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留学費用の返還制度は違法か

Q

当社では、国内の大学や研究機関への留学制度を実施しています。留学前に本人に留学後も引き続き会社に勤務する旨及び3年以内に退職するときは留学費用の全額を返金する旨を誓約させた念書を提出させています。このような取り扱いは差し支えないでしょうか。

A

会社で留学費用を負担した場合、社員が留学中あるいは留学直後に退職すると会社として一定の損害を受けることになります。そこでご設問のような念書をとったり、留学生制度の規程において費用の返還について定めている会社は少なくありません。しかし、このような定めは労働基準法に抵触するおそれがあります。

労働基準法は「使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。」(法第16条)と規定しています。そして違反した使用者は6カ月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処せられることになります。(なお、厚生労働省は「本条は、金額を予定することを禁止するものであって、現実に生じた損害について賠償を請求することを禁止する趣旨ではない」(昭和22年9月23日発基第17条)という通達を出している。)

一般に留学はそれが国内の大学・研究機関であれ、海外の大学・研究機関であれ、留学後も継続して勤務するという約束の下に行われています。実際、留学後は会社に復帰し、留学で身につけた知識や技術を業務に活用するところに企業にとって留学制度の意義があるわけです。

留学費用を会社が負担し、社員が一定期間内に退職したときは返還させることに法律上問題があるため、現実には立替払方式が多く採用されています。これは入学金、授業料等留学にかかわる費用を会社が立替払いしておき、社員が一定期間内に退職したときは立替費用の返還を求め、一定期間以上勤務したときはその返還を免除するというものです。ご設問の念書は問題がありますのでこちらの方法を採用されることをお勧めします。

人事労務コンサルタント・社会保険労務士 金子 賢一
[2002年9月27日 掲載]


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