年金パーフェクトガイド2004
第7回 遺族年金のしくみ
仮に、不幸にして一家の大黒柱が亡くなったとき・・・残された家族の強い味方になってくれるもののひとつが「遺族年金」といえます。
ところが、ただでさえ摩訶不思議な年金問題・・・
大切なわりに遺族年金のしくみもこれまた複雑怪奇ともいえます。
ここでは、イメージしやすいよう3つのケースをあげて簡単に説明していきましょう。
遺族年金がもらえるのはどんなとき?どんな人?
自営業者A子さんのケース
自営業を営むAさん夫婦。中学生と小学生のお子さんがいます。
不幸にして第1号被保険者である夫が死亡した場合、妻のA子さんはどのくらい遺族年金を受けることができるのでしょうか?
まず国民年金の『遺族基礎年金』をもらえる条件をみてみましょう。
<亡くなった人の範囲>
- 国民年金に加入中に亡くなったとき
- 老齢基礎年金の受給資格期間(原則25年)を満たしている人が亡くなったとき
- 老齢基礎年金を受給中の人が亡くなったとき
<遺族の範囲>
死亡当時、亡くなった人によって生計を維持されていた次の遺族が対象となります。
(注)生計維持の認定基準は将来にわたって年収850万円未満であると認められることが必要になります。
- 子のいる妻
- 子
(注)子の条件は、18歳の年度末までの子(つまり高校卒業までの子と考えてください)、または、20歳未満の1級か2級の障害がある子で婚姻していないことが条件です。
遺族基礎年金は定額制
遺族基礎年金は、老齢基礎年金の満額と同額の79万4,500円で、A子さんのように子があるときは子の人数によって加算がされます。
| 子の数 | 基本の額 | 子の加算額 | 受給年金額 |
| 1人 | 794,500円 | 228,600円 | 1,023,100円 |
| 2人 | 794,500円 | 228,600円×2 | 1,251,700円 |
| 3人 | 794,500円 | 228,600円×2+76,200円 | 1,327,900円 |
(注)3人目からは1人76,200円の加算となります。
(注)妻が受給中は子の年金は支給停止されます。
なお、子が受給する場合の年金額はつぎのとおりです。
(794,500円+子の加算額(2人目以降の子))÷子の数
Aさんの場合、年約125万円の遺族基礎年金を受け取ることができますが、上のお子さんが高校卒業をした場合は年金額が改定され、約102万円へと減額、下のお子さんも高校を卒業すると受給権は消滅することになります。
会社員の夫を持つ専業主婦B子さんのケース
第2号被保険者である会社員の夫をもつB子さん(32歳)。5歳と3歳のお子さんがいます。
B子さんの夫が不幸にして亡くなった場合、遺族基礎年金の上乗せ給付である『遺族厚生年金』をもらうことができますが、受給するためには次の条件を満たすことが必要です。
<亡くなった人の範囲>
- 厚生年金保険に加入中に亡くなったとき
- 厚生年金保険加入中の傷病で、初診日から5年以内に亡くなったとき
- 1級または2級の障害厚生年金を受給している人が亡くなったとき
- 老齢厚生年金を受ける権利のある人が亡くなったとき
<遺族の範囲>
死亡当時、亡くなった人によって生計を維持されていた次の遺族が対象となります。
- 妻
- 18歳の年度末までの子か20歳で1・2級の障害のある子で婚姻していない子
- 55歳以上の夫
- 55歳以上の父母
- 18歳の年度末までの孫か20歳未満で1・2級の障害のある孫で婚姻していない孫
- 55歳以上の祖父母
また、受給の順位は配偶者と子、父母、孫、祖父母の順となります。
このように遺族厚生年金の場合、妻以外の遺族には年齢の要件がありますが、妻には年齢要件と子のあるなしの要件はなく、年収が継続的に850万円を超えずに再婚をしない限りは生涯受給することができるのです。
老齢厚生年金の受給額は?
遺族厚生年金の額は、夫が将来もらえる予定だった老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3に相当する年金額です。
では、B子さんがもらえる遺族年金は一体どのように変化していくのでしょうか?(図参照)

二人のお子さんが高校を卒業すると、遺族基礎年金は打ち切りになり、遺族厚生年金のみを受給することになります。しかしながら、年金額が低額となるうえに、社会的に中高齢の寡婦の場合は賃金水準も低いことから、その生活を救済するために一定条件を満たした子のない妻が受け取る遺族年金に加算される『中高齢寡婦加算』が支給されます。
(受給期間は40歳~65歳未満までで、加算額は596,000円です。)
この『中高齢寡婦加算』は、妻が65歳に達したとき、自分自身の老齢基礎年金が受けられるようになることから支給は打ち切りとなりますが、生年月日によって経過的な寡婦加算が遺族基礎年金に加算されます。
厚生年金に加入している主婦C子さんのケース
共働きの家庭が増え、妻自身も厚生年金に加入しているケースが増えてきています。
こうした状況で不幸にして夫を亡くした場合、65歳未満の場合は原則として妻は先にご紹介したA子さん、B子さんのように遺族年金を受取ることができますが、65歳になり妻自身の老齢基礎年金が受けられる年齢に達したとき、その上乗せとしてつぎのいずれかの年金の選択に迫られることになります。
- 夫の遺族厚生年金
- 妻の老齢厚生年金
- 夫の遺族厚生年金の3分の2+妻の老齢厚生年金の2分の1

この選択に際しては、社会保険事務所に金額を試算してもらって有利な選択をすればよいでしょう。また、遺族給付は非課税、老齢給付は雑所得として課税されることも考慮に入れた方がよいかもしれません。
社会保険労務士 米田 聡美
[2005年1月12日 掲載]
