Fujitsu The Possibilities are Infinite

 

「NO」が「YES」に変わる最強セールスの法則

箱田 忠昭 (著) フォレスト出版

あらゆるセールスの体験をし、外資系の社長を経験してきた著者のセールス人生から得た経験に基づき、すぐに役立つ手法を具体的に解説する。


サマリー

人間には、誰にでも共通する行動パターンがある。例えば「嫌なヤツからは物を買わない」「最初は否定的に考える」などは、誰にでも共通する行動パターンと言える。

営業とは人間対人間のやり取りだ。だから、人間の行動パターンを知り、次にそのパターンに応じたセールス法を身につければ、売上げはどんどん上がるのだ。

ところが、営業マンの多くは懸命に努力しているにも関わらず、うまく売ることができない。それは努力の仕方が間違っているからだ。

例えば、彼らはトップ営業マンのセールストークを暗記したり、本で小手先のテクニックを学ぼうとしている。ひどい場合、商品の特徴を述べた後は、ひたすら「お願いします」を連呼すればいいと思っている。これでは売れるはずがない。


営業の世界では「値段でなく、品質を訴求せよ」と言われている。価格より、商品の良さをお客に訴えることで、価格競争を避けることが目的だ。

しかし商品さえよければ、それだけで物が売れるわけではない。そんな時代は終わった。だからといってセールストークに磨きをかけたり、商品知識を覚えたり、品質の良さを強調したりしてもダメだ。

その前にやらねばならないことがある。それは相手、お客のニーズを引き出すことだ。例えば、車の営業マンが車の燃費の良さを熱心に説明しても、お客のほうは、お金よりも安全性を重視しているかもしれない。

その場合、その営業マンの努力はムダになる。つまり営業では、まず相手のニーズをつかむことが肝心なのだ。そのためには、売り込む前に、質問をして情報収集をしておくことが大事なのだ。


商品がいくら良くても、その良さが伝わらなければ、相手は買ってくれない。反対に相手が納得さえすれば、無理に説得などしなくても、相手は自分のほうから財布を開いてくれるものだ。

納得してもらうためには、商品を売り込んではいけない。代わりに自分を売り込むことだ。自分を知ってもらい、自分に対して好意を持ってもらうことが重要なのだ。

営業活動では、営業マンという人がモノを言うのだ。反対に営業で営業マンが嫌われたら、それでオシマイというのが基本だ。

だから相手に好かれることを実践していくことだ。自分自身が相手に好かれれば、あとは無理に売り込みなどせずとも、自然に営業はうまくいくものなのだ。


営業では、何を売るかでなく、誰が売るかが大事なのだ。営業は属人的なモノなのだ。例えば、人は知らない人の話は信用しない。また知らない人とは取引しない。

同じ車でも、友人が薦めた物なら買おうと思うことが多い。ちょうど車が欲しい時なら、多少高くてもそれを買うはずだ。人は知り合いや、感じのいい人から買いたいと潜在的に思っているはずなのだ。

人間関係の法則に「チャルデニーの法則」というのがある。これは「人は好意を持っている人から頼まれると、それに積極的に応えよう」とするという法則だ。

これを裏返せば、「人は嫌なヤツに頼まれると買いたくなくなる」ということになる。信頼関係があり、好かれていれば売ろうとしなくても、物は売れていくものなのだ。


このように、セールスで大事なことは、まず相手に好かれることだ。これは、法人相手の商材でも同じことだ。商品を販売するのは企業かも知れない。だが営業の相手は企業ではない。一人の人間だ。

だから相手先が、名の知れた大企業であっても、心配することはない。担当者レベルで考えればいつでも交渉相手は人間だからだ。

パイヤー、会社幹部、技術部長、工場長、経理担当者、人事部長など、交渉相手の肩書きは様々だろう。でも交渉はすべて人間同士で行われるのだ。そのことを忘れてはならない。

コメント

本書はタイトルのとおり、営業の本だ。「人間には一定の行動パターンがある。そのパターンを把握して、それに応じた対応をすれば、売上げはおのずと上がる」というのが、著者のメッセージだ。

その中で「物を売る前に、自分を売れ」と言うくだりがある。私もサラリーマン時代は営業をしていたので、心当たりがある。

独立した今は、むしろ営業される側になった。事務所によく営業マンがやってくる。残念ながら、彼らのほとんどを、私は好きになれない。こちらの都合はお構いなしに、事務所にずかずか入ってきて、一方的に話を始め、さあサインをしろと言わんばかりだからだ。

おそらく彼らのマニュアルには、ドアの開け方や、話し方のノウハウは書いてあっても、人の話を聞いたり、人の気持ちを察する方法は書いてないのだろう。彼らこそ本書を読むべきだ。

本書には営業マンが相手に好かれるための方法の一つとして、まず自分をさらけ出すことをあげている。確かに、これは相手の心をつかみ、相手に好感を持たせる上で効果があると思う。

アメリカでは、営業マンが名刺やチラシに、自分だけでなく、自分の奥さんや子どもなど、家族の写真まで入れている。これは究極のさらけ出しと言えよう。

最初は、一体何のために?と思っていた。思えば、こうすることで、相手に自分に対する親近感や安心感をいだかせ、営業をしやすくしていたのだ。さすが営業先進国、営業マンのテクニックもうわ手だ。

最近は、日本でもオンラインショップの世界などで、この手のさらけ出しのテクニックを見かけることがある。あなたもオンラインショップのHPの中に店主や家族の写真、愛犬の写真などを掲載したことがあるだろう。これはサラけ出しをネットに応用したものだ。

さらにネットの世界には、ブロッグなるテクニックも登場した。これは店主の日記のことで、ウェブ・ログがその語源だ。店主が日記で私生活をさらけ出すことで、顧客の信頼を勝ち取り売りやすくする、そんなしたたかな作戦が見て取れる。

記事提供:藤井 孝一ビジネス選書&サマリー