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「株式公開に向けての準備とシステム化」
第2回 基幹業務システムの整備のポイント

基幹業務システム整備のポイントは、大きくは以下の3点です。

  • 公開申請時に作成するビジネスフローチャートと整合性があること
  • 販売管理規程などの各諸規程に基づいて、会計業務との整合性があること
  • 有価証券報告書の『IIの部』を意識したコード設定を行うこと

当然ながら、各業務システムは、申請時に作成するビジネスフローチャートとの整合性が要求されます。ビジネスフローチャートにある業務の流れになっているか、記載されている帳票が正しく出力されているか等細かくチェックする必要があります。また、会計システムとの整合性も重要です。返品処理やリベート処理などにおいて、会計処理だけで操作するのではなく、基幹業務システムに遡って整合性のとれるシステムにする必要があります。さらに、有価証券報告書の『IIの部』を意識したコード体系を策定してシステム構築を行うと、申請書類への対応、審査時における諸質問への対応が容易になります。
以下では、個々の処理についての整備ポイントについて述べます。

基幹業務システムの整備のポイント

自動仕訳システムの整備のポイント

大量データを高速に処理できない時代には、基幹業務側で勘定科目集計を行い、集計された値を一行仕訳に編集し会計側に渡していました。現在では、基幹業務側で発生する一取引単位に仕訳を起こし、会計属性以外に、その取引内容、属性情報を付加して会計システムに連携するといった方法がとられるようになってきています。こうすることで、大量データをいろいろな切り口で瞬時に分析・集計できるようになります。 なお、属性付加情報としては、以下の項目等があります。

  1. 売上内容の品目(製品/商品)
  2. 地域情報(どこの地域で販売されたのか)
  3. 得意先
  4. 業種/業態
  5. 担当セールス
  6. セグメント

リベート管理システムの整備のポイント

販売業務/購買業務/在庫管理業務の売上処理に関連し、顧客側に提供するリベートは売上の減少になり、部門別損益管理、品目(商品)別損益管理に影響します。リベートの提供を受ける側も、仕入の減少になり、損益管理や在庫管理に影響します。リベートの条件をはっきりさせシステムに反映させることが必要です。

訂正処理システムの整備のポイント

売上の訂正と返品の扱いについてのルールを確立し、システムに反映させることが必要です。例えば、売上の訂正を返品扱いで処理するというようなことを行っていると、入力ミスによる訂正なのか正規の返品情報なのか区別ができなくなります。また、返品処理を売上の赤黒で処理するケースもよくありますが、締め切りのタイミングにより当月売上のマイナスのみ発生することになり、統計分析の数字も変わってきます。それぞれの場合で、正規のルールに基づいた運用に改め、それに基づいてシステムを構築することが必要です。会計側の振替伝票で金額を合わせるといったことはやめ、基幹業務システム(源流)に遡って訂正することが必要です。

グループ会社がある場合のコード体系の整備のポイント

商法改正により連結財務諸表が商法の枠内に入ったため、株式公開の申請書類も連結情報に基づいて作成する必要があります。このため、グループを意識したコードの統一化が必要となります。次のようなコードの統一化ができると、情報連携がスムーズにいきます。

  1. 勘定科目コード
  2. 各計上基準(売上/仕入)
  3. 業種/業態コード
  4. 地域コード
  5. 顧客コード
  6. 仕入先コード
  7. 親会社に合わせたセグメントコード

連結会社間のアップストリューム(子会社から親会社に対する取引)/ダウンストリューム(親会社から子会社に対する取引)処理において、売上/仕入の計上基準が同期化されていると、親会社の売上入力が自動的に子会社の仕入情報となり、子会社の入力省力化、親会社と子会社の情報の同期化が図れます。

月次決算処理システムの整備のポイント

公開に向け、これまでより経営管理体制の強化が求められ、月次決算は必須の条件になります。月次締切処理後5日後相当に決算資料が作成できる仕組みと管理体制が要求されます。今まで、5日以上の時間を要していた場合、業務全般にわたる見直しと改善が必要となります。特に以下のような対外的要因に関係する部分は、早めの折衝が必要です。

  1. 相手からの請求書日時の見直し
  2. 外注費等に関係する未払金額の確定
  3. 材料費等に関係する仕入単価の確定、確定できない場合の処理ルール
  4. 月末締め切った後確定するリベート処理の扱いルール

また、社内的には、請求書発行の月末ピーク処理の回避や未収/未払/仮受/仮払の内容と金額の確定などが見直しのポイントとなります。
月次の実績結果と予算と対比し、その差異が次月の経営活動へ反映される仕組みを構築することが必要です。

証券取引法を意識したシステムの整備のポイント

株式公開するには、証券取引法会計基準に従った会計処理を行う必要があります。会計処理の部分で勘定科目等が、証券取引法に準拠した設定を行う必要があります。一般には、これまで行ってきた設定より細かい科目、内訳レベルの設定が必要となります。

発生源から情報開示まで整合性の確立したシステム化

著者プロフィール

内山 富夫(うちやま とみお)
株式会社マーベリックコンサルティング 代表取締役社長
昭和51年富士通興業(株)入社、昭和54年(株)富士通システムソリューションズ転社、平成14年6月株式会社マーベリックコンサルティングを設立。富士通システムソリューションズ在籍中からの現場経験を活かし、平成4年から株式公開を中心としたコンサルとシステム構築を手がける。著書に「株式公開実務ガイド」(中央経済社)など。
http://www.mave.co.jp/

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