自宅待機の採用内定者に休業手当を支払うべきか
Q
取引先の拡大を見込み従業員の募集を行い、数人の応募者に対し採用内定(中途採用)を出しましたが、業況が不透明になりしばらくの間自宅待機を命ずることを検討しています。この場合、採用内定者に休業手当を支払わなくてはなりませんか。
A
労働基準法第26条では「使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の100分の60以上の手当を支払わなければならない。」と規定しています。
実際に就労している従業員に対して事業活動の縮小などを理由に休業させれば、まさに休業手当の支払対象となります。ご質問の論点は、まだ1日も就労したことのない採用内定者に本来の採用予定日を繰下げ、いわゆる自宅待機させても「労働者」ではないので、何ら保証する義務はないのでないかということでしょう。
しかし、このような事案については当局の次のような通達により、あらかじめ定めた採用予定日に労働契約が成立したとみなし、自宅待機期間について休業手当を支払うべきであるとしています。通達は新規学卒内定者に対する自宅待機の場合について解釈を与えていますが、ご質問の中途採用の場合も同様の解釈が適用されると思われます。
「新規学卒者のいわゆる採用内定については、遅くとも、企業が採用内定通知を発し、学生から入社誓約書又はこれに類するものを受領した時点において、過去の慣習上、定期採用の新規学卒者の入社時期が一定の時期に固定していない場合等の例外的場合を除いて、一般には、当該企業の例年の入社時期を就労の始期とし、一定の事由による解約権を留保した労働契約が成立したとみられる場合が多いこと。したがって、そのような場合において、企業の都合によって就労の始期を繰り下げる、いわゆる自宅待機の措置をとるときは、その繰り下げられた期間について、労働基準法第26条に定める休業手当を支給すべきものと解される。」(昭63年3月14日基発150号・婦発第47号)
人事労務コンサルタント・社会保険労務士 金子 賢一
[2003年3月10日 掲載]
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