従業員が死亡した場合の退職金の受給権者は
Q
当社の退職金規定では、従業員が在職中に死亡した場合の退職金の受給権者は、相続人ではなく労働基準法施行規則第42条の遺族補償を受ける者の範囲と順位を定めた規定によるものとしています。しかし、一方では死亡退職金は相続財産であり、相続人に支払わなければならないのではという疑問もあるのですがいかがでしょうか。
A
従業員が死亡するとその財産上の権利義務は相続人に包括継承されることになります。問題は、ご質問の退職金が死亡した従業員の会社に対する権利であるのか、或いは会社の規定により遺族が直接取得した権利であるかです。
これについては、退職金ということで一律に判断できるものではなく、個々の退職金制度における受給権者にかかわる規定に応じて判断すべきものとされています。
実際の規定においても、ご質問の事例ような規定のほか、従業員が生前に死亡退職金の受取人を指定した場合は、その指定された者に支給するというものもあります。死亡退職金の受給権者は必ずしも相続人でなければならないというものではありません。
判例においても、民法の規定する相続順位決定の原則と著しく異なる受給権者の定めをしている退職金規定による退職金は、受給権者と定められた遺族が相続人としてではなく、規定の定めにより直接固有の権利として取得するものと解されています。
(昭和55年11月27日最高裁第2小法廷 日本貿易振興会事件)
ご質問の事例も、相続関係とは別の観点から、つまり遺族補償の受給権者の範囲と順位による者を受給権者としているのですから退職金は相続財産とはならず、その定めに従って支払う必要があると思われます。
人事労務コンサルタント・社会保険労務士 金子 賢一
[2002年6月12日 掲載]
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