Fujitsu The Possibilities are Infinite

元のページへ戻る

第45回 月の話

狭いながらも東京の夜空が少しだけきれいになったと思いませんか?
星の数も増えたし、お月様もくっきりと黒い空に浮かんでいます。
幼い頃、月には杵を担いだウサギがいると教えられ、いつウサギが担いだ杵を下ろすのかと何度も何度も見上げていたのを覚えています。
大人になると、月は幻想的な存在として心を癒してくれるようになりました。
月の神は、ギリシャローマ神話に出てきますが、ラテン語ではluna,と言われます。

さて、太陽のsun から派生したsolarは「太陽の」の意味で、solar calendar は「太陽暦」となります。
また転じてsolarは、「太陽光線熱を利用した」の意にもなります。

一方、月の形容詞はlunar。
lunar calendarとは「太陰暦」で今でもイスラム教では使用しています。

実は、lunaから派生した表現はあまりいいイメージがありません。
例えば、lunacy 「狂気の沙汰」。
lunatic 「狂気的な・精神異常者」の意味。
満月の日に狼男が暴れると言われるくらい、昔から月には独特の霊気が漂っていると言われていました。
その霊気に当たると、気が狂うと信じられていたのでしょうね。

またご存知「moon」を動詞に使うと、当てもないしぐさを表します。

moon about
当てもなく歩く
I love to moon about. 当てもなく歩くのが好きだ。

moon over~
~についてボーっと考える
それがover the moon となると、一転して、感情の高ぶりを表すのです。

be over the moon 有頂天になって大喜びで
She was over the moon about being his fiancée.
彼女は彼と婚約できて大喜びだった.
他に

cry for the moon
高望みする 出来ないことを望む
Moon はそれだけ遠い存在なのですね。

もう一つ、「アルバイト」をmoonlight job 、moonlighter を「アルバイトをしている人」のことを指します。
お昼は正規の仕事を、そして月の光の下では副業に勤しむところから来ているようですよ。


石橋眞知子(いしばし まちこ)
エッセイスト&プロデューサー
学習院大在学中から深夜放送のパーソナリティとして活躍。
シカゴ・ノースウエスタン大学で日本語講師。オックスフォード大学留学。
異文化コミュニケーションやマナーをテーマに執筆やエッセイ、そして講演会などで活躍している。
現在の執筆活動の拠点は産経新聞「ビジネスアイ」。日曜版5面「女の本音・男の本音」、木曜版1面「よのなか万華鏡」を執筆、その視点にはたくさんのファンから絶賛を浴びている。
個性あふれるブロク公開中!「毎日がSplash」