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第1回 ビジネス・インキュベーションの概括
“インキュベーション”の直訳は、“孵化”、そして、“インキュベータ”は“孵化器”のことです。
ビジネス・インキュベータの第1号は、1959年にアメリカのニューヨーク州で作られたマンキューソ・ビジネス・インキュベータであり、入居者に養鶏業者がいたことから、これをもじったジョークが語源といわれています。
しかし、アメリカでは、その後20年以上にわたって目立った動きはありませんでした。本格的に見直されたのは、1980年後半から1990年前半にかけての不況期になってからです。
アメリカ経済の競争力強化を目指して、政府や大学が有する資源を民間で有効活用することが政策のポイントであり、その際実行に当って、具体的に採られた手法がビジネス・インキュベーションでした。
そのアメリカの成功をみてアジア諸国やヨーロッパにおいても、経済再生に有効な手法としてビジネス・インキュベーションが取り入れられるようになったのです。
日本について云えば、最近でこそインキュベーションの重要性が認識され始めていますが、世界の潮流からは少なからず遅れています。これについては後に詳述したいと思います。
ここでビジネス・インキュベーションの定義について触れておきます。
今日ではビジネス・インキュベーションの発達と共にその概念も内容も拡大しています。また、地域性によっても若干ニュアンスを異にする定義もなされていますが、名実共に本家本元と云える全米ビジネス・インキュベーション協会(NBIA)の定義を要約すると次の4点になります。
ビジネス・インキュベーションの定義
- 対象企業はスタートアップ期にある未だ経営基盤の脆弱な若い企業である
- 成長に不可欠なビジネス面、金融面、技術面などソフト面の多角的な支援
- オフィスや実験室、パソコンや実験機器、共同会議室などハード面の支援
- 入居企業は2~3年の間に自立する力をつけて卒業する
従って、ソフト面の支援の出来ない単なる貸しオフィスや貸し実験室はビジネス・インキュベータとはいえません。同様に施設を提供出来ない単なるコンサルタントもビジネス・インキュベータとはいえないのであります。
最近では、ビジネス・インキュベーション・インダストリーという言葉が聞かれるようになりました。遅れていた日本においても、ビジネス・インキュベーションを業として成長し、東証一部上場を果たしたベンチャーも出現しました。今後の対象企業はベンチャーだけでなく、第二創業を目指す既存企業にも広がりを見せるでしょう。
中小企業診断士 中山 和彦
[2007年8月24日 掲載]
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