Fujitsu The Possibilities are Infinite

HITな視点

2004年、今年はどんな売れる商品、ヒット商品が生まれるのでしょうか。嗜好、志向、思考ともまさに十人十色の昨今、爆発的な大ヒット商品がなかなか生まれにくいと言われていますが、一方で「某年代の女性」「何々に関心がある人」など、ある特定層だけに売れるヒット商品が続々登場しています。携帯メールやインターネットを通じ、いわゆる「口コミ」で広がっていく商品も多くあります。
ライフスタイルや価値観が多様化する中、小粒でもぴりっとしたヒット商品を生み出すには、商品そのものの魅力はもちろん、「売るための視点・ターゲット」をどこに持っていくかということが非常に重要になってきます。今回はそんな商品開発のヒントとなる「HITな視点」をテーマにお送りしていきます。

ターゲットを絞って大成功した緑茶飲料

まずは、昨年5月に発売された緑茶飲料「ヘルシア緑茶」(花王株式会社)。一般の緑茶飲料の3~4倍に相当する高濃度茶カテキンを配合し、1日1本を3カ月間飲み続ければ体脂肪の約10%の減少が期待できるというもので、毎年数多くの新製品が登場する飲料市場において、異業種からの初参入にもかかわらず大ヒットとなりました。ダイエット効果をうたった飲料は数多く存在していますが、同商品は、「特保」(厚生労働省が認可した特定保健用食品)の表示、体脂肪増加を気にする30-40代男性にターゲットを絞った、ターゲットである男性が一番足を運ぶコンビニエンスストアのみに販路を絞った、この3つが大きな勝因と言われています。価格も180円(350ml入りペット)と通常の茶飲料より高いにもかかわらず大ヒットしたのは、まさしく「HITな視点」の勝利といえるのではないでしょうか。蛇足になりますが、昼休みにビル清掃に来ているおばさんとよく話しをします。「最近、こればかりだよ」と、おばさんが指さした東京都指定のゴミ袋の中には、ヘルシア緑茶の空きペットがゴロゴロ入っていました。

いつ・どこで!?の視点がヒットに

シーンを絞り込む視点でヒットを放った商品といえば、朝専用缶コーヒー「ワンダ・モーニングショット」(アサヒ飲料株式会社)。缶コーヒーを飲む人の約43%が午前中に飲むという同社のデータから、商品ができたそうです。確かに朝と午後では気分も体調も違いますし、朝の気つけにふさわしいすっきりした飲み口のコーヒーがあったら手が(心が)いきますね。これ以降、就寝前用、休憩中、ドライバーなど飲むシーン別の飲料が続々誕生していることにも注目です。
飲料だけではありません。株式会社ワコールは、2月に業界初の睡眠時専用のブラジャー「ぐっすりブラ」と「スリーピングブラ」を発売します。なんでも女性の3割は就寝時もブラをしているという同社のデータから「快眠」をキーワードに金属などの材料を使わず、睡眠時の胸の動きに合うよう作ったとのこと。ここぞ!というデート時に着用する「勝負下着」は女性の間でもはや常識ですが、これからは「会議用」「休日の散歩用」などシーンごとに下着を着け替える時代になるのかもしれません。

一過性で終わらない売れる環境作りで成功

売れるためにはまず話題づくりということで、広く行われているのがキャンペーンやプレゼントなど。しかし、発売当初の話題性はあるものの、一過性であることも否めません。そこで、一時の話題やブームで終わらせず、文化として長く続いていく環境づくりを行い成功した例をご紹介します。
ヤマハ株式会社が行っている「カンカラ・フェスタ」は、今年で6回目を迎えます。「カンカラ」とは、カラオケをバックに管楽器を演奏すること、つまり、管楽器版カラオケ大会のことで、毎年約3000名が参加し、各地域予選を経て全国大会へと盛り上げていきます。同社はこのイベントにより、学生時代に管弦楽クラブに所属していたものの、社会人になってからは全く楽器とは縁遠くなってしまった人、子供の頃、憧れた楽器や音楽を今こそ演奏してみたいという人、親子で管楽器にチャレンジする人・・・など、管楽器ファンの掘り起こしと同時に、管楽器の販売数をアップさせました。さらに、「時間と場所を問わず、練習したい」との声によって作られた、音量を飛躍的に小さくしつつ、演奏感を損なわない「サイレントブラスシステム」も管楽器ブームに一役買っており、続いていく文化の強さを物語っています。

力のある商品プラスHITな視点を

紹介したものは一例ですが、いずれも目の付け所、視点がユニークなものばかりです。しかし、物珍しさからヒットしても、その人気を継続させるには、商品そのものにどれだけ魅力があるかが重要となります。「魅力のある商品」すなわち商品に力があるものは、消費者の心をしっかりキャッチし、安定して生き残っていくものです。そういう意味で、ロングセラーになっている商品には、HITな視点のヒントがたくさん詰まっているといえるでしょう。視点をどこに据えるかが、ヒット商品誕生のキーポイントとなりそうです。