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実質所得者課税の原則について(所得税法12条)
Q
私は都内で歯科医院を経営している歯科医師です。息子が歯科医師国家試験に合格した後、私名義の個人事業の開業届出書を税務署に提出するとともに去年から親子で同じ歯科医院で診療に従事しています。
私と息子の診療方法は全く異なっており、それぞれが患者を独自に診療したため、患者の区分に基づいて収益は明確に区分できる状況にありましたが、按分割合は明確に定められていませんでした。また、経費については私と息子の経費が混在している状況でありました。
なお、私たちは同居していており、それぞれ妻があり1階と2階に住み分けていますが、家事はそれぞれの妻が相互に助けあっています。また、息子の開業にあたって、必要となった医療器具等の売買契約は私名義で行われ、その資金も私名義で借り入れられています。
この場合、私と息子はそれぞれ別々に所得税の申告ができるでしょうか。
A
貴殿と息子さんが別々に所得税の申告を行うことはできません。
なぜなら、親子が相互に協力して1個の事業を営んでいる場合における所得の帰属者が誰であるかは、その収入が誰の勤労によるものであるかではなく、その事業の経営主体であるものに帰属すると解すべきだからです。
これは、実質所得者課税の原則につき、事業から収入を享受する者が誰であるかは、その事業を経営していると認められている者(以下「事業主」という。)が誰であるかにより判定するものとするということです。
すなわち、生計を一にしている親族間における事業の事業主が誰であるかの判定をする場合には、その事業の経営方針の決定につき支配的影響力を有すると認められる者が当該事業の事業主に該当するものと推定します。
ですので、貴殿と息子さんは同一建物の1階と2階に住み分けていますが、全く別個の世帯とは認められないこと、両者の間で所得の按分割合が明確に定められていなかったこと、医療器具の購入等の借入金は貴殿によってなされていること等から、医院の経営に支配的影響力を有しているのは貴殿であると考えるのが相当といえます。
また、従来父親が単独で経営していた事業にその子が加わった場合には、父親が経営主体で子はその支配下のもとに入ったと解するのが相当といえます。
したがって、貴殿と息子さんの診療方法及び患者が別々で、いずれの診療のよる収入か区別することが可能であるとしても、貴殿が医院の経営主体でありますので、その収入は貴殿に帰属すると考えるのが妥当であるといえます。
税理士 藤田博司
[2009年8月14日 掲載]
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