社長が仕掛ける人材強化
第4回 『人材選抜の仕掛け 選抜には説明を絡めよ!』
成長する企業つくりをするためには、人材強化はもっとも重要な課題となります。
今多くの企業では、役員をどのように選抜し、どのように育成すればいいかが大きな課題となっています。社長自らが選抜や育成を行っている企業も増加しています。
また、チャンスを平等に与えることも重要です。社長として、どのように人材を強化すべきかをお話しします。
役員選抜
最近は、新入社員からすでに将来の役員候補を選抜し、育成する企業が出てきました。
そこまでしなくても、役員選抜を強化しようとする企業が増加してきているのは確かです。
その背景は、激しい競争に打ち勝ついわゆる『経営のプロ』が必要となってきているからです。
オーナー企業でも、将来の社長ポストには『できる人材』を採用する動きが出てきています。
最近では、後継者選びに苦労している企業も多く、人材不足で選抜条件も確定できなく、結局、現社長がいつまでも社長を続ける企業もあります。
自分の息子に社長の座を譲る前に、今まで企業の成長に貢献した人材を選択し、数年間はその人材に社長を任せ、その間に息子に経営を学ばせ、次の社長にするというオーナー企業もあります。
いずれにせよ、後継者に悩む社長も多く、人材選択には苦労がつきものです。
管理職選抜
多くの社員を抱える企業では今、管理職問題を抱えています。
55歳以上の管理職が多い企業は、次世代の管理職不足に悩んでいます。数年で現在の管理職が退職を迎えた後、どうするかを真剣に悩む企業が多くなっています。
このような企業は、長い間苦労をともにした人材が管理職として登用されています。
彼らは、企業内のことは十二分こなし、多くのノウハウを手に入れています。しかし、最近のように事業の再編・見直しやIT化が進行すると、なかなかついてこられない人も多くなってきています。
営業管理職に多く見られるのは、企画・プレゼンテーション力が弱いことです。部下の育成が遅れ、結局、御用聞き営業を継続し、ニーズに合った提案ができていないのです。
中堅企業でも、管理職選抜に明快な基準がない企業が多く見られます。毎年、3月ごろになると上司が部下を推薦し、推薦された人の中から人事部や社長が選抜するということが多く見られます。これでは、戦略的な選抜基準になっていないため、部門戦略が達成できません。
また、どうしても選抜基準が個人的評価に偏り、社内での不平・不満の原因になります。
反対に、管理職選抜に『手を上げる』方式を採用している企業も増加してきました。
自分の事業プランを発表し、採用されれば事業部長として一定の期間君臨できるのです。
パート管理職も増加しつつあります。小売業やサービス業では、パート比率が高く、パートの中でも優秀な人材がいます。社員以上のノウハウを持ち、成果を出す人も増え、社員、パート区別せずに管理職選抜をしている企業もあります。
選抜のしかた
では、どのように選抜すればいいのでしょうか。
選抜のしかたを成果主義人事に取り入れることです。成果主義人事の中に『成果』と『成果達成レベル』を定義し、『成果達成レベル』のところに明確に定義することです。
『成果達成レベル』には、いくつかのレベルを設定し、上位レベルになれば管理職選抜の基準が満たされるようにすればいいのです。
もちろん成果達成レベルが高く、成果も高い人は管理職要素を十分満足しているように設計することです。ただ、成果が高いことと成果達成レベルが高いことは一致しません。
成果のみを追求するいわゆる『専門プロ』は必要です。専門プロは管理職になる必要はありません。
成果達成レベルの具体的例は、(1)経営戦略的基準 (2)事業創造的基準 (3)顧客拡大的基準 (4)リーダーシップや部下育成的基準 (5)自己自身の能力開発力基準 などが入ります。
役員・管理職育成研修
役員・管理職育成にも積極的な展開が見られるようになりました。
役員研修の主なものは、中期経営戦略立案とその実行戦略が中心になります。
さらに、ヒューマンスキルとしてのコミュニケーション系の研修も追加し、リーダーシップ力をつけます。
事前に自分の弱い部分の強化として、マーケティングや財務、商品開発、生産管理などの補強を行う場合が多いようです。
役員育成に、多くの時間と費用をかける企業も増えつつあります。
その背景には、これからの経営資源の中心が『人』であるという認識が増加してきました。
今年になって、研修スタイルもどんどん変化しています。
今、多くの企業では、従来の課題別研修スタイルを改め、戦略的人材強化というキーワードで研修体系を全面的に見直している企業が多いようです。
研修はどちらかというと『人事部の仕事』という視点から、研修は『経営層の人材戦略』という視点に位置付けられるようになってきました。
以上4回シリーズで、社長が行う役員・管理職・社員強化の方法を述べてきました。
今後、ますます人材強化にはエネルギーが必要になります。
著者プロフィール
伊神純子(いかみじゅんこ)
アップ経営コンサルタント株式会社 代表取締役- 1985年サン電子株式会社入社、財務経理、システム企画、上場準備を経験。2000年アップ経営コンサルタント株式会社設立。中堅企業むけ経営戦略・成果主義人事・売上拡大・IT導入・開発生産改革等のコンサルティング実施。大手企業むけ管理職の部門戦略研修等を実施。
中小企業診断士・ITコーディネータ。
http://upkei.jp/
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