Q1.労働分配率とは
Q
最近、「労働分配率」という言葉をよく耳にします。重要な経営指標の一つということのようですが、これはどのような概念なのか教えてください。
A
労働分配率とは、マクロレベルでは、製品やサービスなどで生み出された国民所得のうち、勤労者家計が受け取る雇用者報酬にどれだけ支払われたかを表す経済指標です。ミクロレベルでは、企業が生産活動を通じて新たに生み出した付加価値は原則として基本的に労働と資本に分配されますが、このうち賃金など人件費として労働に分配される割合をいい、以下のように計算します。なお、その逆数で設備投資や株主配当、内部留保等に回される部分を資本分配率といいます。
労働分配率(%)=人件費÷付加価値×100
労働分配率は、一般に総資本経常利益率、自己資本比率、流動比率及び総資本回転率と並び、企業経営における財務分析の5大指標といわれています。このうち労働分配率は、生産性の分析や人件費の適正水準を把握・維持するために用いられます。
適正労働分配率は、労使間において常に議論の対象となっており、賃上げ交渉の際にたびたびグローズアップされます。労働分配率は、不況時には高まり、好況時には、低くなる傾向があります。景気拡大期においては、付加価値が拡大し、人件費の伸びを上回ることにより労働分配率は低下し、逆に景気後退期には、成長率などが低下しても企業は雇用を維持するなどの対応により、結果として労働分配率は上昇することになります。また、労働分配率が高まると投資が減少し、成長が鈍化するといわれています。
平成19年度版「労働経済白書」(労働経済の分析)では、かつては賃上げや時短にも配分されていた企業業績の向上が最近は株主への配当や内部留保に回され、非正規社員を中心に賃金上昇につながっていないと指摘し、労働分配率の向上を課題に掲げています。
人事労務コンサルタント・社会保険労務士 金子 賢一
[2007年9月13日 掲載]
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