お役立て資産運用(6)不動産投資の知識とアドバイスポイント
(1) 不動産の価値
土地は、生産物などと異なり個別性が強く、合理的な市場価格を形成することが極めて難しい資産です。土地の価格には、実勢価格のほかにも公示価格、路線価評価額、固定資産税評価額などがあり「一物四価」と言われています。
土地の価格評価の基準となるのが不動産鑑定評価です。主に次の3つの手法を用います。
| 1. | 原価法 | : | 対象不動産の再調達価格を求め、減価修正を加えて積算価格を求める方法 |
| 2. | 取引事例比較法 | : | 多数の取引事例を収集して事情補正・時点修正を行い、さらに地域要因・個別的要因を勘案して比準価格を求める方法 |
| 3. | 収益還元法 | : | 対象不動産が将来生み出すであろうと見込まれる純収益を還元利回りで収益価格を求める方法 |
従来の鑑定評価は、2.に重点を置いていましたが、不動産の証券化の問題とも絡めて国際基準である3.を導入する方向にあります。
(2) 不動産に関わる税金
不動産には、取得・保有・賃貸・譲渡などあらゆる段階で税金が課せられるので、税金知識が不可欠です。代表的なものを抜粋して掲げます。
| 1. | 取 得 | : | 印紙税、登録免許税、不動産取得税、特別土地保有税、事業所税など |
| 2. | 保 有 | : | 固定資産税、都市計画税、地価税(現在、凍結中) |
| 3. | 賃 貸 | : | 所得税・住民税(総合課税)、事業税 |
| 4. | 譲 渡 | : | 所得税・住民税(分離課税) |
(3) 不動産有効活用の事業手法
次のような事業手法があり、それぞれの特徴を把握して、事業収支計画を作成し、採算性をチェックします。
| 1. | 事業受託方式 | : | 地主が事業主体となり、完成した建物をデベロッパーなどに一括賃貸することにより、安定収入が得られる。 |
| 2. | 等価交換方式 | : | 地主の土地にデベロッパーが建物を建て、完成した建物と敷地をそれぞれ負担した事業費の割合で按分する方式で、資金投下や借入金が少なく採算性が良い。 |
| 3. | 定期借地権方式 | : | 定期借地権を設定し、借地人が建物を建設し事業運営を行う方式。事業資金の負担と事業運営の煩わしさが無い。保証金と安定収入が得られる。 |
| 4. | 土地信託方式 | : | 土地を信託銀行に信託し、信託銀行が建築資金調達・テナントの募集や建物の維持管理を行い、その成果を地主に配当する方式。地主にノウハウは不要で、安定的な運用ができる。 |
| 5. | 自己建設方式 | : | 地主自らが企画・発注・募集等を行う方式。他者の介在が無い分、事業コストが安くなるが、相当の知識・労力・リスクを抱える。 |
(4) 投資利回りの計算
不動産有効活用の採算性を判断するための指標として次の3つの利回り計算があります。
| 1. | 総投下資本総収益利回り=年間収入合計/自己資金+借入金 |
| 諸経費を度外視したもっとも簡略化された指標です。 | |
| 2. | 総投下資本純収益利回り=年間収入合計-諸経費/自己資金+借入金 |
| 諸経費を考慮することにより、より実態に即した指標です。 | |
| 3. | 自己資本手取額利回り=収入-支出/自己資金 |
| 金融商品等との比較に用いられる指標です。 |
(5) ポイント
不動産投資のポイントは、投資リスク、他の投資商品との比較、事業採算性のチェックです。不動産は各段階での税金や有効活用の面における事業手法のリスクを検討する必要があります。
このところ投資家が大型不動産プロジェクトに参加し易くし、不動産取引を活性化させると同時に、資金調達面での多様化を図るために不動産の証券化が進んでいます。
これが浸透するようになれば、小口の資金で手軽に不動産投資に参加できるようになり、期待が高まっています。
ファイナンシャルプランナー 多賀谷 優
[2004年4月 掲載]
