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標準原価計算について

Q

当社は自動車部品のメーカーですが、原価計算の方法として標準原価計算を採用しております。確定決算の数値として標準原価計算の結果をそのまま使用できますか。

A

法人が製造等をした棚卸資産の取得価額は、その棚卸資産の製造等のために要した原材料費、労務費及び経費の額等とされており、実際原価によって計算することが法人税法上定められています。ところで原価計算については、一般に計算の便宜性や原価管理の観点から、標準原価や予定原価といった見積原価に基づいて計算する場合があります。この見積原価に基づいて計算した場合、通常は当該見積原価と実際原価との間に原価差額が発生します。差額が発生する具体的な内訳としては、材料費差額、労務費差額、経費差額等の他、内部振替差額も含まれます。

この差額が発生するケースとしては二通りあり、法人の計算した原価が実際原価の額に満たない場合と実際原価を超える場合があります。前者が借方原価差額(原価差損)、後者が貸方原価差額(原価差益)ですが、どちらの場合でもその原価の額が適正な原価計算に基づいて算定されている場合には、その算定された金額をもって、棚卸資産の取得価額とみなします。なお、法人税法上、単に原価差額といった場合は原価差損を指します。

まず借方原価差額が発生した場合ですが、適正な原価計算であるか否かを次のように判定します。発生した原価差額の金額が、事業の種類ごと又は製品の種類ごとにその総製造費用のおおむね1%以内であれば、法人の行っている原価計算は税務上適正な原価計算とみなされます。したがってこの場合は原価差額の調整を行わないことが認められます。逆に言えば、原価差額が総製造費用の金額の1%を超えている場合には、税務上は適正な原価計算とみなされないため原価差額の調整が必要になります。

つまり貴社のように標準原価計算によって原価を算定している場合でも、上記の判定次第で原価差額の調整をすることなく、その算定した原価の額をそのまま確定決算の金額として使用することができます。この場合、原価差額の計算の内容を記録した明細書を確定申告書に添付する必要があります。

上記のとおり、原価差額の金額が1%を超える場合には調整を行う必要があります。その調整方法としては、仕掛品から半製品へ、半製品から製品へと段階的に計算を行うべきですが、次の式により原価差額を一括して期末棚卸資産に配賦する簡便的な調整方法も認められています。

次に貸方原価差額ですが、適正な原価計算の基準に基づいて計算した結果発生した金額については調整する必要はありません。貸方原価差額が発生していると、実際の取得価額を超えて期末棚卸資産を評価することになるわけですが、その調整を確定決算においてするかどうかは法人の自由とされています。ただし調整をする場合は確定決算において実施しなければならず、申告調整によって対応することはできませんので注意が必要です。

公認会計士 藤田 博司
[2007年10月11日 掲載]


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