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第7回 地域活性化とインキュベーション
日本の人口は2004年にピークアウトし、2005年から減少を始めました。今後日本では、年少人口、生産年齢人口が減少を続ける一方、高齢者人口は何10年にもわたって増え続けます。
つまり、人口減少と高齢化が同時進行する世の中になるのです。しかもこの動きには、大都市周辺と地方とで大きな時期的なズレがあり、経済的な格差を発生させる一因となっています。即ち、地方諸県では既に1980年代後半から人口の減少が始まっていますが、仕事を求める人達の流入が続く東京都の人口は、今後更に10数年は増え続ける見込みです。その結果、地方の人口減少は更に加速し、過疎化は村や町から中核都市に及ぶ懸念すらあります。
一次産業の衰退に加え、地方では地場産業や企業城下町の崩壊等により魅力ある職場が失われて来ました。働き手の減少による生産減、消費減、税収減に歯止めをかけ、我が国がバランスの良い成長軌道に復するには地域産業の活性化は必要不可欠です。
地方には、地域産業政策により設置された各種の企業支援施設のほかにも様々な地域資源が存在しています。大学は教員を始め保有特許や技術、施設など事業創出のために必要な道具立てが揃っていますし、民間企業でも貴重なノウハウを蓄積したまま定年退職した企業OBなどの人材が多数埋もれています。行政機関についても知的資源や人材、施設など新事業創出に有効な資源を有していますが、これらの資源が必ずしも有効に活用されていない所に問題があります。
これらの地域に眠っている資源を発掘し連結して新事業創出を実現する仕掛けがビジネス・インキュベーションです。
米国では、大学や地域が一体となって大学の知的財産や地域が有する資源を活用し、新しい地域産業を創出しました。1980年代、ビジネス・インキュベーションの積極的活動により創出された新事業が米国の不況脱出の活力剤となったと云っても過言ではありません。
JANBO(日本新事業支援機関協議会)が2006年10月~12月に行った調査では、多くのイキュベーション・センターが新事業創出のための地域プラットフォームにおける中核的支援機関の役割を担っており、その卒業企業の70%が卒業後もセンターと同じ市区町村に所在することからも地元定着率は高く、地域経済の活性化に寄与していると云えるでしょう。因みに卒業後の所在地を同一都道府県内に拡大すれば、その率は90%強となります。
ビジネス・インキュベーションと並び地域における新事業創出の今一つの柱であるTLO(大学等の技術移転機関)は、大学等が有する知的財産の活用を図るものであり、事業規模が大きく、それだけに資金も時間も大掛かりなものとなります。
その点ビジネス・インキュベーションは地域コミュニティーに密着した形で、小規模であっても着実に起業家を輩出して来ました。昨年10月までの卒業企業数は累計で約2,400社、その約90%が存続して地域経済に貢献しています。特に2005~2006年の2年間の卒業企業は約1,000社を数え、本事業が軌道に乗りつつあることを示しています。但し、新規株式公開に至った企業数は累計で16社と未だ少ない現状にあります。
出典:(財)日本立地センター/JANBO、国立社会保障・人口問題研究所
中小企業診断士 中山 和彦
[2008年3月13日 掲載]
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