Fujitsu The Possibilities are Infinite

元のページへ戻る

第2回 握手って難しい!?(後編)

夏真っ盛りです。
照りつける太陽のもと、通勤に営業にがんばっていらっしゃる皆様、ご苦労様でございます。外から戻ると、「ふーぅ」と思わずため息。仕事に取り掛かる前にぜひともこのコラムに眼をお通しください。読み終えたころにはしっかりクールダウンしていると思います。
と言うわけで、初回に次いで今回で2回目。前回出した問題の答えをお教えいたしましょう。まず前回の問題です。

Q:もし年が上の方と握手をする場合どちらが先に手を出しますか?
Q:もし相手が女性だったらどうなりますか?

会合やレセプションで初めてご紹介を受けた方がご年配だとします。
「初めまして、私A会社の山田と申します」という調子で、日本ならすぐ名刺交換が始まりますが、欧米では、名前を名乗りながら握手を交わすのが通常マナー。

はい!ここで問題です。
‘そのとき自分から手を出すか、それとも年配の相手が手を出すまで待つか’答えは、相手が出すまで待ちましょう。お辞儀の場合とまったく逆バージョン。
年上が会釈する前に若い人が先に頭を下げるお辞儀に対して、握手は年上が先出し、若輩は後出しなのです。

かつて中世の欧州には決闘の習慣があったことはご存知ですよね?恋人をめぐって恋敵の独身男性が剣を抜いて戦うなんていうことも日常茶飯だったようです。女性冥利に尽きますよねぇ。
さて、決闘は、スポーツの試合と同様に、公明正大に行わなければなりませんでした。真剣勝負に出る前に互いに手を差し伸べ、手のひらを見せ合って何も持っていないことを確認し、その上で手を握り合ったのがいわゆる握手の始まりです。握手をすることで、身分や年齢に関係なく平等であることを意味していたのです。『平等』の象徴であった握手だから、上位の人が先に下に降りて来ない限り、下の人が手を出すのはおかしいわけです。

また、もし相手が女性の場合、Ladies firstの社会、欧米においては、女性も年配者と同じく、位が上に扱われます。いくら相手の女性が美形でいち早く彼女の手を触りたいという願望に駆られても、相手が手を出すまではじっと我慢の子であります。
もともと女性には手を触れてはならないお達しがありました。ゆえに女性に対しては、お辞儀をするだけでしたが、女性の社会進出が握手の習慣をも変えたわけであります。

最後にもうひとつ、日本人独特の握手アクション。握手をしながらどうしてもお辞儀もしてしまう。まさに和洋折衷型です。いくらサービス精神旺盛で丁寧な国民だからといっても、どちらかひとつで十分気持ちは通じます。
今回は握手のお話でした。


石橋眞知子(いしばし まちこ)
エッセイスト&プロデューサー
学習院大在学中から深夜放送のパーソナリティとして活躍。
シカゴ・ノースウエスタン大学で日本語講師。オックスフォード大学留学。
異文化コミュニケーションやマナーをテーマに執筆やエッセイ、そして講演会などで活躍している。
現在の執筆活動の拠点は産経新聞「ビジネスアイ」。日曜版5面「女の本音・男の本音」、木曜版1面「よのなか万華鏡」を執筆、その視点にはたくさんのファンから絶賛を浴びている。
個性あふれるブロク公開中!「毎日がSplash」