障害の程度に該当すること
- 障害厚生年金と同様に障害基礎年金を受けるのに必要な保険料納付要件を満たしていること
| 障害手当金(一時金) | 報酬比例相当の年金額×2(最低保障額1,168,000円) |
|---|
6.年金額の改定
障害厚生年金の受給権者が毎年提出する「年金受給権者現況届」により、社会保険庁が障害の程度を診査し、障害の程度が従前の障害等級と異なると認めるときには、障害の程度に応じた障害厚生年金に改定されます。一方、障害厚生年金の受給権者は、障害の程度が増進したことによる年金額の改定を請求することができます。ただし、障害厚生年金の受給権を取得した日、または診査を受けた日から1年を経過した後でなければ改定請求はできません。なお、障害等級3級である65歳以上の障害厚生年金の受給権者は、この改定請求を行うことができません。
障害厚生年金の年金額の加算対象となる配偶者が死亡したり、生計維持関係がなくなったり、離婚したり、または65歳に達したときは、該当した月の翌月から年金額が改定されます。
7.支給停止
障害厚生年金は、受給権者が障害等級に該当する程度の障害の状態に該当しなくなったときは、該当しない期間その支給が停止されます。ただし、支給停止されている障害厚生年金の受給権者に新たなけがや病気が生じ、その他の障害の状態になり、その他の障害の障害認定日以後65歳に達する日の前日までに従前の障害とその他の障害を併合した障害の程度が障害等級1級または2級に該当するときは、支給停止は解除されます。
8.失権
失権とは障害厚生年金の受給権が消滅することです。障害厚生年金は、受給権者が死亡したときに失権します。また、障害の程度が軽くなり障害等級に該当しないまま65歳に達したときに失権します。ただし、65歳になったときに障害等級に該当しなくなってから3年経過していないときには、3年経過したときに失権します。
人事労務コンサルタント / 社会保険労務士 金子 賢一
[2008年12月11日 掲載]
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