第1回 しっかり見直そう!労働基準法、改正のポイント
早いもので平成16年1月1日より改正労働基準法が施行されてから、1年半になろうとしています。今回の法改正では、多様な雇用形態や働き方に応じることのできるよう、労働契約や労働時間に関する制度についての見直しが行われています。
そこで、ここでもう一度、労使間の紛争防止や解決のためにもしっかり改正ルールのポイントをおさえ、社内における制度の整備、運用の見直しをされてはいかがでしょうか。
法改正の背景とポイント
【 改正の背景 】
今日、我が国の経済社会においては、新聞、TV等で報道されている様に、少子高齢化が進み労働力人口が減少する一方、経済の国際化、情報化等の進展による産業構造や企業活動の変化、労働市場の変化等、産業・雇用構造の変化が進んでいます。
こうした中で、経済社会の活力を維持・向上していくためには、産業構造・企業活動の変化や労働者の就業意識の変化に対応しつつ、個人がもてる力を有効に発揮できる社会を構築していくことが必要となっています。
今回の労働基準法の改正は、その様な社会の実現を目指すため、次の2点を目的としています。そして、会社が対応すべき整備、運用に際しては、労使によるチェック機能が十分に活かされるようにすることが何より大切なのではないでしょうか。
労働者の能力や個性を活かすことができる多様な雇用形態や働き方が選択肢として準備され、労働者ひとりひとりが主体的に多様な働き方を選択できる可能性を拡大すること。- 働き方に応じた適正な労働条件が確保され、紛争解決にも資するよう労働契約など働き方に係るルールを整備すること。
こうした観点から、労働契約や労働時間など働き方に係る制度等について見直しを行うため、改正労働基準法が平成16年1月1日から施行されました。
【改正のポイント】
改正労働基準法の内容は大きく分けて次の3つの柱から成り立っています。
- 有期労働契約に関する改正
- 解雇に関する改正
- 裁量労働制に関する改正
(注)3. の裁量労働制は、裁量労働制を導入している事業所のみに係ることですが、1. 2. については全ての事業所に係わってくる重要な改正事項です。
この3つの柱、そのポイントを簡単に解説すると
(1)有期労働契約に関する改正
- 契約期間の上限が次の通り延長されました。
原則 上限1年⇒上限3年に延長 例外 上限3年⇒上限5年に延長
(注)高度の専門的知識等を有する労働者や満60歳以上の労働者 - 「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準」を告示で定めることとされました。
(2)解雇に関する改正
判例において確立している解雇権濫用法理である「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したもののとして、無効とする」ことが明記されました。- 解雇の予告を受けた労働者が解雇の理由について証明書を請求することができることとなりました。
- 就業規則に「退職に関する事項」として「解雇の事由」を記載する必要があることが法律上明確にされました。
- 労働契約の締結の際に使用者は「解雇の事由」を書面にて労働者に明示しなければならないことが明確にされました。
(3)裁量労働制に関する改正
- 専門業務型裁量労働制の要件について、労使協定により健康・福祉確保措置等の導入を必要とすることとされました。
- 企画業務型裁量労働制の要件が次の通り緩和されることとなりました。
- 1. 対象事業場を本社等に限定しないこととする。
- 2. 労使委員会の決議要件を緩和する。(全員合意⇒5分の4以上の賛成)
- 3. 労働者代表委員の信任手続きを廃止する。
- 4. 労使委員会の設置届を廃止する。
- 5. 定期報告を簡素化し、報告事項を健康・福祉確保措置等に限定する。
以上が今回の改正ポイントですが、次回より上記の改正事項について、それぞれ解説していきたいと思います。
社会保険労務士 米田聡美
[2005年5月30日 掲載]
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