第46回 電話表現その1
「すみません~!英語のわかる方いらっしゃいませんか?」
先日、駅のベンチに座ってボーっとしていたら、ホームの端のほうから男の人が血相を変えて、足早にやってきました。
彼は、左手に持った携帯を前面に突き出すようにして、「電話口に出ていただけませんでしょうか」と何度も繰り返しています。
やがて、その矛先が私のベンチに向いた時、「私でよければ」と、一言口にしました。
どうやらお相手は、お嬢さまの留学先、アメリカの英語学校です。
「娘がこの秋からカリフォルニアに留学するんですよ」と男性は傍で説明します。
まだ入学金の振込みの確認が出来ていないようで、学校の事務局は、直接保護者のお父さんに電話をかけたようです。
「今朝、銀行口座にお支払いしたようですが」と事情説明をすると「それでは待っています。サンキュー」との返答がありました。
このやり取りをずっと聞いていた彼は、携帯を返すや否や頭を撫でて、真っ赤になりながら何度も頭を下げます。
「娘には国際的になってほしいのに、自分はからきしダメで~」英語が電話口に流れただけで、たじたじになってしまうという
自称‘英語アレルギー’のお父様。
「書いたり読んだりするのはまだいいんですけどね」とため息をつきました。
さて、日本人は得てして電話トークが苦手です。
聴くだけでも四苦八苦なのに、相手の表情が見えないと、推察すら出来ません。
でも実は、英語も、日本語と同様に、電話表現は、決まった言い回しの連続なのです。だからその定例文をいくつか頭に入れてしまえば、怖いものなし。
今回から3回に分けて、シーン別電話表現をお教えいたしましょう。
是非活用していただきたいと思います。
電話がかかってきました~最初になんと言うか?
―This is をつけて、
This is ABC Company. (ABC社です)
This is Machiko Ishibashi. (石橋眞知子です)
―会社や部署の場合は、
This is を省いて
ABC Company/Personal Section でもOK。
―人の場合は、
名前の後に、speaking をつけましょう。
Machiko Ishibashi speaking.
―もちろん、「もしもし」や「おはようございます」などのことばを入れるのであれば、冒頭に
Hello/Good morning/Good afternoon/Good evening
を言います。
相手がもじもじしていたら
May I help you?
What can I do for you?
(ご用件をお受けいたしますが)
これは、馴染みがある表現です。
お店で迷っていると、店員さんも同じように声をかけてきますよね。
相手の言っていることがわからない
Pardon me?/Excuse me?(すみません?)
日本語でも相手の方が早口の場合、「すみません?」と尻上がりのトーンで聞きますよね。
それと同じように、ちょっと語尾を上げるのがポイントです。
もう一度言ってほしい場合
I’m sorry, I missed your words.
Could you repeat that slowly?
(申し訳ありません、聞き取れませんでした。再度ゆっくりおっしゃってくださいますか?)
このslowlyの代わりに、clearlyを使ってもいいです。
Clearlyは、「明確に」の意味です。
最後/最初の部分だけわからないときは~
Could you repeat the last/first part please?
他の言い回しも覚えちゃいましょう。
もう一度お名前をいただけますか?
May I have your name, again?
Could you repeat your company name?
すみません。電話が遠いようです。
I’m afraid your voice sounds weak/quiet.
もう少し大きな声でお願いできますか?
Could you speak more loudly, please?
Please speak up.
今回は、電話をとる場合の冒頭に触れました。
お願いするときはCould you とplease が大いに役立ちます。
いくつか好きな言い回しを手帳に貼り付けておいてくださいませ。
石橋眞知子(いしばし まちこ)
エッセイスト&プロデューサー
学習院大在学中から深夜放送のパーソナリティとして活躍。
シカゴ・ノースウエスタン大学で日本語講師。オックスフォード大学留学。
異文化コミュニケーションやマナーをテーマに執筆やエッセイ、そして講演会などで活躍している。
現在の執筆活動の拠点は産経新聞「ビジネスアイ」。日曜版5面「女の本音・男の本音」、木曜版1面「よのなか万華鏡」を執筆、その視点にはたくさんのファンから絶賛を浴びている。
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