ストックオプション税制について
Q
当社は4~5年後を目標に株式公開を目指しています。
従業員や取締役に対して、インセンティブとして新株予約権を与えようと思いますが、ストックオプションと言うと、給与所得になるか一時所得になるかで争われたことがある程度の知識しか持ち合わせておりません。
この場合、新株予約権を受け取った側の課税関係は、どのようになるのでしょうか?
A
会社が新株予約権を与えるメリットは、従業員や取締役に対して新株予約権を与えることにより、株式公開に向かって高いモチベーションで仕事をさせることが出来るという点です。社員に夢を与えるということはとても大切なことだと思います。
さて、ストックオプション課税は2つの道に分かれます。
ある一定の要件(※)を満たすと優遇税制が受けられる税制適格ストックオプション(以下「税制適格」と略します)と給与所得か、一時所得で争われた原則の税制(以下「原則」と略します)です。
ストックオプションの課税は、新株予約権の権利行使を行い、新株を取得した時と、その新株を売却した時に起こります。
流れとしては、次の通りです。
- 新株予約権を有利な条件でもらいます。
時価より有利な条件で取得したとしても課税関係は起こりません。 - 株式公開をして株価が上がります。
- 新株予約権の権利行使を行って時価より安い値段で新株を取得します。
税制適格・・・課税関係はありません。
原則・・・・・新株の時価と取得した価額との差額について利益を得たとされて課税されます。株を売却して現預金が増えた訳ではないのに、税金だけ取られてしまいます。
所得税の区分は、権利行使を行って新株を購入した人の立場で変わります。その人が取締役や使用人であれば給与所得になりますし、税理士や経営コンサルタントなどの社外ブレーンであれば事業所得か雑所得になります。退職した人や事業に関連のない者であれば雑所得になります。
給与所得であれば、給与所得控除額が使えるので、事業所得や雑所得で課税されるより有利となります。 - 新株を売却します。
税制適格・・・売却価額から新株を取得した価額の差額が譲渡所得として課税されます。
原則・・・・売却価額から、権利行使時の時価との差額が譲渡所得として課税されます。
税制適格と原則との違いは、税制適格は株を売却した時点で課税をされるので、手元に資金がなくても大丈夫です。また、今の税制は上場株式の譲渡益に対する課税を分離課税にして他の所得とは合算せずに単独で課税をして、その税率を10%(所得税7%と地方税3%)と優遇しています。
原則の場合の給与所得や事業所得は、他にも所得があった場合には、その所得と合算して税金を計算します。超過累進税率によって所得が高い人程、税率が高くなり税金を沢山支払う仕組みになっています。
受け取る側の税負担から考えますと、売却した時点で課税される税制適格の採用を優先した方が良いでしょう。
《用語の意義》
税制適格要件とは、下記の要件を満たすことを新株予約権の契約書で定められているものに限られます。
- 権利行使期間
新株予約権の権利行使は、権利付与決議の日後2年を経過した日から10年を経過する日までの間に行わなければならないこと - 年間の権利行使価額の限度額
年間の権利行使価額の合計額が1,200万円を超えないこと - 1株当たりの権利行使価額
1株当たりの権利行使価額は、新株予約権に係る契約を締結した株式会社の株式の当該契約の締結の時における1株当たりの価額に相当する金額以上であること - 譲渡の禁止
当該新株予約権については譲渡をしてはならないこととされていること - 商法の手続きに反しないで行われたものであること
新株予約権の行使にかかる新株の発行又は株式の移転が、商法第280条の21第1項(有利発行の決議)に定める事項に反しないで行われるものであること - 権利行使により取得した株式の証券会社等への管理等信託
発行会社と証券業者又は金融機関との間で一定の管理等信託契約を締結し、当該契約に従い、一定の保管の委託又は管理等信託がされること
税理士 岡田 桜
[2005年5月12日 掲載]
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