第2回 有期労働契約の上限が変わりました
改正のポイント
これまで労働基準法では、長期の労働契約が人身拘束となる弊害を排除するために、契約期間の上限を原則として1年と定めていました。
しかしそうは言っても、期間の定めのある労働契約(以下、有期労働契約)の多くが契約の更新を繰り返すことによって一定期間引き続き雇用されているのが現状です。
そこで、こうした状況を踏まえ、有期労働契約が労使双方で良好な雇用形態の一つとして活用されるように、契約期間の上限が1年から3年に延長されました。
また、高度の専門的知識を有する労働者や60歳以上の労働者については、特例としてその期間の上限を5年としています。
| 改正前 | 改正後 | |||
|---|---|---|---|---|
| 原則 | 1年 → 更新後も1年以内 | 原則 | 3年 → 更新後も3年以内 | |
| 特例 | 3年 → 更新後は1年以内 | 特例 | 5年 → 更新後も5年以内 | |
| (1)高度の専門的知識等を有する者 (2)満60歳以上の者 |
(1)高度の専門的知識等を有する者 (2)満60歳以上の者 |
|||
ここに注意
有期労働契約を、期間の定めのない労働契約(正社員など)の代替として利用することは、今回の改正の趣旨に反するため許されません。
契約期間上限の特例 (1)
これまで、知識等の専門性や業務の有期性、経験等によって、意に反する長期の拘束が行われるおそれが少ないと思われる労働者に限定して、通常よりも長い3年の契約期間の上限が認められていました。
しかしながら、現実的には労働者が意に反する契約を強いられるような弊害はほとんど見られませんし、むしろ高度の専門的知識等を有する労働者は、3年経過後1年契約への切り替えとなりますが、3年を超えて雇用を継続しているケースが多いなどの状況から、「専門的知識を有する労働者」の要件が緩和されました。
| 改正前 | 改正後 | |
|---|---|---|
| (1)新商品、新役務もしくは新技術の開発または科学に関する研究に必要な高度の専門的知識等を有する労働者 | (1)厚生労働大臣が定める高度の専門的知識等を有する労働者 | |
| (2)事業の開始、転換、拡大、縮小または廃止のための業務で一定の期間内に完了することが予定されているものに必要な高度の専門的知識等を有する労働者 | ||
| (注)(1)、(2)は当該高度の専門的知識等を有する労働者が不足している事業場において、当該高度の専門的知識等を必要とする業務に新たに就く者であることが必要 | ||
| (3)満60歳以上の労働者 | (2)満60歳以上の労働者 |
『高度の専門的知識等を有する者』って?
厚生労働大臣が定める基準に該当しなければならず、具体的には次のいずれかに該当する者です。
- (1)博士の学位を有する者
- (2)次の国家資格を有する者
- 公認会計士
- 医師
- 歯科医師
- 獣医師
- 弁護士
- 一級建築士
- 税理士
- 薬剤師
- 社会保険労務士
- 不動産鑑定士
- 技術師
- 弁理士
- (3)次のいずれかの能力評価試験の合格者
- システムアナリスト試験
- アクチュアリーに関する資格試験
(注)保険料率の算定や配当水準の決定、保険商品の開発及び企業年金の設計等を行うもの。
- (4)次のいずれかに該当する者
- 特許法上の特許発明の発明者
- 意匠法上の登録意匠の創作者
- 種苗法上の登録品種の育成者
ここに注意
単に上記資格を有しているだけではなく、当該資格に係る業務を行うことが労働契約上認められていることが必要です。
- (5)次のいずれかに該当する者で、一定の学歴および実務経験を有し、かつ、年収が1,075万円以上の者
- (6)国等により、その有する知識、技術、経験が優れたものであると認定されている者
契約期間上限の特例 (2)
有期労働契約の契約期間の上限が5年まで認められる特例の2つ目は満60歳以上の労働者です。
60歳定年後の労働者においては、雇用の機会が少なかったり、短期の雇用にとどまることが多いのが現状です。そこで、できるだけ長期の有期労働契約が労働者にとっても有利であると考えられるため、雇用の確保とその安定を図る見地から、上限5年の労働契約が認められることになりました。
ここに注意
満60歳以上の労働者との労働契約は、契約締結時に満60歳以上である労働者との間に締結されることが必要です。
社会保険労務士 米田聡美
[2005年6月20日 掲載]
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