第3回 有期労働契約についての基準が定められました
有期労働契約の問題点
実際の有期労働契約では、何度も契約の更新を繰り返して一定の長い期間雇用を継続しているケースが多く見られます。厚生労働省の調査によると、有期契約労働者の通算勤務年数は平均で4.6年、契約の更新回数の平均は6.1回となっています。
このように、反復更新されている実態があるにもかかわらず、突然契約更新をせずに契約期間の満了をもって退職させるなど、契約の締結時や期間の満了時におけるトラブルが大きな問題となっているのです。
契約の締結、更新、雇止めの基準
これまでは、有期労働契約の締結および更新・雇止めに関する指針が通達されていましたが、有期労働契約の締結、更新および雇止めに関する基準についての根拠規定が新設されました。
1. 契約締結時の明示事項
≪ルール その1≫
有期労働契約を締結する労働者に対して、契約の期間満了後における「更新の有無」を明示しなければなりません。
- 例えば・・・
- 『自動的に更新する』
- 『更新する場合があり得る』
- 『契約の更新はしない』
- などです。
≪ルール その2≫
契約締結時に、その契約を更新する場合がある旨を明示したときは、労働者に対して、その契約を更新する場合またはしない場合の「判断の基準」を明示しなければなりません。
- 例えば・・・
- 『契約期間満了時の業務量により判断する』
- 『勤務成績、勤務態度により判断する』
- 『労働者の能力により判断する』
- 『会社の経営状況により判断する』
- 『従事している業務の進捗状況により判断する』
- などです。
ここに注意
ルール1、2いずれも労働者本人が契約期間満了後の自らの雇用継続の可能性についてある程度予見することができるものであることが必要とされていますので、書面を交付することによって明示することが望ましいでしょう。
2. 雇止めの予告
≪ルール その3≫
有期労働契約を更新しないこととしようとするときは、少なくともその契約期間の満了する日の30日前までに予告しなければなりません。
ここがポイント
雇入れ後1年を超えて継続勤務している場合に限って、あらかじめ次の契約を更新しない旨が明示されている場合は、この雇止めの予告の対象にはなりません。
ここがポイント
30日未満の契約期間の有期労働契約を繰り返し更新している場合の対応は?
⇒この場合、30日前までに予告をすることができません。
ですから、最後の更新後直ちにその契約期間の満了をもって労働契約を終了することを予告しなければならないことになります。
3. 雇止めの理由の明示
≪ルール その4≫
雇止めの予告をした場合や、有期労働契約を更新しなかった場合、その対象労働者が「更新しないこととする理由、更新しなかった理由についての証明書」を請求したときは、速やかに交付しなければなりません。
ここに注意
更新しない理由は、「契約期間が満了した」という理由とは別に明示しなければなりません。ここで明示しなければならないのは、「更新をしないのはなぜか」ということです。
- 例えば・・・
- 『前回の契約更新時に本契約を更新しないことが合意されていたため』
- 『契約締結当初から更新回数の上限を設けており、本契約はその上限に該当するため』
- 『担当している業務が終了・中止したため』
- 『事業縮小のため』
- 『業務を遂行する能力が十分でないと認められるため』
- 『職務命令に対する違反行為を行ったこと、無断欠勤をしたことなど勤務態度不良のため』
- などです。
ここがポイント
雇入れ後1年を超えて継続勤務している場合に限って、あらかじめ次の契約を更新しない旨明示されている場合は、証明書の交付は必要ありません。
4. 契約期間についての配慮
≪ルール その5≫
有期労働契約を更新しようとする場合は、その契約の実態や労働者の希望に応じて契約期間をできる限り長くするように努めなければなりません。
【労働契約の実態とは?】
例えば、業務の都合上必然的に労働契約の期間が一定の期間に限定されるため、それ以上の長期の期間では契約を締結できないような事情、とされています。
このような理由の場合、有期労働契約の反復更新を繰り返した後たとえ雇止めをしても、裁判においてはその雇止めの行為が有効をみなされる可能性があります。
しかしながら、こうした実態であっても、あわせて労働者の希望なども考慮して契約期間をできるだけ長くするように努めなければならないとしています。
ここがポイント
このルールの対象となるのは、その契約を1回以上更新し、かつ、雇入れの日から起算して1年を超えて継続勤務している場合に限られています。
社会保険労務士 米田聡美
[2005年7月14日 掲載]
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