Fujitsu The Possibilities are Infinite

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FTUF人材開発の小道場

人材の育成・開発について一緒に考えていきましょう!

第3回 新しい人材開発に求められる基本的なアクションを確認する

S氏 「先生、おはようございます。最近日差しも暖かくなり、通勤電車に濃紺のスーツのフレッシュマンが大勢乗っていて、また新しい年度を迎えたのだな、という気持ちがしますね。」

博士 「ふむふむ。前回は人材開発の方向性を考えて、その仕組みを変えて行くことが、個人や組織のビジネス対応力を底上げし、お客様の環境変化に追随し、そしてビジネスの獲得につながるということがわかったのであったな。」

S氏 「そうでした。ですから、自社の人材開発の方向性について考えてみたのですが、やはり包括的にやらなければということはわかるのですが、では具体的にどうすれば良いのかということになると、頭の中が真っ白になってしまって・・・、自分はいったいこの一ヶ月何をしていたのかな、と思ってしまいます」

博士 「まあ、そう悲観しなくても良いぞ。人材開発の方向性が企業組織の発展・向上を左右することに気づいただけでも大進歩なのじゃ。そこで、今日の本題は‘『人材育成のやり方を変えていく』ために具体的にどのようなことをすれば良いか’ということだ。」

S氏 「はい。了解しました。」

博士 「まずは、

  • 自社が今後必要とする『人材を定義』する。
  • この定義に沿った人材開発諸施策を設計する。
  • これらの施策を運用していく場合の構成要素を明らかにする。

これらのいわば制度面で、重要なキーワードとは何かご存知かな。それは『キャリアフレームワーク(CFW)』である。」

S氏 「なるほど、『キャリアフレームワーク』では『自社の人材像』、『キャリアパス』『対応するスキル体系』、並びに『そのスキルを習得するための教育や資格』等が定義されているわけですね。」

博士 「今、そう説明しようとしたとこじゃ。でじゃな、キャリアフレームワークを自社の『人材開発共通のモノサシ』として設定することにより、関連する人材開発の構成要素(プロフェッショナルコミュニティー、現場での制度運用、人材活用、人事制度変更等)が具体性を持ってくるのじゃ。」

S氏 「なるほど、モノサシというのは分かり易いですね。」

博士 「これらをゼロから設計をして運用していくためには、それに見合った体制が必要となるが、幸いなことにIT人材キャリアフレームワークの設計においては、経済産業省のITSS(IT Skill Standards/ITスキル標準(注1)が既に公開されており、これをテンプレート的に使えば設計負荷の大幅な削減になるのだ。」

S氏 「最近、SEやIT技術者の教育体系をITSSに準拠して見直している企業も増えているそうですね。」

博士 「そうだな。下の図はキャリアフレームワークを基本にした人材開発の基本要素じゃ。キャリアフレームワークをベースとして人材開発のやり方を変えていくとき、1、2、3は『重要3点セット』として必須となる要素であると考えられるのじゃ。」

S氏 「よく、わかりました。ではコーヒーブレイクとしますか。」

博士 「うむ、今、わしもそう言おうとしたとこじゃ。」

図3) 人材開発のやり方を構成する5つの基本要素 (注2)

博士 「では、人材開発のやり方を決める5つの基本要素について、紹介しよう」

S氏 「お願い致します。」

博士 「1. キャリアフレームワーク:従業員のキャリア開発の枠組みを設定する。これが自社の人材開発の共通言語となる。初期の検討段階では経済産業省のITSSを大いに活用するべきだ。また、制度面ではキャリア認定を行うのか、また人事制度変更を視野にいれるべきかどうかは検討しておく必要がある。」

S氏 「さきほどの、人材開発共通のモノサシですね。」

博士 「2. プロフェッショナルコミュニティー:同じ専門職種を志すプロフェッショナルによる組織横断的なグループをコミュニティーと呼んでいる。個人は実組織とバーチャル組織であるコミュニティー双方に籍をおくことになる。コミュニティーでは自らの専門性を磨き、後進の育成、情報発信を行う。初期段階においては、自社のキャリアフレームワークの人材像、キャリアパス、教育、資格、認定等の詳細を詰めていく重要な役割を果たすのだ。」

S氏 「例えばプロジェクトマネージャー間の経験・知識交流を目的としたグループディスカッションや事例発表会などが思い浮かびますね。」

博士 「3.キャリア開発の制度運用と定着:キャリアフレームワークはあくまでも人材開発の制度として静的なものである。これを現場に理解をさせ、定着させていく動的な部分が非常に重要になるのだ。現場における登場人物は、「個人」と「部門長を代表とする組織」であり、人材開発の制度運用は両者を支援する仕組みとして運用される必要がある。基本的には個人と組織の側面で人材開発サイクル(Plan-Do-See)を回していく仕組みを用意していくことが重要と考えられるのじゃ。」

S氏 「具体的には、(1)自分のキャリアの計画を立てる、(2)人材開発部門にキャリアの認定を受ける、(3)実際の仕事で実績を積む、(4)教育の受講・資格の取得、(5)キャリアについて上司の面談を受け評価し、次期の計画について相談する。う~ん!ちょっと難しくなってきました。」(注3)

博士 「4. 人材活用:キャリアフレームワークに沿った人材開発を進めていくと、必ず「育成された人材の活用」を、実際の現場のプロジェクトにどう適用していくかの議論が始まることになるな。人材開発の初期段階では育成や認定に焦点があたり、社内的にはその推進が中心となるわけだ。
ただ、自社のビジネス習慣そのものがそれに伴って変わることはあまりないのだよ。より計画的、効果的に人材開発を進めていくには、キャリアフレームワークで定義されている職種の人々が対外的(お客様)にどのような協業で仕事を進めていくべきなのか、そしてそれには自社のビジネススタイルを変えるべきなのかの議論が必要となってくるのだ。」

S氏 「ほー。人材育成のやり方の変革で、まさにビジネススタイルやお客様への働きかけまで変えていこうというわけですね。」(注4)

博士 「5. 人事制度の変更:そうだな、1.でも触れたが、キャリアフレームワークの導入により人事制度をそれに連携させるかどうかを当初から念頭にいれておく必要があるのだ。キャリアフレームワークを、あくまでも人材育成のためのモノサシとしてとらえて、そのモノサシに人事制度を連携させるか否かによって、現場からの捉え方は大きく異なってくるのだな。人事制度と連携させる場合は各職種間でのバランスや認定方式等を個別の職種単位の最適化だけではなく職種横断の観点で全体最適化する必要があるわけなのだ。」

S氏 「従来の人事管理はヒトの給与管理が中心だったわけですが、人材面でビジネスに貢献する施策として、ヒトのパフォーマンスをDB化し、ビジネスや組織変更に活用するわけですね。」

博士 「以上全体の構成要素を概観してきたが、推進には社内の関連部署の積極的な関与が必要となることはわかるね。重要なポイントは2.のコミュニティーを早期に形成できるかどうか、ということじゃ。」

S氏 「コミュニティーの構成メンバーには、是非、現場で最も信頼の厚い、いわゆる他の人の範となる人物を加える事が大切ですよね。人材開発部門の思惑だけではキャリアの設計、そして現場部門での納得性の観点で推進は困難でしょう。」

博士 「そういうことだね。さて、いままで説明してきた内容は特定の業種や職種に限られたことではないのだよ。ビジネスに貢献できるヒトを育成するためには、このような要素を盛り込んだ人材開発が必要になるのじゃ。この問答をお読みの、みなさんの会社でも同じような状況であれば、人材開発のやり方を変えてみることをぜひ検討してみてほしいのじゃ。その時に少しでも今回の情報がお役に立てば私もS氏も非常にうれしく思うぞ。」

S氏 「先生、今日は大変参考になりました。」

博士 「うむ。次回はプロフェッショナルコミュニティーについて、より深く考えてみる予定じゃ。」

S氏 「ところで前回もご紹介頂いた、富士通のHRMソリューションのホームページには、企業のビジネス現場のニーズに基づいたITプロフェッショナル人材の育成を計画的に実行するソリューションが紹介されていて、先生のお話についてもいろいろな事例や詳しい解説が載っているので、すごくためになりました。」

博士 「そうだな。目新しいところでは、人材開発に関する用語解説のコーナーや、人材育成の仕組み整備を支援するサービスメニューは是非活用してもらいたいものだ。」

S氏 「そうですね。このコーナーの下の<ご参考サイト>に、リンクを出しておきましたので、道場をご覧の皆様も、是非ご覧になって下さい。」


【ご参考サイト】


【注釈】

(注1)ITスキル標準
経済産業省が策定したITサービスの提供に必要とされる能力を明確化・体系化した指標。産学におけるITサービス・プロフェッショナルの教育訓練に有用な共通の枠組みとして活用できる。

(注2)HRDサイクル
Human Resource Developmentサイクル。人材開発のサイクル。人材開発をPLAN、DO、SEEのサイクルに基づいてまわしていく仕組み。
(注3)IT技術者人材育成支援サービス
HRMソリューションでPLAN-DO-SEEサイクルに沿って詳しく解説。
(注4)富士通においてはバリューチェーン・プロセス改革によってお客様に提供する価値観をより高める活動を行っている。