第9回 解雇事由について
労働契約の締結時にも退職に関する事項の明示が必要です
労使間のトラブルになりがちなもののひとつが「解雇」をめぐる問題です。
多くの場合、“入社後どのような場合に解雇になるのか”解雇の対象となる事由をあらかじめ契約の段階で労働者に対して書面で明示しておくことによって、解雇に関する「言った」「言わない」のトラブルを回避することができるはずです。
そこで、今回の法改正では、労働契約の締結の際に、事業主が労働者に対して書面の交付によって明示すべき労働条件としている「退職に関する事項」の中に、「解雇の事由」も含まれていることを法律上明らかにしています。
明示すべき解雇の事由
退職の事由、手続き等を『労働条件通知書』等に具体的に記載してください。
<記載例>例えば・・・

労働契約は初めが肝心
法改正により、事業主は労働契約の締結の際に、退職に関する事項(解雇の事由を含む)を明示しなければならなくなりましたが、退職・解雇に関する事項のほか、契約期間、労働時間、賃金など労働条件を明示し、きちんと説明しておくことも極めて重要です。
ここがポイント
『労働条件通知書』の内容をチェックしましょう!
【ポイント1】労働契約期間
契約期間は労働基準法に定める範囲内で!
今回の法改正により有期労働契約の契約期間の上限が原則1年から3年に延長となりましたが、それを超えない期間としなければなりません。
【ポイント2】就業の場所、従事すべき業務の内容
雇入れ直後のものを記載すれば足ります。
もちろん、将来の就業場所や従事させる業務を、あわせて網羅的に明示することは差し支えありません。
【ポイント3】始業・終業の時刻、休憩時間、就業時転換、所定時間外労働の有無
当該労働者に適用される具体的な条件を明示してください。
ここに注意
労働時間の条件として、「変形労働時間制」、「フレックスタイム制」、「裁量労働制」等の適用がある場合は、それぞれ以下の点に留意してください。
- 変形労働時間制
“1年単位”の変形労働時間制か“1ヶ月単位”のものなのか、運用する変形労働時間制の種類を記載する必要があります。 - 交代制
シフト毎の始業・終業の時刻を記載する必要があります。
フレックスタイム制
コアタイムやフレキシブルタイムがある場合は、その時間帯の開始、終了の時刻を記載する必要があります。- 事業場外みなし労働時間制
所定の始業・終業の時刻を記載する必要があります。 - 裁量労働制
基本とする始業・就業時刻がある場合は、その時刻を記載する必要があります。
【ポイント4】休日
所定休日について曜日または日を特定して記載する必要があります。
例えば・・・
定例日であれば、毎週○曜日、国民の祝日 など
非定例日であれば、週・月当たり○日 など
【ポイント5】休暇
法定の年次有給休暇の他に休暇制度がある場合、その種類と日数・期間とその間有給とするのか無給とするのかを記載してください。
【ポイント6】賃金
基本給や時間給、出来高給など具体的な額を明記してください。
ただし、賃金等級等によって賃金額を確定し、そのことが就業規則上で規定されている場合は、等級を明示することで足ります。
ここに注意
制度としてつぎの事項を設けている場合には明記することが望ましいです。
- 労使協定に基づく賃金支払時の控除(生命保険料や社宅料など)
- 昇給
- 賞与
- 退職金
【ポイント7】その他
制度としてつぎの事項を設けている場合には、明記することが望ましいです。
- 社会保険の加入状況および雇用保険の適用の有無
- 労働者に負担させるべきものに関すること
- 安全および衛生に関すること
- 職業訓練に関すること
- 災害補償および業務外の傷病扶助に関すること
- 表彰や制裁に関すること
- 休職に関する事項
など
ここがポイント
明示すべき事項の内容が【ポイント7】のように膨大なものとなってしまう場合も考えられます。
このような場合は、利便性を考慮してその労働者に適用される就業規則上の関係条項名を網羅的に示すことで足りるとされていますので、就業規則を交付する場合は具体的に記入する必要はありません。
社会保険労務士 米田聡美
[2005年12月8日 掲載]
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