年金パーフェクトガイド
第6回 老齢年金(4) - 在職老齢年金 -
1. 60歳台前半の在職老齢年金
年金は働きながらも受けることができますが、在職中で厚生年金の被保険者である方については、老齢厚生年金が、被保険者の給与(総報酬月額相当額)と年金額に応じて全部または一部支給停止されます。
この在職中に受ける老齢厚生年金を「在職老齢年金」といいます。これは厚生年金の被保険者である方に対する給付制限であり、個人事業収入や不動産収入等給与収入以外の収入は支給停止の対象にはなりません。
特別支給の老齢厚生年金の支給停止は、「総報酬月額相当額」と年金額(加給年金額を除く)を12で除した「基本月額」との合計額が28万円を超える場合、以下の計算式によって決定されます。
| 総報酬月額相当 + 基本月額 |
総報酬月額 相当額 (注1) |
基本月額 | 支給停止額(月額) |
|---|---|---|---|
| 28万円以下 | 28万円以下 | - | 全額支給(支給停止なし) |
| 28万円超 | 48万円以下 | 28万円以下 | (総報酬月額相当額+基本月額-28万円)× 1/2 |
| 48万円超 | 28万円以下 | (48万円+基本月額-28万円)×1/2+(総報酬月額相当額-48万円) | |
| 48万円以下 | 28万円超 | 総報酬月額相当額 × 1/2 | |
| 48万円超 | 28万円超 | 48万円 × 1/2 + (総報酬月額相当額-48万円) |
注1:総報酬月額相当額とは、その月の標準報酬月額と、その月以前1年間の標準賞与額の総額を1/12した額との合計額
年金に加給年金額が加算されている場合には、加給年金額を除いた本体の額で支給停止額を計算します。本体が一部でも支給されるならば、加給年金額は全額支給されますが、本体が全額支給されれば、加給年金額も支給されません。
実際に以下の条件で在職老齢年金の計算をしてみましょう。
現在の標準報酬月額 36万円- 過去1年間の標準賞与額の総額 72万円
- 総報酬月額相当額 42万円(36万円+72万円÷12)
- 年金額 240万円(加給年金額を除く)
- 基本月額 20万円(240万円÷12)
総報酬月額相当額が48万円以下で、基本月額が28万円以下ですので、計算式が次の計算式が該当します。
(総報酬月額相当額 + 基本月額 - 28万円) × 1/2
これに数値を当てはめると、以下のように支給停止額は17万円となり、基本月額との差額3万円と加給年金額(月額)の合計額が在職老齢年金して支給されることになります。
(42万円 + 20万円 - 28万円 ) × 1/2 = 17万円
2. 60歳台後半の在職老齢年金
65歳になると老齢基礎年金と老齢厚生年金が支給されますが、65歳未満の方と同様に、65歳以上で厚生年金の被保険者になっている方(昭和12年4月2日以降生まれの方に限る)については、老齢厚生年金が全部または一部支給停止される仕組みになっています。
60歳台後半の在職老齢年金の支給停止は、総報酬月額相当額と基本月額の合計額が48万円を超える場合、以下の計算式により行われます。
| 総報酬月額相当額+ 基本月額 | 支給停止額(月額) |
|---|---|
| 48万円以下 | 全額支給(支給停止なし) |
| 48万円超 | (総報酬月額相当額+基本月額-48万円) × 1/2 |
なお、支給停止となるのは老齢厚生年金のみであり、老齢基礎年金および経過的加算は全額支給されます。
3. 70歳以上の在職老齢年金
平成19年4月から70歳以上の在職者についても60歳台後半の在職老齢年金と同じ仕組みで年金が支給停止されることになりました。ただし、厚生年金の被保険者資格は70歳に達した時点で喪失しますので、保険料の負担はありません。
4. 60歳台前半の老齢厚生年金と雇用保険の給付との調整
(1) 失業給付との調整
60歳で定年を迎え、その後再就職のため求職活動をしている場合など60歳台前半の老齢厚生年金(特別支給の老齢厚生年金)と雇用保険の失業給付(基本手当)を同時に受給できる場合には、失業給付が優先し、原則として老齢厚生年金は支給停止になります。
60歳台前半の老齢厚生年金は、公共職業安定所(ハローワーク)に求職の申込みをした日の属する月の翌月~失業給付の受給が終了した日の属する月まで全額支給停止になります。調整対象期間に受けられる二つの給付を比べて年金のほうが高額になる場合には、失業給付を受けなければ年金は支給停止になりません。
(2) 高年齢雇用継続給付との調整
60歳台前半の老齢厚生年金(特別支給の老齢厚生年金)の受給権者が、雇用保険の被保険者となり高年齢雇用継続給付を受給できる場合には、高年齢雇用継続給付は全額受給できますが、老齢厚生年金は、在職老齢年金の支給停止に加え、標準報酬月額の6%に相当する額を上限として、さらに支給停止されます。
人事労務コンサルタント / 社会保険労務士 金子 賢一
[2008年10月9日 掲載]
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