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巨額の年俸、大リーグの年俸制度って?

プロ野球の契約更改のニュースを耳にする毎に、一般的なサラリーマンでは考えられないような金額に驚かされます。

以前は一億円プレーヤーといえばトップスターの証!という印象が強くありましたが、いまや各球団に5、6人はいて当たり前の状況。どこからそんな金額が生まれてくるのか全く首をかしげるばかりですが、日本のプロ野球のみならず、大リーグにおける年俸のその額にもつい息をのんでしまいます。

一体大リーグの年俸制、その仕組みはどのようになっているのでしょうか?

大リーグ選手の年俸制の特徴はというと、次の3点が挙げられるようです。

  1. 複数年契約
  2. 基本年俸+出来高ボーナス
  3. 代理人による年俸契約交渉

1での特徴は、年俸契約がサラリーマンのように1年間の単年契約ではなく、主力選手のほとんどが球団と3年や4年間という複数年契約を結んでいることです。このきっかけとなったのは、1976年に誕生した FA(フリーエージェント)制度です。そしてこの年、金持ち球団といわれたニューヨーク・ヤンキースは早速、レジー・ジャクソン選手と総額290万ドルの5年契約を交わしています。また、4年後には同じくヤンキースがデーブ・ウィンフィールドと10年契約を交わしています。このとき契約した年俸は10年間の物価上昇に連動した形で決定するというもので、「物価上昇次第では年俸は10年間の総額で1,500万ドルから2,300万ドルになる」といわれていたそうです。

大リーグにおける複数年契約は、このような経緯からスタートしたというわけです。

2の「基本年俸」は、複数年契約の場合、

  1. 毎年同額
  2. 年々増額
  3. 数年間同額後、増額して数年間同額

などのタイプに分けられるようですが、主力選手は2や3のタイプで契約しているようです。また、「出来高ボーナス」は、インセンティブ・ボーナスと呼ばれていますが、あらかじめ成績やタイトルの目標を決めておいて、成績を達成したり、タイトルを獲得したりした場合に別途支払われるものです。

ところで、今年で4年目となった日本のプロ野球の契約更改における代理人交渉のあり方が、労使間の懸案事項として再びクローズアップされ、最近では巨人の上原投手のニュースが記憶に新しいところです。

上記3の代理人による年俸交渉ですが、大リーグでは1970年から球団との年俸契約交渉の場で、選手側の代理人が介在することが認められるようになりました。それ以来、代理人による交渉が広がり、今ではほとんどの選手が代理人に年俸契約交渉を依頼しているようです。

代理人は、選手の年俸の5%を報酬として受取ることになっていますが、平均年俸200万ドルを超えている現在の大リーグでは、代理人が受取る報酬の総額は、サラリーマンの年収をはるかに超えるほどの金額になっています。また、球団も球団側の代理人に依頼して年俸契約交渉を行っています。

一方、こうした年俸交渉がいつもトラブルなく行われるわけではありません。

大リーグでは、選手側と球団側の交渉が決裂した場合、第三者の調停委員に年俸の調停を委ねることができるという「年俸調停制度」があります。

この制度は、調停委員が選手側と球団側から意見を聴取した後にいずれかの主張の年俸を裁定することになっています。

さて、制度の特徴として大リーグにおける年俸制度は理解したものの、その巨額な年俸、それ自体はなぜここまで高騰し続けているのでしょうか?

その原因は、 FA制度や代理人制度などの影響もありますが、最大の原因は巨額なテレビ放映権収入が年俸の財源になったことといえるようです。

またさらに、90年代のアメリカ経済の好況も年俸高騰を加速させた要因のひとつといえます。金融やハイテクなどを中心とする民間企業の利益の増加はスポンサー契約収入という形で球団の財源を大きくさせました。

ここ数年では、企業が球団に莫大な費用を払って自社の社名を野球場に付ける傾向があり、また野球場に企業の広告が増えてきていることなど、これらの現象が選手の年俸の財源を確保するための球団側の戦略といえるようです。

前述してきたように、大リーグ選手の年俸制度はサラリーマンにとっては異常に感じられ、全く別世界の出来事のようです。

しかしながら、「成果主義」「目標管理制度」の延長線上のゴールに「年俸制度」を位置付けている企業が少なくない昨今、この制度が導き出す結果のイメージには共通のものがあるのかもしれません。

ただそのためには、期待する年俸制度の裏に隠れている問題とその運用上の難しさに気付くことがまず必要です。

大リーグの年俸制度において、なにか参考になるものがあるのではないかとすれば、複数年契約による年俸制度でしょうか。

とくに専門職や数年間かかる業績目標を担う管理職、研究開発職などを対象に、長期的視野において複数年契約の年俸の導入を検討する方法も一つあるかもしれません。

社会保険労務士 米田聡美
[2004年1月 掲載]


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