職能給・職務給のメリット、デメリット(1)
賃金制度の中でも「職能給制度」は、よく知られている制度のひとつです。
しかし最近では、「年功的な運用になりがちだから・・・」というイメージから、あるいは、仕事や処遇に対する従業員の意識改革も含めて、職能給制度を基本とする賃金制度が多くの企業で見直されはじめています。
では、実際にその賃金制度の見直しにあたっては
- 多くの企業がそうしているように「能力」ではなく、仕事や役割に応じた賃金、達成した成果に応じた賃金を考えた場合、職務給の導入を考えた方がいいのでは?
- でも、そもそも職務給とはどのような賃金なの?
- 職能給と比較したとき、その違いは一体どのような点なの?
といった疑問を抱く方が多いのではないでしょうか。
しかし、ここでまず大切なことは、これまで長い間に採用してきた職能給制度をはじめとした賃金制度、その本来のあり方を十分に理解することです。その上で各企業の抱えている運用上の問題点をどう改善できるのかという工夫がうまれてくるのです。
今回は、それぞれの制度のメリット・デメリットについて考えてみたいと思います。
職能給は、従業員個々の熟練度・キャリアで「人の能力」を評価し、賃金を決めようとするもので広い意味での属人給の1つです。
一方職務給は、従業員一人ひとりが担当する「仕事の価値」を、そのポジションの重要度や仕事の難易度、ボリュームの大きさなどの面から点数で評価し、あるいは等級に分類序列化して、その仕事の市場価値をリサーチして賃金を決めるものです。(図 参照)
職務給をごく簡単に説明してみますと、つぎのような仕組みになります。

また、職務給の最も単純な賃金表はつぎのようなシングルレートになります。金額の部分には、それぞれの仕事の市場価値を調べて金額を書き込めばいいのです。
仕事1・・・・・○円
仕事2・・・・・○円
仕事3・・・・・○円
: :
ただ、どんな仕事でも初めからベテランである人は当然いませんし、誰でも経験を積めば多少は仕事に習熟していくと考えられます。
そこで、ビギナーはやや低めに抑え、仕事に慣れてきたら少し昇給できるように賃金表に上下幅(レンジ)を持たせ、励みを持たせるように工夫します(範囲職務給)。
この場合、市場価値の標準額を金額レンジの中央値に設定します。
仕事1・・・・・○円~○円
仕事2・・・・・○円~○円
仕事3・・・・・○円~○円
: :
中小企業の場合ですと、これだけでも十分運用が可能とも考えられますが、企業規模が大きくなってくると、職種ごとに賃金を決めるのは面倒ですから、同じようなレベルの仕事を「職務等級」にくくり、ひとまとめに市場価値をリサーチして賃金レンジを当てはめていくという運用になります。
職務給の長所は、仕事と賃金との関係が1対1で対応(同一価値労働・同一賃金)し、ある程度客観的に賃金が決まることにあるといえます。
社会保険労務士 米田聡美
[2003年12月 掲載]
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