上司のすごいしかけ

白潟敏朗(著) 中経出版
社員をやる気にさせて、かつ、自分も尊敬される存在になれる「すごいしかけ」を紹介。
サマリー
【1】
「社員をやる気にさせるには、何が必要か?」これまで何千社という悩める社長や上司と話してきて「いい本はたくさんあるけど、実行するのはどれも難しいんだよね」という声をずいぶん聞いてきた。
そこで、編み出したのが、社員をやる気にさせ、社内を活性化し、さらには社長や上司自身も尊敬される存在になれる「すごいしかけ」だ。これは、実行するのも簡単なところが特徴だ。
だれだって「むずかしそうだなぁ」と思うものには手を出したくない。簡単に見えるものなら「ちょっとやってみるか」という気持ちになる。ただ、あんまり簡単すぎるものは効果がなさそうだ。
もし、簡単なのに抜群な効果が得られ、しかもその効果が継続するとなれば、やらない手はないだろう。ここで紹介するのは、それを可能にする魔法のようなしかけだ。
【2】
1つめは「みんなの前でパチパチ表彰」通称「みんパチ」だ。部門ごとや、社員全員が出席する朝礼や会議で、がんばった社員を発表してみんなで拍手をするのだ。
このしかけ、思った以上に効果がある。心が喜ぶ「心の報酬」だからだ。人のやる気はお金ではないのだ。
みんなの前に立たせてワッと拍手してあげる。それだけのことだが、だれもがもう大感激で、なかには泣き出す社員もいるくらいだ。仲間に認めてもらえる喜びは、かけがえのない喜びなのだ。
これには1円もかからない。すでにやっている会社も多いが、やっていない会社は、ぜひ「みんパチ」を今日から実行してみてほしい。
【3】
つぎは、名づけて「一石二鳥のお客さまの喜びの声」紹介だ。まずは営業マンに「既存のお客さまの喜びの声を集めてきてください」などと声をかける。
日ごろお客様と接点のある営業マンやサービス担当者がお客様を訪ねたときに「我が社の商品・サービスのどんなところが良かったですか?」と聞いてまわり、メモをとるのだ。
それで、喜びの声が集まったら、それを壁や掲示板に貼る。営業マンが手書きで書いた紙を、そのまま食堂や社員みんなが通る場所にペタペタ貼っておく。ポイントは、みんなが見える場所だ。
社員はそれを見たらうれしくなるはずだ。「うちの会社、商品、社員って、意外とお客様に喜ばれているんだ」ということがわかれば、誰もが喜びを感じるはずだ。
その結果、今までお客さまとの距離が遠かったのが、グッと近くなる。するとやる気が違ってくる。人間欲張りだから、また「喜び」がほしくなる。気がついたら、社員みんながお客さまのほうを向いていたということになるのだ。
ウチの会社では、毎月1回、全体会議で「みんなでパチパチ表彰」略して「みんパチ」と「お客さまの喜びの声」発表をあわせてやっている。効果てきめんだ。
たとえば「お客さまの喜びの声」に個人の名前が書いてあったら、その社員を前に出させて、上司が読み上げ、みんなでいっせいにパチパチーっとやる。社員たちはすごく喜んでくれる。
【4】
「朝礼で社員が一人ひとり、順番にみんなの前で話をしてもらう」というしかけだ。これもすでにやっている会社もあると思う。
ネタとしておすすめなのが、「私の思い」とか「私の自慢」「最近よかったと感じたこと」「うれしかったこと」などだ。このようなテーマで順番にしゃべってもらうと、思った以上にみんなの心にしみるものだ。
20人の部署なら、月に1回ぐらいまわってくる。今までの朝礼とは一味ちがってくるはずだ。人前でしゃべる練習にもなるから、プレゼン力もついてくる。
こんなちょっとしたしかけで「めんどうだし、意味ないなぁ」と思われている朝礼が活性化し、みんなが朝からワクワク感いっぱいになる。やらない理由はないはずだ。
コメント
本書は、社員や部下のモチベーションを高め、組織を活性化するためのしかけを「これでもか」と紹介した本だ。
上司に悩む部下は多いと思うが、同じように、上司も部下に悩んでいる。上司の立場を経験した人は少ないので、部下が上司の気持ちを理解できないのはわかる。
しかし、上司は部下の立場を経験しているわけで、部下の気持ちくらいわかってもよさそうなものだ。ところが、それができないのが組織の難しさだ。こうして上司も部下に悩む事になる。
そういった関係で「社員や部下のやる気を高める」という触れ込みの手法は、色々開発されてきた。しかし、導入にお金がかかったり、自分の権限では実行が難しいものが少なくなかった。
さらには「要は人格者になることだ」などと、キャラクター改造を要求するようなものまであった。「それができれば、誰も苦労しない」とツッコミの一つも入れたくなる。
その点、本書に紹介されているのは、予算や権限が無くても、超人や人格者でなくても、実行できるものばかりだ。たとえば、「やりたいことアンケート」や「みんなでパチパチ」など、その気になれば、明日からでも始められる。
ベースになっているのは、コーチングやPDCA、360度評価など、よく知られた手法ですが、重要なのは「知っているか」でなく「やっているか」だ。
本書は、そんな「知っているけれど、やれてない」ことを誰でもできる「しかけ」に落とし込み紹介する。
「社員や部下がやる気を出してくれない」「思い通りに動いてくれない」と悩む人はもちろん、この春、人事異動でマネジメントの立場についたばかりという人にも、是非一読をお薦めしたい。
記事提供:藤井 孝一/ビジネス選書&サマリー
