内部統制は企業価値を高める絶好のチャンス!
~中堅企業における「内部統制整備」の導入メリットと具体策~
内部統制は「株式市場の入場券」
最悪の場合は上場廃止もあり得る
- 今年6月に施行された新会社法でも、企業に内部統制の整備が義務付けられていますが、日本版SOX法とはどのような違いがあるのでしょうか?
戸村:新会社法では、資本金5億円以上、または負債が200億円以上の会社は大会社とみなされて、内部統制が非常に強く求められています。また、それ以外の会社にも、それに準じた内部統制の整備が求められています。一方、日本版SOX法では、上場会社とその重要な子会社が対象となり、より深いところまで財務報告に係る内部統制に対応しなければなりません。つまり、どちらも内部統制に関する基本的な考え方はかなり共通していますが、新会社法は企業の対象範囲が広く、内部統制の要請範囲は浅い。逆に、日本版SOX法は企業の対象範囲は狭いが、財務報告に係る内部統制の要請範囲は深いということになります。

- 内部統制に対応しないと、企業はどうなるのでしょうか?
戸村:最悪の場合は上場廃止もあり得ます。実際に米国では、デルが四半期報告を怠ったことで上場廃止の警告を受けています。おそらく、日本でも同様のケースが出てくると思います。日本版SOX法の監査をクリアすることは、いわば株式市場の「入場券」を取得するようなものなのです。逆に言えば、「入場券」のない会社は、株式市場から撤退せざるを得ない可能性もあるということです。また米国では、虚偽又は不注意による誤った財務報告を行ったCEOが投獄されたケースもあります。その意味では、極めて厳しい法律といえるでしょう。
ERPなどを効果的に活用して
重要な情報の可視化を図る
- 日本版SOX法では基本的要素として「ITへの対応」が付加されていますが、具体的にどのようにITを活用すれば、効果的な内部統制の仕組みを構築できるのでしょうか?
戸村:まず、ITツールを使って業務の自動化を図ることが重要です。手作業の場合は、文書を後から書き換えたり、書き間違えたりして、故意や不注意によって財務報告に影響を及ぼす可能性が非常に大きいです。しかし、業務を自動化すれば、そうした問題が解消されますから、外部の監査人の心証が良くなり、監査するときに内部統制の統制力が極めて高いと見なされます。また、第三者に勝手に文書をいじられないように、セキュリティツールを使ってID認証やアクセス制御などを行うことも重要です。さらに、ERP (Enterprise Resource Planning)とBI(Business Intelligence)ツールなどを導入して、企業情報の可視化を図ることが非常に重要になります。特にERPは、基幹業務の自動処理を実現するツールとしても非常に効果を発揮するので、内部統制の整備には必要不可欠といえるでしょう。
ただし、ERPやBIツールなどを使って企業情報を可視化しても、ただ数字だけが羅列されていると、かえってわかりづらくなる可能性があります。そこで、私が提唱しているのが、「第4世代バランス・スコアカード」の導入です。これは、企業の戦略を遂行するために必要なPDCAサイクルと、内部統制のPDCAサイクルを融合させたものであり、世界で初めて体系化したものです。これによって、経営者や監査担当者が各自のPCから戦略の指標の推移や内部統制の現状を一目で把握できるようになります。より問題の大きいリスクや防止策に重点的に取り組めるようになるので、理想的な内部統制環境を整えることができます。

