年金パーフェクトガイド2004
第6回 女性をとりまく年金問題
いまや女性の平均寿命は男性よりも7歳上回る85歳。女性の老後は男性よりも長い、といっても過言ではありません。しかし、必ずしも年金が多いわけでもなく、老後の生活に不安を持つ女性も多いのではないでしょうか。
そこで、注意すべき女性のための年金のしくみと、年金制度改正案によって何が変わるのかをみていきましょう。
会社員の妻の年金、見逃さないで!
『第3号被保険者』と呼ばれる会社員の妻。その中には、結婚退職などの理由により数年で退職した人が少なくないのではないでしょうか。
こうした人の中には、厚生年金は25年働かないともらえないのでは?と勘違いしている人もかなりいるようです。
みなさん、自分に厚生年金保険の加入期間があったことを忘れていませんか?
厚生年金は、1ヶ月でも加入していれば受給できるのです。
しかしながら年金は個人加入の制度であるため、年金をもらうためには自分で申請(裁定請求)しない限りは受給できません。一度、社会保険事務所に行って加入状況を確認し、受給の手続きを行いましょう。
「第3号被保険者」の手続き、していましたか?
たとえば、会社員(「第2号被保険者」)として厚生年金に加入していた人が結婚して会社を辞める場合、その手続きは会社が行います。
その後専業主婦となったときには、第2号被保険者から第3号被保険者へと種別変更の届け出をする必要があります。現在、この届け出は夫が勤めている会社を通じて行われますが、勝手に手続きをしてくれるわけではありません。
あくまで夫本人が、結婚して妻が第3号被保険者に該当することになったことを会社に申し出なければならないのです。
第3号被保険者であった期間は、老齢基礎年金の年金額に反映されます。ですから、夫がこの申請を怠ってしまうと、年金の加入期間に空白の期間ができてしまい、年金額に影響してしまいます。
あわてて届け出たとしても、遅れてしまった期間遡って第3号被保険者期間として認められるのは、2年間だけなのです。届け出漏れには充分注意してください。
平成16年 年金制度改正案でなにが変わる?
第3号被保険者の届け出をし忘れていた場合
上記のように、第3号被保険者の届け出をしていない期間は「保険料を未納している」期間とみなされます。
そこで、今回の法改正案では、届け出を忘れてしまっていた人に特例的に届け出ができるようにする予定です。社会保険事務所に届け出ることで、2年前以前の期間も第3号被保険者期間として取扱い、将来その分の老齢基礎年金を受け取ることができるようになります。この制度は、まだ年金をもらっていない人も、既に年金をもらっている人も対象となります。
(平成17年4月実施予定)
離婚時の厚生年金の分割
離婚した場合、当事者の同意または裁判所の決定があれば、婚姻期間についての厚生年金を分割して受けることができるようになる予定です。
分割の割合は、婚姻期間中に夫婦が納めた保険料の記録の合計を半分にした額を限度としています。
施行日以降に成立した離婚を対象としていますが、保険料の納付記録については施行日以前の記録も分割の対象とする予定です。
(平成19年4月実施予定)
夫の厚生年金の半分は内助の功で妻のもの?
第3号被保険者は保険料を負担しなくても年金がもらえますが、これは老齢基礎年金の部分のお話です。
今回の法改正案では老齢厚生年金において、第3号被保険者に該当する妻を持つサラリーマンの夫が負担していた保険料を、夫婦が共同して負担していたもの、と認識させ、その旨を法律上明記する方針です。
第3号被保険者であった期間(ただし実施日以降の期間)は、つぎのような場合に、第2号被保険者である夫の厚生年金を2分の1に分割できるとしています。
- (1) 離婚した場合
- (離婚時分割の場合、第3号被保険者期間は、例外なく2分の1に分割されます)
- (2) 分割をすることが必要な事情であると認められる場合
- (夫の所在が長期にわたり明らかでない場合など)
- (平成20年4月実施予定)
《 離婚した場合の厚生年金の分割のイメージ 》
(例)会社員である夫と、会社を結婚退職後専業主婦になった妻の場合

かならずしもそうとは言えませんが、女性は、会社員だったり、専業主婦だったり、夫と死別したり離婚したり、独身だったり・・・と、一般的に男性よりもライフスタイルにより人生の変化の影響を受けやすい、といえるかもしれません。
それだからこそ、ただ老後の生活に不安を持つだけでなく、加入洩れや申請洩れがなかったどうか、自身でしっかり確認しておくことが大事なのではないでしょうか。
社会保険労務士 米田 聡美
[2004年 掲載]
