ウェブマーケティングの新潮流
~業績アップにつながるホームページの新常識~
第6回 【まとめ】企業ホームページ6つの新常識
新常識5 驚くほど情報流通が高速化している
誰かの「思ったこと」は、わずか1分後にウェブに流れると心得るべし
現在のブログでは、誰かが投稿した記事はわずか1分後にはあちこちの「ブログ検索」サービスに収集され、検索の対象となります。またブログの更新をチェックするための「RSSリーダー」の登場により、人気ブログの新着記事が書かれた瞬間に、何万というユーザがそれをチェックし、さっそく記事を読みます。

kizasi.jp
http://kizasi.jp/
毎分更新され、ブログで多く語られている言葉がリアルタイムで分かるサイト。ブログ検索サービスとしても利用でき、現在ブログ界でホットな話題を見つけ、それについて書いたブログを見つけられる
こうした状況で何が起きるのか?「とにかく噂(口コミ)がものすごいスピードで広まる」のです。新しいプロダクトが発売になると、その日のうちに感想や批評があちこちのブログやSNS、掲示板に書き込まれます。そして数日(ときには数時間)のうちに活発な意見交換が交わされ、商品ジャンルによっては、そこで定まった評価がビジネスの成否に大きな影響を及ぼすこともあります。
こうしたスピード感に合わせた積極的な情報発信ができれば、口コミのアドバンテージを取ることが可能です。例えば自社が参加するイベントについて、いち早く自社のブログで記事を書いて期待感をあおったり、終了時にもまとめ記事をすばやく掲載することで、ユーザからのコメントやトラックバックを集め、話を盛り上げたり、ユーザ同士の交流を促進してロイヤリティを高めることができるのです。
反面、情報流通の速さにはやっかいな面もあります。例えば自社のホームページにブログや掲示板などがあり管理が不十分な状態であると、週末に発売した商品についての批判コメントが殺到して、月曜に担当者が出社したら大変なことになっていた、ということもあり得ます。批判が集中したときの対策としては、できるだけ速やかに、できる限りの状況を報告していくことが大切です。誠意を持って状況をオープンにすることは、自社の取り組みを理解し、好意的な意見を発してくれるユーザが登場することを可能にします。
新常識6 社長から新人アルバイトまで全員が「会社の顔」となる
ウェブを従業員全員に体験させ、リテラシーを身につけさせるべし
日本人の約3分の2がインターネットを利用しているとされる現在、就業人口に限れば、この比率はさらに高まるでしょう。つまり、会社の従業員のほとんどは、何らかの形でインターネットを利用していると考えられます。所属を明かしてインターネット上で活動する企業人といえば「社長ブログ」が真っ先に浮かびますが、一般社員やアルバイト、パートの方たちも企業に所属する従業員であり、インターネットを利用しているということを認識しておかなければなりません。そうした中、社会経験の浅い従業員が個人的にインターネットを利用している最中、会社にまで影響の及ぶトラブルを起こしてしまう事件がすでにいくつか発生しています。
企業のホームページ担当者だけでなく、社長からアルバイトまで、全員が「会社の顔」となりうる――。当たり前といえば当たり前のことなのですが、ネットにアクセスするときには、そのことを忘れてしまうことも多いものです。勤務先を含め、個人情報を漏らさないこと、トラブルを招かない発言の仕方など、基本的なネットリテラシーを全員に身につけさせることは、今の時代においては急務です。
まとめ 企業ホームページは、能力の高い「デキる営業マン」
画像やHTMLを加工し、アップロードしたらホームページは完成、という時代は終わりました。世間の動きに合わせて素早く情報を発信していく起点として、またユーザとのコミュニケーションの窓口として、永遠に完成することのないホームページを更新し続けていくことが不可欠なのです。「ホームページは営業マン」というのは昔からいわれる台詞ですが、マネキンのように動かない営業マン(=更新されないホームページ)よりは、よく動き、顧客の声に素早く反応する、血の通った「デキる営業マン」の方が支持されるのは当然です。
そのためには、まずホームページを更新するスタッフに能力の高い人材を充て、単なる制作担当とするのでなく、マーケティング戦略に直接関われるような大きな権限を与えることです。そしてユーザの声をよく聞いて社内に届け、自社とユーザを対話させることが、企業ホームページ成功への決め手となるのです。
RSS(RSSリーダー)
ホームページの見出しや記事などの「情報」だけを配信するために、シンプルなデータ形式で記したものがRSS。「RSSフィード」または単に「フィード」と呼ばれることもある。「RSSリーダー」と呼ばれるソフトを使って閲覧する。
リテラシー
読み書き能力のこと。転じて「○○リテラシー」といえば、それを利用するための基本的な知識を指す。本稿での「ネットリテラシー」は、一ユーザとしてインターネットを使いこなせる程度の知識や経験を指す。これがなければ企業のホームページを成功させることも難しい。
著者プロフィール
- 小林祐一郎(こばやし ゆういちろう)
ライター - IT企業勤務の傍ら、ライターとしても活動。
会社の業務では事業者視点から、ライターとしては一般ユーザーの視点からネットと関わり、「普通の人」の幸せに繋がるインターネットのあり方を模索している。
【近著】
Internet Watch連載「Web2.0 超入門講座(インプレス)」
単行本「Web2.0超入門講座 初心者でもよくわかる『これからのWeb』のすべて(インプレス)」
[2007年4月12日 掲載]
