自宅残業の残業手当の請求に応じる必要はあるか
Q
自宅残業をした従業員から残業手当を請求されました。請求に従い支払う必要があるのでしょうか。
A
法律上労働時間とは「使用者の指揮監督(指揮命令)下において労務を提供している時間」をいいます。(長崎地裁判決1989年2月10日労働判例634号p.10.)自宅残業もこの基準に照らし、本来の労働時間か否か判断することになります。
したがって、自宅残業について明示の業務命令がある場合は、労働時間として取り扱うことになります。また、黙示の業務命令があったと推察される場合(つまり従業員が自宅残業を余儀なくされる状況にあり、かつ使用者がこれを黙認しているような状態)には、これも労働時間として認めるべきであると思います。
一方で自宅残業が使用者の意思に基づかずに行われた場合、すなわち明示または黙示の業務命令がなかったと認められるときは労働時間といえず、残業手当を支払う必要はないでしょう。
自宅における労働は、所定労働時間内の生産性の低下や労働時間の算定基準、労災発生時の取り扱いなど労務管理上の問題のほか、業務上の機密漏洩など様々な問題が生じる可能性が高いのでお勧めできません。育児と仕事の両立促進策としてなど特殊な事情により自宅労働を認める場合は、予測される問題を防止するためのルールづくりをしっかりと行ったうえで実施することが大切です。
人事労務コンサルタント・社会保険労務士 金子 賢一
[2004年4月 掲載]
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