仕事上の口論が暴行に発展、労災認定されるか
Q
私の二人の部下が仕事の進め方について口論し、これが高じて一方が暴行に及び、被害者は全治2週間の傷害を負いました。
加害者を厳重に処罰するとともに、被害者に対する治療費を負担するように命じましたが、職場で起きた事件ですので労災保険からは給付を受けられないものでしょうか。
A
労災保険において業務上の傷病と認定されるには「業務遂行性」と「業務起因性」の二つの要件を満たす必要があります。ご質問の場合、事件は勤務時間中に発生しましたので業務逸脱がない限り業務遂行性があると認められます。
さて、問題は業務起因性があるか否かということなります。業務起因性とは業務と傷病との間の因果関係をいいます。職場では会社の方針や仕事の進め方などについて、労働者間で少なからず摩擦があるものです。今回の事件はこのような業務に内在または付随する危険が具現化したものと考えられますので、業務起因性も有し、業務災害と認定されるものと思われます。暴行が業務とは関係のない(あるいは関係の希薄な)私的怨恨や挑発的・侮辱的行為によって発生した場合には業務起因性は否認されます。
被害者に労災の保険給付が認められた場合には、被害者はその価額の限度で加害者に対し治療費や休業中の所得補償などの保険給付によって補償される損害について、賠償を請求することはできなくなります。なお、慰謝料など保険給付の対象にならない損害については請求の余地があります。
人事労務コンサルタント・社会保険労務士 金子 賢一
[2005年5月30日 掲載]
関連記事
- 過重労働と脳・心疾患発生との相関関係
- 仕事上の口論が暴行に発展、労災認定されるか
- 慶弔休暇に休日を含めることはできるか
メルマガ登録無料
記事についてのご質問・ご意見ご要望など、お気軽にお問い合わせください。

