第6回 ここが改正労基法最大のポイント!
解雇に関する規定が整備されました
解雇について
『解雇は自由に行えるもの』
『何らかの理由さえあれば常に解雇することができる』
と考えている事業主さんはいませんか?
また一方で、『労働者を一度雇うと、解雇することは現実的に難しいのでは?』
と考える方も多いのではないでしょうか。
実は、こうした「解雇」に対する認識の違いから、解雇に関するトラブルが多くなっているのが実情です。
そこで、今回の法改正では、解雇に関する規定を総合的に整備することによって、解雇をめぐるトラブルの防止・解決につながるものと期待され、実施されているのです。
解雇のルールが明文化されました
今回の改正では、解雇は「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして無効とする」として、解雇に関する一般的なルールが法律に明記されることになりました。
| 改正前 | 改正後 | |
|---|---|---|
| 各法律で規定されている解雇制限事由のほかは、解雇の効力について一般的な原則を示す規定がありませんでした。 | 解雇に関する一般的な原則が法律で規定され、明確になりました。 | |
| 最高裁判例として確立している「解雇権濫用法理」によって実務上運用されていました。 | 裁判実務で確立されていた判例法理を明文化し、「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして無効とする」とされました。 |
解雇権の濫用って?
「解雇権濫用法理」とは、昭和50年の最高裁判決において示されたもので、「使用者の解雇権の行使も、それが客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当として是認することができない場合には、権利の濫用として無効になる」とするものです。
この判決によって解雇権の濫用法理は確立され、その後の判例においても踏襲されていました。
ここに注意

解雇のルールと立証責任
解雇の効力について裁判上で争われる場合、その解雇について、誰がどのような事実を主張・立証する責任を負うのか、という点が問題になります。
この立証責任については、使用者側に主張立証責任の分配を重く負担させているのが実情です。この点については、法改正による解雇ルールの下でも、「使用者側に主張立証責任を負わせている現在の裁判上の実務を変更するものではない」とされていますので、従来どおり取り扱われるとみられます。
【参考】整理解雇をするときの4つの要件
- 解雇の必要性
人員整理をしなければならないほど、経営上やむを得ない事情があること。 - 解雇を回避するための努力
労働者の配置転換や出向、希望退職者の募集など、企業努力を尽くしてもなお人員整理以外に方法がないこと - 被解雇者の人選の妥当性
被解雇者の選定にあたって、企業の再建、維持のために貢献することが望めないもの、解雇しても生活への支障が少ないと思われるものなどを対象としているなど、選定の合理性が認められ、かつその適用が公正になされていること。 - 解雇手続の妥当性
整理解雇は、専ら会社の事情のために労働者の生活に重大な影響を及ぼすものです。
そのため、労働組合がある場合には組合に、ない場合には労働者側に整理解雇の実施について事前に十分説明して、理解と協力を求めるなど誠意ある対応をしていること。
社会保険労務士 米田聡美
[2005年9月21日 掲載]
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