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退職所得か給与所得かの判断について
Q
当社は、従業員側の要請により退職金規定を以下のように改正しました。
「従業員の定年は満60歳とする。又は、勤続満10年に達した者。ただし、定年に達した者でも業務上の必要がある場合、会社は本人の能力、成績及び健康状態などを勘案して選考の上、新たに採用することがある。」としました。
従業員は、将来会社の経営が行き詰まり退職金が支払われないことも考えられるため、これを望み、会社側も勤続満10年定年制を実施すれば高齢者に対する多額の給与負担を免れることになり、その実施が望ましいと判断しました。
上記退職金規定により勤続満10年に達した者15名に対し退職金を支給し、それを退職所得として源泉徴収納付に係る所得税を納付しました。退職金の支給を受けた者は引き続き勤務し、これらの者の役職、給与、有給休暇の日数の算定等には変化がなく、社会保険の切り替えもされませんでした。
この場合退職所得としての取扱いが認められるでしょうか、また、認められない場合はどのように取り扱われるでしょうか?
A
退職所得として認められません。
退職手当等とは、本来退職しなかったとしたならば支払われなかったもので、退職したことに基因して一時に支払われることとなった給与をいいます。したがって、退職に際し又は退職後に使用者等から支払わる給与で、その支払金額の計算基準等からみて、他の引き続き勤務している者に支払われる賞与等と同性質であるものは、退職手当等に該当しません。
退職所得について所得税の課税上他の給与所得等と異なる優遇措置が講ぜられている理由は、退職者が長期の特定の事業において勤務してきたことに対する報償及び勤務期間中の勤労に対する対価の一部分の累積たる性質を持つとともに、その機能において、受給者の退職後の生活を保障し、多くの場合いわゆる老後の糧となるものであって、一般の給与所得と同様に一律に累進税率による課税の対象とし、一時に高額の所得税を課すこととすると、公正を欠きかつ社会政策的にも妥当ではない結果を生ずることになるからです。
このような趣旨に鑑み、退職所得に該当するかどうかは、退職すなわち勤務関係の終了という事実によってはじめて支給されること、従来の継続的役務に対する報償ないしその間の労務の対価の一部後払いの性質を有すること、一時金として支払われることの要件を満たすことが必要です。
本問の場合は、勤務関係の終了という要件を欠くことは明らかであり、退職所得ではなく給与所得として取り扱う必要があります。
税理士 藤田博司
[2009年8月31日 掲載]
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