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「株式公開に向けての準備とシステム化」
第3回 各サブシステムに求められる機能と会計システムとの連携のポイント

会計情報は、金額によって表現されますが、「有価証券報告書のIIの部」では品目情報(製品/商品/原材料)や取引先情報(業種・業態/地域)等の数量・単価の情報が時系列的に要求されます。これらの情報は、基幹業務システムの各サブシステムである販売・購買・生産・原価システムより提供されるべきものです。まずは、これらサブシステムをきちんと整え、次に月次決算が正確・迅速に行うことができる、会計システムと各サブシステムが連携した全体のシステムを構築することが必要です。
以下では、サブシステムに要求される機能と会計システムとの連携について述べます。

各サブシステムで要求される機能

販売管理システムの機能

  1. 受注・出荷の管理は決められた計上基準等に基づいて遂行され、受注残の管理は相方先別品目別に管理し、新規受注高の把握ができることが必要です。
  2. 売上高の計上期間は会計上の期間に一致し、売上高、回収高、売掛金残高と会計システムにおける売上高、回収高、売掛金残高は一致することが求められます。また、売掛金の消し込み処理は個別消込できることが必要です。入金時と個別消し込み処理までのタイムラグを考慮する必要があります。
  3. 与信管理の機能がシステム上求められます。この機能は受注時にチェック・ガードができるように作られているか、または、事後的にアラームを出すことが必要です。
  4. 価格管理は品目別に適切に行う必要があります。取引先別品目別に管理され、値引き等の処理は品目別粗利管理等に、適正に反映されることが必要です。

購買管理システムの機能

  1. 発注・受入・検収は適正に処理され、発注残は発注NO別、相手先別、品目別に管理され、スポット納入・検収等は適正に処理する必要があります。検収処理されず直接材料を使用するようなことがないようにする必要があります。値引きの処理は在庫評価および原価計算へ適正に反映されることが必要です。
  2. 仕入高、支払高、買掛金残高は会計上の仕入高、支払高、買掛金残高と一致することが求められます。外注業者への支給管理は適正に処理する必要があります。有償支払高は区分して把握され、無償支給については在庫受け払い管理を考慮する必要があります。支給単価と払出し実際単価との差額(支給差益)は原価計算に適正に反映されることが必要です。また、価格管理は適正に行われ、標準原価または予定単価との差異が管理され、恒常的に大きな差異がある場合は、標準原価等に適切に反映することが必要になります。

生産管理システム(在庫管理)の機能

  1. 製品、中間品、仕掛品、原材料等について、場所別に品目単位で「継続記録」による受払管理が行われ、中間品、仕掛品の受け払いは、原価計算上の工程と一致することが必要です。在庫数量差異についても、月次で適正に調整され、在庫調整の処理は取引区分が通常の入・出庫と区分して把握され、原価計算へ適切に反映されることが必要です。
  2. 単価の計算は、評価基準に基づいて単価計算をするようなシステムであり、払出単価、在庫評価単価は、「継続受払記録」に基づいて品目単位に計算される必要があります。また、材料の払出単価は原価計算に連動し、中間品、仕掛品、製品の入庫単価は原価計算の原価に連動することが必要です。

生産管理システム(原価計算)の機能

  1. 経費の費目別計算・部門別計算は会計システムと連動し、共通部門費の配賦計算が適正に行われることが必要です。加工費の計算は、完成報告または作業報告に基づいて部門経費が品目別に配賦計算され、材料費は評価基準に基づき払出単価が計算され、投入材料費の計算は投入報告等に基づき完成品に適正に原価集計されることが必要です。
  2. 実際完成高と標準原価で出来高を計算し、実際経費の発生高と比較分析を行うことが必要です。また、原価要素は原価管理を行うのに細分化され、標準または予定原価は、部品表に基づき、材料費、加工費等が工程別に自動的に原価積上計算されることが必要です。

会計システムの機能

  1. 月次決算が毎月5日以内に行われ、在庫の棚卸評価額が適正に計算されて月次決算に反映され、部門別損益管理が行われる必要があります。共通費の配賦が適切に行われる必要があります。
  2. 売上高、売掛金、仕入高、買掛金等は販売・購買システムの数値(数量・単価・金額)と一致し、計上基準あるいは計上期間が一致し主要簿(会計システム)と補助簿(サブシステム)との整合性が保証されることが必要です。
  3. 予算管理が行われ、予算作成は部門別に積上げ方式で、予算管理の管理単位別に予実績が管理され、会計システムの部門単位、勘定科目と原価計算システムにおけるコストセンターの原価要素が一致することが必要です。

これらのサブシステムで要求される機能がシステムに組み込まれ、出力される補助簿に反映することが求められます。

システム全体の連携のポイント

サブシステムの補助簿内容の数字が会計システムで出力される主要簿に反映されることが求められます。このための、各サブシステムと会計システムの連携のポイントは以下のとおりです。

  1. 会計システム構築に当たっては、制度会計が求める機能への情報連携が必要です。
  2. 管理会計が求める公開申請書類への対応、経営分析への対応等が必要です。
  3. 各サブシステム側で発生するデータが決められた運用上の月次締切りに一件の欠落も無く処理され、この処理された内容が会計システムに反映されることが必要です。
  4. 自動仕訳機能が確立していることが必要です。
  5. サブシステム側のシステム変更に対して、会計システム側も同期を取り、変更反映することが必要です。

システム全体の連携のポイント(主要簿と補助簿の完全一致)

システム全体の連携のポイント(自動仕訳)

著者プロフィール

内山 富夫(うちやま とみお)
株式会社マーベリックコンサルティング 代表取締役社長
昭和51年富士通興業(株)入社、昭和54年(株)富士通システムソリューションズ転社、平成14年6月株式会社マーベリックコンサルティングを設立。富士通システムソリューションズ在籍中からの現場経験を活かし、平成4年から株式公開を中心としたコンサルとシステム構築を手がける。著書に「株式公開実務ガイド」(中央経済社)など。
http://www.mave.co.jp/

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