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生産管理改革【基礎編】賢い生産管理で逆境に勝つ!
第1回 基本なくして改善なし

今こそ基本に立ち返ろう!

生産管理部門は物づくりの「かなめ」の部門といえます。顧客の要求する品質を実現し、納期を守りコストを抑えて生産していくためには、生産管理がしっかりとできていなければなりません。
筆者は30年間に渡り国内中堅・中小企業の生産管理を指導してきました。また、韓国の大手企業やその協力会社の中堅企業のコンサルティングも20年間行っています。
そんな中で私がまず言いたいのは、「基本」ができていない企業が未だに多く見受けられるということ。ISOの認証取得などには積極的だが、書類が増えただけで現場が改善できたとはとても思えない企業もたくさんあります。実質的な生産性向上を考えれば、ISOを取得する前にやるべきことはたくさんあるはずですが、経営層の認識の低さから“うわべだけ”の改善に走ってしまっていることも多いのです。
もちろんISO自体を否定しているわけではなく、ISO取得は工場の信頼性向上などに大いに役立ちますし、きちんと運営すればとても有効なものです。ただ、それだけに目を奪われて取得したらOKであるという認識では本末転倒です。
もはや現代は大量生産の時代ではありません。それぞれの生活者の個性にマッチした製品が要求され、多品種小ロットが当たり前の状況になってきています。さらに韓国や中国などのアジア勢を始めとする海外企業との競争も激化しています。日本の製造業にとって非常に厳しい状況と言えるでしょう。だからこそ、改めて基本に立ち返って生産管理というものを見直す必要があるのです。

まずは工場をきれいに!

5S、すなわち、整理・整頓・清掃・清潔・躾は、物作りをする者一人ひとりが最低限守るべきものです。これこそが生産管理の全ての根本と言えます。ところが、これができていない工場が意外に多いのです。
5Sをきちんと行うことによって、生産管理が楽になります。整理・整頓・清掃・清潔が進めば、在庫削減・資材の調達効率の向上・作業のスピードアップに直結します。単に見た目のキレイさだけを言っているのではありません。
また躾とは、決められたことをいつも正しく守る習慣づけのことです。いくら管理がうるさく言っても、躾のできていない会社ではそれが作業員に浸透しないのです。
5Sを徹底するだけで、大きな改善に結びつくはずです。

グループ分けで、上手に整理!

(1) 不要廃棄グループ
いらないものは捨てる。当たり前のことのようですが、以外にできていない会社も見受けられます。既に生産中止となっている部品が錆付いて残っていませんか?倉庫の奥に埃をかぶった冶具が残っていないでしょうか?廃棄できるものは担当者の了解を得てどんどん廃棄しましょう。

(2) 不良品グループ
不良品とは、手直しをすれば使用できる部品や製品のこと。手直しをしても使えない、あるいは納期が間に合わないとか既に生産中止となっている場合は廃棄になります。あいまいな場合は関係者で話し合って決定します。

(3) 執行猶予グループ
今すぐには使わないが、今後使う可能性があるものは「執行猶予グループ」とします。よく行うのがイエローカード作戦です。執行猶予の部品や製品に黄色い荷札を付けていきます。この場合に札には確認した年月日と担当者の名前を書いておきます。

このようにグループで分けることで、頭の整理もつき、現場の整理もつくのです。さて、その次に来るのが整頓です。

誰が見てもわかるように!

(1) 分類での整頓と、番地の表示
種類の違うものは別々に置くのが基本です。完成品・部品・仕掛品・資材・不良品などを一緒に置いていませんか。これらは性格が違いますから、置き場所を決めて番地を表示しましょう。例えば1-1番地は完成品、1-2番地は部品というように。さらに余裕があれば細かく分けていきます。1-1-1は「A」という完成品、1-1-2は「B」という完成品のように細分化していきます。

(2) 適正量の表示
過去6ヶ月程度の平均値を計算して1日当たりの使用量をカードに書いて貼ります。このカードにはそれ以外に最小量の表示や発注日時、担当者も記入しておきます。適正量が記入してあれば担当者が休んだ場合でも、他の人が対応できますし、棚卸も迅速に行えます。

いかがでしょうか?整理整頓だけを徹底しても職場がすっきりしますし、在庫の削減や棚卸の効率化につながって行きます。皆さんの会社でもすぐに実行してみてください。

「番地と色分けで見える管理」 大阪D社

さて、皆さんの会社では今、部品の在庫がどのくらい有るか分かりますか?在庫品はどこの棚に置いているか分かりますか?不良品の量や金額がすぐに分かりますか?
大阪のD社は、在庫切れによる生産ストップが頻繁に発生し、顧客にも迷惑をかけていました。そこで工場ではこれを解決するために、倉庫を「番地と色分け」で整理する方法を採り入れました。A-1番地といった番地を設けて、担当者が素早く品物を揃えられるようにしたのです。そして在庫が半分になると、黄色のカードを箱の前面に貼り調達部門に連絡します。さらに在庫が1割を切ると、赤色のカードを箱の前面に貼り調達部門に督促します。このように目で見て判断できる管理方法により、在庫切れによる生産ストップは完全に解消したのです。

PDCA、本当にできていますか?

生産管理に携わっている方なら知らない人はいない「PDCA」。すなわち、Plan(計画)を立て、これを実施(Do)し、その結果をCheck(確認)して問題があれば発生を未然に防ぐAction(対策)を行うこと。しかし、この一連の流れ「PDCA管理サイクル」をきちんと実施している企業も少ないのが現実です。
日常業務に追われ、頭で分かっていても紙に書いて実施をしない、いまさらやっても仕方がないと思っているなど、以前トライしたがやめてしまった会社も多いようです。大切なのは継続です。もう一度PDCAを見直してみましょう。

PDCAで工程管理

PDCAを、ラインの進捗状況を管理する場合に当てはめてみましょう。
例えば、1日100個の生産量を目標とした生産ラインがあるとします(Plan)。このラインで生産を実施しますが(Do)、ちょうど半日が終わった段階で、いくつ生産されたかを確認します(Check)。そこで40個しか生産されていなかった場合、残りの半日で60個を生産する対策を至急考えて(Action)、後半の生産を実施しなくてはなりません。
この場合どんなサイクルでCheckするかが問題になってきます。この例では半日でひとつのサイクルとしていますが、例えば1時間ごとに確認(Check)できれば、対応はもっと早くなります。このサイクルについては、生産している製品の性質などにもよってきますので、一概にどれくらいが良いとは言えませんが、試行錯誤して最適なサイクルを見つけましょう。

個々の問題改善をPDCAで実施

またPDCAは、ひとつひとつの改善にもしっかり適用していかなくてはいけません。改善提案が出て、実施するだけでは終わりではないのです。PDCAで改善の効果を追っている事例を紹介します。

「PDCA改善シートで問題点を解決」 埼玉 A社

埼玉のA社は設立以来、産業機械の企画・開発・販売に取り組んでいる中堅企業です。この会社ではPDCAサイクルの重要性をきちんと認識し、身近なところから現場の改善に取り組んで大きな成果を挙げています。さらに新商品開発にもPDCAサイクルを当てはめ、改善の努力を行っています。
下は、この会社の現場改善で使用している実際の「PDCA改善シート」です。これを使用して、毎週1回グループ会議を行いながら問題点を解決しています。

簡単なことのようですが、きちんと実行しようとすると意外に大変で、地道な作業です。管理者をはじめ、作業者一人ひとりの意識が大切と言えるでしょう。

著者プロフィール

笠原 隆(かさはら たかし)
ノバ コンサルティング株式会社 代表取締役
29歳にJEMCO日本経営に入社。本部長を歴任して平成元年退職。ノバ コンサルティング株式会社を設立し、「生産管理」をはじめ、様々なテーマで小規模企業から大企業まで幅広く指導。経営指導歴30年、海外企業指導歴20年。VE、IE、QCと成功哲学をベースとして「売上げ拡大」「原価低減」「利益拡大」等の実際に効果を出す外科的なコンサルティングを行っている。講演、セミナー、教育も多数行っている。
http://www.remus.dti.ne.jp/~nova-co/

[2005年5月27日 掲載]


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