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実践!ビジネス処世術

第8回 お客様から「社長を出せ!」と怒鳴られたら
~クレーム電話は、素晴らしいお客様からのメッセージ~

生活用品の製造卸売業に入社した、Hくん。やる気マンマンの新入社員です。最初の配属先はサポートセンターで、新人は皆、3ヶ月間はここでみっちり電話対応を仕込まれるのです。
配属されてから数週間が経ち、お客様の対応にもなんとなく慣れてきたところ、1本の電話がかかってきました。「はい!○○会社です」と元気に出たところ、いきなり「お宅の洗剤を使ったら、生地が縮んじゃって、どうしてくれんのよ!」と怒鳴り声。Hくんは、どうして良いやらシドロモドロ・・・「アンタじゃダメだから、上司か社長に代わんなさいよ!」
Hくんは顔が青ざめました。

クレームで「社長を出せ!」は、トラブルそれともチャンス?

お客様からのクレームで、「社長を出せ!」「上司に代われ!」と電話で言われたらどう対応しますか?「まいったなあ!変な電話をとってしまったなあ」とお思いになりますか。
それとも、「お客様の生の声を聞けるチャンス!」とお思いになりますか。
その両極端の想いによって、その後の相手方の対応方法も変わってくるはず。

素晴らしいお客様を怒らせないためのクレーム対応

できれば誰でも受けたくないクレーム電話やメールですが、見方を変えてみると、お客様は、サービス、商品等に不満があるからわざわざ教えてくれているのです。なんと親切なことではないでしょうか!例えば、製品の改良のヒントやサービス向上などのアドバイスなど、こちらから出向いて街頭でアンケートしなくても、お客様から電話して下さるんですよ。一人のお客様が感じている不満は、多くのお客様も感じているはず。そんな素晴らしいお客様のメッセージに耳を傾けましょう。たとえそれが怒鳴り声でも・・・

まず、クレームの対応において心掛けなければならないことは、「絶対たらい回しをしない」ことです。
「その件に関しましては、担当が○○部門ですので、○○部門に回します。」あるいは、
「その件に関しましては、△△部門です。電話番号が異なりますので、該当の電話番号にお電話し直して下さい。」といった対応では、相手のイライラを募らせるばかりです。
クレームを申し出た人の心理には、「すぐに解決したい」という思いがありますので、たらい回しにすることにより、その怒りが増大していく可能性が大です。

この場合は、自身の担当と違っていたとしても、可能な範囲で対応し、お答えできない場合には「何時までに回答します。」ときちんと時間を区切って回答することが大切です。
その際には、お客様の気持ちに共感を示し、謝罪の気持ちを持って対応することも大切です。もし、事務的な対応をしたならば火に油を注ぐ結果になることをお忘れなく。

更に、可能であれば相手に直接お会いして説明することが、「相手の誤解を解く」手っ取り早い解決法だと言えます。また、製品改良のヒントも直接聞けるチャンスにもなります。物に関する苦情は実地見聞が手っ取り早いようです。

また、社内のクレームに対する姿勢もきちんとしておくことも重要です。
まず、社内での情報共有を図ります。「貴重なご意見ありがとうございました。関係部署に伝え、参考にさせていただきます。」という苦情対応の常とう句をきちんと実行することが重要です。お客様の言い分に理があると思ったら、文書やメールで社内の関係部署に必ず伝えておきましょう。

次に、「(苦情処理の)キーマンを押さえ、育てておくこと」も重要です。技術者に諸々相談できる知恵袋になってもらい、即答できない技術的な問いなどに対応してもらうということです。

何よりも重要なのは、お見舞い・反省の言葉

何よりも重要な心得は「まずお見舞い・反省の言葉から」です。
非を認めるということではなく、「お気持ちはよくわかります」との態度を示すということです。理不尽な文句をまくし立てられた場合など、なかなかできることではありませんが「最初にお詫びの言葉がなかったことから大事に至るケースがほとんど」のようです。

また、例え相手に非があったとしても「そういう気持ちにさせたことに対してお詫び」をすることが大切です。なぜ、そのクレームが出てきたのか。そこを考えることがクレームを生かすための出発点と言えます。

Hくん、これからは、「社長を出せと」言われたら、お客様との接点が1つできたと言うポジティブな気持ちと態度で臨みましょう。これを乗り越えたら、立派な企業人の仲間入りですね。

経営コンサルタント 菊田 恒夫
[2006年5月23日 掲載]