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シリコンウェハー製造の全工程を「見える化」
対応のスピードアップなど、さらなる強みを身に付けた


新工場完成予想図

スペースエナジー株式会社様 長野工場 導入事例


太陽電池を構成するシリコンウェハー製造で躍進を遂げてきたスペースエナジー株式会社様は、長野工場をはじめとする製造拠点の増強に取り組んできました。今回、さらに増加するニーズを視野に、その生産能力をさらに強化すべく、生産管理システムの導入を行いました。

[ 2007年4月19日掲載 ]


導入事例概要
業種: 製造
ソリューション: 生産管理システム
製品: GLOVIA-C PRONES

次代のエネルギーのひとつとして脚光を浴びている太陽電池。スペースエナジー株式会社様は、そのキーパーツである単結晶ウェハー市場で世界トップクラスを誇る。原材料となるインゴット引上を中国工場で行い、長野工場でシリコンウェハーを製造している。こうした充実した体制を備えたメーカーは少なく、強みとなっている。

時代の追い風を背景に急激に拡大を続ける太陽電池市場にあって、生産能力のさらなる増強が求められている。現在、長野工場の3倍規模の生産能力を持つ新工場も建設計画中である。

その中で、生産性のさらなる向上や海外企業に対する競争力の強化などを目指し、製造の各工程で情報のシステム化が図られることとなった。

シリコン単結晶インゴット シリコン単結晶ウェハー

課題と効果
生産拡大にともないブラックボックス化していた作業工程の「見える化」を実現
1 工程在庫を把握するために月に一回、棚卸しを行っていた 工場内や外注先の在庫の完全把握が可能に。棚卸し工数が6分の1に削減
2 作業現場を直接見ないと進捗がわからなかった リアルタイムに進捗が捉えられ、確認工数はゼロに
3 手書きによるロット管理のためトラブル時の原因追及に数日もかかっていた ロットトレース機能によりわずか数分で可能に
4 作業指示書や注文票などを手入力で作成していた 手動入力がほとんどなくなり、時間短縮、入力ミスも激減

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導入の背景

製造の現場が「工程が見えないブラックボックス」に

吉春哲次郎
スペースエナジー株式会社様 長野工場 執行役員/製造・技術本部本部長/長野工場長兼務

藤牧 智
スペースエナジー株式会社様 長野工場 生産管理部 次長

スペースエナジー様で長野工場の工場長を務める執行役員で製造・技術本部本部長の吉春哲次郎氏は、製造の現場を預かる立場から、今回の生産管理システム導入の意義を次のように語り始めた。

「製造の基本は、品質、コスト、納期のいわゆる『Q・C・D』の最適な管理です。この3つは優先順位がなく並列ですべて最優先の課題。生産量が増えてくる、品種が多岐にわたってくる、あるいは発注していただくお客様が多くなる、そういった状況でもQ・C・Dがトータルで管理できなければいけません。そのためには、生産管理システムの構築は、我が社にとっては必然でした」。

シリコンウェハーの製造には、情報の管理が欠かせない。材料となるインゴットの特性や、ウェハーに切り出した後の外形寸法や特性など、管理すべき情報は実に200にものぼる。この大量の情報をロットごとに管理し、顧客が求める情報を添付し納品する。実は、この情報管理が大きなネックになっていたと話すのは生産管理部次長の藤牧 智氏。

「シリコンウェハーの増産で、最もネックとなるのが、この情報の管理なのです。増産量を倍にすると、管理すべき情報量はその乗数となります。生産量が増えると情報があまりにも膨大になりすぎ、生産に必要な数値や実績を探し出すために10人が数日がかりで探すこともしばしばでした。社内では『工程の中が見えないブラックボックス』とまで言われていました。この状況は早急に解決すべき問題でした」。

好調な太陽電池市場を背景に、スペースエナジー様では新工場建設の計画も始まっていた。生産現場における基盤整備と強化は、まさに急務といえた。


システムの選択

機能が豊富でチョイスしやすかったPRONES

「導入にあたって、10程度のSI会社にあたりましたが、その中で富士通が一番元気あると感じました。積極的にセミナーを開催して情報発信をしたり、また経験豊富なSEを数多く確保しているなど、体制が充実していた点も大きなポイントでした。お願いするからには、やはり元気のあるSI会社に、と思います」と語るのは、システム導入の陣頭指揮を行った企画本部企画グループ係長、曽根光男氏。

曽根光男
スペースエナジー株式会社様 長野工場 企画本部 企画グループ 係長

曽根氏はGLOVIA-C PRONES(グロービア・シー プロネス)導入の決め手になった点を次のように説明してくれた。

「システムが備えている機能と当社が必要とする機能を検討したところ、やはり、適応しない部分は出てきました。そこは手を入れて仕上げなければいけませんが、プロネスは基本的に機能が豊富でしたので、変更するにしても容易だろうという判断がありました。そういう面で、GLOVIA-C PRONESはチョイスしやすいシステムといえます」。

また実際の構築にあたっては、富士通のSEの存在も大きかったという。「さまざまなこの工程のこの情報を取りたい、しかし取るのは難しいなど、困難があったのも事実です。ですが、そのたびに富士通のSEの方からさまざまなご提案を頂きました。彼らは他の業種や業務システム構築で豊富な経験をお持ちで、その中からつねに適切な対応をしてくれました。彼らの経験はシステム構築を短期間で仕上げる上で、大きな原動力となっていました」。

この他、吉春長野工場長のトップダウン制によるスピーディーな意志決定、現場従業員の献身的な協力などもあり、選定からわずか5カ月後の2006年4月に、生産管理システムが稼働を始めた。

システムの概要

PRONES V11

各所に効率化のための工夫を凝らしたシステムを実現

このシステムの完成により生産計画からロット分割、作業計画立案、材料の受入検査、注文書や作業書の発行、作業実績や発注受け入れの入力、出荷まで全行程の情報が結ばれた。

これまで人手に頼っていた製造指示書や梱包内訳表、検査成績書、封入ラベルの発行が大幅に省力化されたほか、人が工場内を見回り確認していた在庫もシステム上でほぼ完全に把握できるようになり、棚卸しの工数削減も実現している。

原料から完成までの各工程では、実績や各種測定結果が手入力されていたが、これもバーコードリーダーなどを活用し、作業者の負担が最大限に抑えられるとともに、データ入力の精度が向上した。それまで使用していた測定器に装備されていたUSBを活用し、システムにダイレクトにデータ入力できるようにするといった工夫も行われている。

また製造指示書をスキャニングすることで、各工程で実績の入力が可能になった。またこの指示書はロット識別用札としても利用できるように工夫された。従来はロット識別にプラスチック製バッジを利用していたが、その付け替えの手間やバッジの付け忘れといった問題も解決された。

導入の効果

工場の生産能力を最大限に引き出せるようになった

このシステムによって、長野工場の生産能力がすべて掌握できるようになりました、と吉春工場長は語る。

「今どのくらい受注していて、どの程度工場が稼働しているか、そして後どの程度受注できるか。これまで、ある程度把握していても、最後の部分はカンや経験を活かして管理してきました。それが今は細部にわたるまで、しかも瞬時に把握できます。急な受注があっても、どの設備に余力があって対応できるのか、出荷はいつになるか、判断できるようになりました。製造設備の能力を最大限に引き出すことが可能になったともいえます」。

オーダーは突然やってくることもある。営業から仕様や数量、納期の連絡があり、すぐに顧客に返答できないか返答を求められることもある。そんな時、以前であれば製造現場への問い合わせや調整に2日程度かかり、それでも正確な生産状況が把握できなかったため場合によっては受注を断ったり、また受注しても出荷にブレが生じることもあったという。

それがシステム構築後は営業からの問い合わせにも即座に返答でき、しかも受注時に予定したとおりの出荷も可能となった。

さらに、製品のトレーサビリティが実現できたことも大きなメリットとなった。過去の生産履歴を参照したい時、あるいは納品した製品に問題が生じた時に顧客から製造工程や原料にさかのぼって各種のデータを求められることがある。以前であれば何人もの人員が膨大な紙の書類をめくり、ひとつの製品に紐づくすべてのデータを洗い直していた。そのために1週間以上の日数を費やすことも珍しくなかったという。そこまで膨大な労力とコストをかけて行っていた作業が、このシステムの導入によりわずか数分で完了できるようになった。またデータの洗い出しが瞬時に行えるため、その情報をもとにした対策なども迅速に行えるようになった。

受注問い合わせに、即答できるようになった

いざというときの対応のスピードが、この生産管理システムによって格段に速くなった。そのスピードこそ、これからのスペースエナジーの大きな武器になると藤牧氏は語る。

「受注の際、『ちょっと待ってください』ということがなくなりました。『やります』と即答できるようになった。それは競合他社に先駆ける大きなポイントとなります。

この業界にも今後、中国などの海外メーカーが低い人件費による圧倒的な低コストを武器に台頭してくることが予想されます。それに対して、当社はどうすべきか。海外メーカーがコストで戦うのであれば、我々は品質の確かさや納期の正確さ、迅速さを追求すれば、まだ同じ土俵でも充分に勝負になると考えています。

品質に関して、どれだけ薄い製品を切り出すことができるかについては今後も現場で突き詰める必要がありますが、納期に関しては、今回の生産管理システムによって環境整備ができました。今後、シリコンウェハーの製造分野で勝ち残っていくための基盤ができたということが言えます」。

今後の展望

次の成長が、ここから始まる

今回のシステム構築は、まだ第一歩にすぎないと曽根氏は言う。

「一番最初の基本となるレールが敷けて、その上を走り始めたばかり、というのが今の感想です。各製造工程で、例えばハンディターミナルのような機器を導入してさらなる作業効率の向上を目指したり、原価や財務など他の部門の情報と照らし合わせながらつなげていく、といったことも考えられます。2年後には新工場の立ち上げも控えていまして、それまでに今回のシステムをベースにどこまで発展させられるか、私としては期待もしています」。

またスペースエナジー様では、長野工場の他に中国にインゴットの生産拠点を持つなどグローバルに展開している。海を越えて各拠点を結び、財務や資財の管理をトータルで行うことも視野に入れているそうだ。

「地球温暖化を少しでも抑止するために、太陽発電に対するニーズや期待がますます高まってくるでしょう。そうした中で、今後需要の急激な変化に対応できるだけの柔軟な生産体制を築かなければならないと考えています。今回の生産管理システムがそのためのベースになります」と吉春氏も今回のシステムに期待を寄せる。

新たなシステムを得て、スペースエナジー様は大きな成長を遂げるに違いない。

【営業からの一言】 富士通株式会社 長野支社 安井孝司

今回は、PRONESの導入決定から稼動まで5ヶ月間という短い期間でしたが、スペースエナジー様の全社プロジェクトとして、生産管理部門・システム部門・更には製造現場の方々の大変なご協力を頂き、課題であった「生産情報の見える化」を実現する生産管理システムを構築する事ができました。今後も、新工場の建設で更なる生産体制の増強を見据えるスペースエナジー様のビジネスパートナーの一員として、企業成長を支える最適なソリューションをご提案して参ります。

【スペースエナジー株式会社様 会社概要】

本社 東京都台東区
代表 代表取締役  仁村 利尚
設立 平成7年4月
社員数 200名 2006年8月現在
事業内容 太陽電池用インゴット引上、ウェハー加工
太陽電池用原材料調達、ソーラーセル・ソーラーモジュール応用製品の開発
ホームページ スペースエナジー株式会社ホームページ

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