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「裁量労働制に関するみなし労働時間制」とは?(前編)

就業形態の多様化に伴い、画一的な労働時間制度になじまないタイプの労働者が増えています。こうした労働者の業務に係わる労働時間については、通常の労働時間の算定は困難であると考えられることから、別に労働時間の算定方法を定めた制度を「みなし労働時間制」といいます。

みなし労働時間制はつぎの3つに大別できます。

  1. 事業場外労働に関するみなし労働時間制
  2. 専門業務型裁量労働に関するみなし労働時間制 -- 裁量労働制
  3. 企画業務型裁量労働に関するみなし労働時間制 -- 裁量労働制

厚生労働省では平成14年に、働いた時間ではなく仕事の成果で評価を決めるとする「裁量労働制」普及のための規制緩和を打ち出しています。

今回は、上記(2)、(3)の裁量労働制に関するみなし労働時間制についてご説明していきましょう。

専門業務型裁量労働制に関するみなし労働時間制

対象となる業務は?

業務の性質上その遂行の方法を大幅に労働者本人の裁量にゆだねる必要があるために、その業務の遂行手段や時間配分の決定等に関して具体的な指示をすることが困難であると認められた業務をいいます。

たとえば・・・

  1. 新商品・新技術の研究開発、人文科学、自然科学に関する研究の業務(プロジェクトチームを組んでチーフの管理下で開発業務を行う場合は含まれません)
  2. 情報処理システムの分析、設計の業務(プログラムの設計、作成を行うプログラマーは含まれません)
  3. 新聞、出版事業において記事の取材、編集の業務(社内報の編集者等/記者に同行するカメラマン、技術スタッフ/校正の業務などの業務は含まれません)
  4. デザイナー業務(衣服、室内装飾、工業製品、広告などです)
  5. プロデューサー、ディレクター業務(放送番組、映画等の製作にあたるものです)
  6. コピーライター業務
  7. システムコンサルタントの業務
  8. インテリアコーディネーターの業務
  9. ゲーム用ソフトウェア創作の業務(「創作」には映像制作、音響制作等も含まれます。具体的指示に基づく裁量権のないプログラミング等は含まれません)
  10. 証券アナリストの業務
  11. 金融工学ほか統計学、数学、経済学等の知識を用いて行う金融商品の開発を行う業務
  12. 公認会計士の業務
  13. 弁護士の業務
  14. 建築士の業務(一級、二級建築士、および木造建築士の業務。
    製図を行うなど補助的業務は含まれません)
  15. 不動産鑑定士の業務
  16. 弁理士の業務
  17. 税理士の業務
  18. 中小企業診断士の業務
    なお、平成16年1月1日の法改正により、
  19. 学校教育法に規定する大学における教授研究の業務(主として研究に従事するものに限られます)が新たに追加されました。

労働時間の算定は?

まず、労使協定の締結が要件とされています。
これは、業務の実態がよく分かっている労使間で協議して決めることが最も適当であるとの考え方からです。この労使協定で

  • 業務の遂行の手段および時間配分の決定などに関して具体的な指示をしないこと。
  • 労働時間についてあらかじめ定めること

を定めた場合、協定で定めた時間労働したものとみなされます。

制度導入のながれ

  • 就業規則で定める
  • 労使協定を締結する
    ↓↓↓↓↓
  • 管轄の労働基準監督署へ届け出をする

なお、専門業務型について定めた協定については、たとえ定めた時間が法定労働時間(1日8時間)以下である場合であっても届け出なければなりません。

労使協定に記載すべき内容は?

  1. 業務の種類および内容
    (注)適用対象者を決定し、具体的にどの業務に就かせるのかを特定します
    (注)特定した業務について、その遂行の手段や時間配分の決定などに関して労働者に具体的指示をしないこととします
  2. 1日の所定労働時間
  3. 協定で定める労働時間
    (注)1.で特定した業務に必要とされる時間を定めて、その労働時間の算定については協定で定めた時間就業したものとします。
  4. 協定の有効期間
    (注)これは、裁量労働に該当する業務を遂行するために必要とされる時間は、一般的に時間の経過とともに変化すると考えられるため、有効期間を設けて協定の内容を見直すことが適当とされているからです。
  5. 労働者の健康・福祉を確保するための措置
  6. 苦情の処理に関する措置
  7. 労働者ごとの上記5.、6.の記録をし、協定の有効期間およびその期間満了後3年間保存すること

<注>手続き不備のまま制度を導入した場合、実労働時間での残業代を請求されることが考えられます。

社会保険労務士 米田聡美
[2004年4月 掲載]


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